幕張メッセで11月24日から開催されている「第7回 鉄道技術展 2021」に鉄道情報システムが出展。「話せる券売機」としてJR各社で導入が進む、「みどりの窓口」のような対面接客を可能にした「アシストマルス」などを展示している。

鉄道情報システムは、「みどりの窓口」で利用される「マルス(MARS)」システムをはじめ、JRグループ関連情報システム等の開発・運営・管理を事業内容としている。1960(昭和35)年に「MARS 1」が誕生して以来、「マルス」システムは日本の鉄道を長きにわたり支えるとともに、半世紀以上にわたって進化を続けてきた。現在の「MARS 505」は、システム稼働率99.999%を維持しつつ、毎年行われるダイヤ改正対応、新線・新駅開業等の制度改正対応をはじめ、JR各社のインターネット販売やチケットレス乗車などの施策に対応するための機能増強も行われているという。

鉄道技術展では、JR各社で新たなきっぷ販売のスタイルとして拡大中の「アシストマルス」をはじめ、鉄道利用におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進する新サービスを紹介。駅窓口業務に対するデジタルソリューションとして開発している「バーチャル駅員との会話によるきっぷ販売」や、「モバイル端末でのチャットボットによるきっぷ販売」なども参考出展している。

「アシストマルス」は、駅の券売機コーナーに設置された顧客操作形端末「MV-50」に音声・映像を入出力する装置を増設し、コールセンターと接続することで遠隔操作による窓口サービスを行う。利用者は端末上部のモニターに映し出されたオペレーターとの会話を通じてきっぷを購入でき、AI・音声認識技術による外国語自動翻訳機能もあるため、外国人の利用者ともスムーズなコミュニケーションが可能になる。オペレーターがきっぷ・証明書等を確認するカメラも端末に設置され、通学定期券や割引きっぷの発券もできる。

  • 「アシストマルス」では、駅に設置された端末とコールセンターを接続し、オペレーターと会話しながらきっぷの購入が可能に

  • オペレーターがきっぷ・証明書等を確認するカメラを端末に設置

  • AI・音声認識技術による外国語自動翻訳機能も有する

  • 参考出展となる「AI自動応対」「スマホ定期券」の紹介も

JR北海道の「話せる券売機」、JR東日本の「話せる指定席券売機」、JR西日本・JR四国の「みどりの券売機プラス」など、「アシストマルス」は全国のJR各社で導入が進んでおり、いずれも「みどりの窓口」のような対面接客が可能。利用者の利便性向上だけでなく、鉄道事業者の駅運営効率化も実現させるという。

「話せる券売機」の「アシストマルス」がさらに進化した「AI自動応対」(参考出展)の紹介も。バーチャル駅員の案内による新たなチケッティングサービスとして、駅出札業務の自動化・無人化をより強力にサポートする。音声とタッチによる操作に加え、バーチャル駅員との会話による購入操作内容を文字でも表示し、バリアフリー対応の促進を図る。

無人駅やICカードが利用できない駅などに適したサービスとして、「QR乗車票(トマムQR)」や「スマホ定期券」(参考出展)も登場。「QR乗車票」はスマートフォンと専用サイトを利用することで、無人駅に新たな機器を導入することなく、利用者の利便性向上と駅係員・車掌の負担軽減を両方実現する自動精算サービス。今年1月からトマム駅でサービスを実施している。「スマホ定期券」は、駅に行かなくてもスマホで定期券を購入でき、データはスマホにそのまま格納され、画面を係員に提示するだけで乗車可能。定期券のすべてがスマホで完結するシステムとなる。

  • 鉄道情報システムのブースでは、「タッチレス指定席券売機」や「勤務シフト作成お助けマン」の展示も

鉄道情報システムのブースでは、新型コロナウイルス感染症の影響で衛生面に対する意識が高まる中、「触りたくない」ニーズに対応した「タッチレス指定席券売機」も展示されていた。タッチセンサの検出位置を数センチ浮かすことで、画面に触れることなく操作できるという。その他、シフト表の自動作成により、シフト管理を効率化する「勤務シフト作成お助けマン」も展示している。

「第7回 鉄道技術展 2021」は11月26日まで幕張メッセ5~8ホールにて開催。開場時間は10~17時。鉄道情報システムのブースはホール5(B-05)に設置されている。入場料は2,000円だが、招待券持参者とインターネットからの事前登録者は無料。「第4回 橋梁・トンネル技術展」も同時開催される。