スマートフォンといえば、画面に表示されたアイテムに指で指示を与えるもの。2007年の登場以来、iPhoneは一貫してこの操作スタイルを維持しています。物理キーを搭載するものの数は少なく、文字入力を含め大半の処理は画面に触れるタッチ操作で行います。そのタッチ操作に関するしくみが液晶と有機ELでは異なる...というわけではありません。

注目すべきは、タッチ操作を読み取る部分が表示装置に組み込まれているか、そうでないかの違いです。iPhoneの場合、ガラス基板と液晶セルの間ににタッチセンサーの配線を施した「インセル」タイプの液晶ディスプレイが長らく採用されており、ガラス基板と偏光板の間にタッチセンサー層を挿入した「オンセル」とは構造が大きく異なります。

iPhoneにおいてインセル型の液晶タッチディスプレイが登場したのは、2012年発売のiPhone 5のときです。薄型化に際しては、フィルムなど余分な外装が必要なオンセルよりインセルのほうが有利で、実際iPhone 5はオンセルタイプだったiPhone 4Sと比べると、ディスプレイ部分の約30%もの薄型化を実現しています。光を遮るものが少なく明るさを稼げるというメリットもあります。

一方の有機ELタッチディスプレイは、構造が複雑でインセル化が容易ではないため、外付けタイプまたはオンセルタイプが主流です。iPhoneの場合、iPhone X以降の大半のモデルには有機ELタッチディスプレイが採用されており、iPhone 13ではオンセルタイプに変更されたとのレポートがあります。

一見ではわからない部品レベルの話ではあるものの、部品の厚みや重量は消費電力やデバイス全体のデザインに影響します。今後も有機ELタッチディスプレイの採用が続くとしても、より薄く軽く進化を続けることは確かなようです。

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