幕張メッセで11月24日から開催されている「第7回 鉄道技術展 2021」に東洋電機製造が出展し、鉄道車両用の新型シングルアーム形パンタグラフや全閉内扇形グリース潤滑主電動機など展示した。CBM(状態基準保全)の取組みについても紹介している。
東洋電機製造は鉄道車両用電機品のリーディングカンパニーとして、主電動機、歯車装置、主制御装置といった駆動系・制動系装置や、運転台周辺機器、戸閉装置、集電装置(パンタグラフ)といった製品を取り扱う。駅務機器の開発・製造も手がける。
鉄道技術展では、小型軽量化・低騒音化を実現した最新製品と、センサーを用いた状態監視システムを展示。鉄道車両用の各製品を映像で紹介するコーナーも設けられた。
新型シングルアーム形パンタグラフは、上下枠(アーム)を角パイプから丸パイプに変更したほか、主ばねやハランスロッドをサイズアップし、軸受の変更により、寿命延伸を実現している。従来のシングルアーム形パンタグラフと部品を共通化することで、省メンテナンス化を実現するとともに、既存のシングルアーム形・下枠交差形・ひし形パンタグラフの取付互換品も製作可能で、パンタグラフの置換えにも対応するという。
全閉内扇形グリース潤滑主電動機は、軸受の潤滑剤をグリースとし、非分解軸受交換構造を採用。全閉構造による低騒音化で静粛性が向上し、フィルタレス構造の採用でメンテナンス性も向上した。
CBMの取組みとなる「歯車装置状態監視システム」は、軸受の振動・温度を観測することで、歯車装置の異常を検知する。大歯車軸とピニオン軸の軸受の近傍に振動・温度検出用複合センサを設置し、状態情報収集装置「IMx-Rail」にセンサ情報を集約。地車間通信(LTE回線)によってクラウドに蓄積される。分析ソフトウェアが観測データを分析し、異常状態を検出するという。
同じくCBMの取組みとして、「VVVFインバータ装置IoT遠隔監視システム」の展示も。VVVFインバータ装置本体に遠隔監視端末「IO Remoter II」を内蔵することにより、列車モニタ装置なしでIoTシステムを構築。CBMに必要な各種データを収集し、クラウドサーバに蓄積する。クラウドサービスは「Microsoft Azure」「AWS」「Alibaba Cloud」に対応し、各クラウドサービスの活用によるデータ可視化・分析ソリューションの構築も可能とのこと。故障情報のクラウドサーバへの送り込みと遠隔読み出しをサポートし、データ分析によるメンテナンス時期の最適化も支援する。
「第7回 鉄道技術展 2021」は11月26日まで幕張メッセ5~8ホールにて開催。開場時間は10~17時。東洋電機製造のブースはホール8(E-30)に設置されている。入場料は2,000円だが、招待券持参者とインターネットからの事前登録者は無料。「第4回 橋梁・トンネル技術展」も同時開催される。