近年、映画やドラマに引っ張りだこで、女優として目覚ましい躍進を見せる大島優子。2021年は『明日の食卓』『妖怪大戦争 ガーディアンズ』、『ボクたちはみんな大人になれなかった』という3本の映画と、『神様のカルテ』『ネメシス』『正義の天秤』という3本のドラマを連打。続いて、吉沢亮主演の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で、渋沢栄一(吉沢亮)の後妻となる伊藤兼子(かねこ)役を演じている。
豪商・伊藤八兵衛の娘である兼子は、明治維新後に家が没落したため、妹たちを養うべく芸者として身を立てることを決意。栄一の先妻・千代(橋本愛)の亡きあと、渋沢家に入り、栄一を公私ともに支えていく伴侶となる。11月7日に放送された第34回の初登場シーンでは、一切台詞がなかった兼子だが、その凛とした和装の佇まいが熱い視線を浴びた。そして11月28日に放送される第37回で、いよいよ兼子が本格的に登場する。
大島は今回のオファーを受けた時「本当にすごく光栄で、飛び跳ねるくらいうれしかったです」と大喜びしたそうだ。「朝ドラ『スカーレット』に出演して間もない時期に、まさか大河ドラマのお話をいただくなんて予想もしていませんでしたし、伊藤兼子というとても重要な役だと聞いて、とにかくうれしくて。一体何回から登場するんだろうと思ったら、34回に初登場し、その後37回からまた出始めますと聞きました。残り少ない回数という重要なラストスパートの時期だと知った時、胃が痛くなるくらい、かなりのプレッシャーを感じました。うれしさ半分、急に怖さもあふれ出た感じでした」
また、初めて参加した大河ドラマの現場について「すごく緊張します」と真摯な表情を見せる。「スタッフさん全員がプロフェッショナルなので、1ミリたりとも気が抜けないという他にはない緊張感があります。ただ、楽しいし、すごくやりがいもあります。また、1人の人間の心に渦巻いてる感情を表現するためには、その時代に生きている人のことを想像し、共演の役者さんたちの反応すべてを敏感に感じながらやらないといけない。そこは常に気をつけてやっているからこそ、すごく疲れます。もちろん、すごくいい疲れです!」
伊藤兼子については、残っている資料が非常に少なかったそうで「大変だけど自由度が高いというか、あまり情報がないぶん、自分なりのものを作り上げられるかなとは思いました。自分としてはとにかく一生懸命、役を積み上げていった感じです」と言う大島。
「兼子は、いきなり日本の実業家の要である渋沢栄一のパートナーとなるので、きっと何がなんだかわからない状態だったのではないかと。もちろん渋沢家の後妻に入るということで、彼女なりの大きな覚悟を持っていたと思うけど、人生の波乱といえるものが一気に押し寄せるわけですから。そんななかで、兼子はそれを運命だと思って受け入れていくので、肝が据わった強い女性だなと思いました」と、兼子の胆力を感じたそうだ。
亡くなった先妻の千代は、非常に古風で控えめな女性だったが、兼子は栄一に対して自分の意志をしっかりと言える今日的な女性像のようだ。
「あの時代は、三歩下がって旦那さまを立てるというのが主流で、旦那さまに楯突くようなことはなかったと思いますが、兼子はもともと没落した家を自分が盛り立てていくんだという強い意志を持っていた女性なので、栄一に対しても、面と向かって自分の考えを伝えようとしたのだと思います。きっと渋沢家に入った時も、家族に馴染めず、居場所がなく、心が折れていたとは思いますが、そのなかでも自分から家族として馴染んでいこうと努力をしていったのではないかと」