テレビ朝日系ドラマ『相棒』シリーズで反町隆史演じる冠城亘が、現在放送中の『season20』(毎週水曜21:00~)をもって卒業することが分かった。このたび反町と、杉下右京を演じる水谷豊がコメントを寄せた。
2015年10月14日放送の『season14』第1話で、法務省のキャリア官僚として初登場した亘。現場に興味があるという理由から警視庁に出向を希望し、特命係に間借りしていた当初は“同居人”として右京と接していた。しかし様々な事件を通じて右京と関わり、法務省を事実上クビになった『season15』では警視庁広報課を経て特命係に正式配属。きょう24日放送の『season20』第7話で、右京の相棒として歴代最多出演となる125回を迎える。
亘が右京の相棒となって以来、節目節目でテレビ局と事務所、反町本人との話し合いの場が持たれてきた。今回は撮影開始に先立ち、本人より歴代最多出演本数を更新する今シーズンいっぱいで卒業の意向が示され、双方が納得した上で卒業が決定。反町自身から直接卒業を伝えられた水谷は「分かった」と一言。反町は「何も言わなくてもすべて伝わりました」といい「水谷さんの背中を追い掛け続けた7年。ここまでやってこられたのは、水谷さんがいたから。それだけです」と振り返った。水谷も多く語らなかったことについて「話さなくても思いは充分わかり合っている」と絆を見せ、「この先冠城亘では無い役者ソリを観られることもとても楽しみです。ソリありがとう、と言いたいところですが撮影はまだ終わってませんね(笑)。来年2月まで残りの撮影もよろしくねソリ」と呼びかけた。
現在放送中の『season20』で見納めとなる右京と亘の『相棒』。2人はどんなクライマックスを迎えるのか。右京は亘へ、最後にどんな言葉を贈るのか。
反町と水谷のコメントは以下の通り。
■反町隆史
――相棒としての歴代最多出演について
“歴代最多出演本数の相棒”ということを、まったく意識していなかったかというと、そうではありませんでしたし、それがすべてかというと、そうでもないというのが正直なところです。ただ、相棒として何か残せないかというのは、常に考えていたことではあります。
これまでの撮影で一番思い出すのは、(初めて撮影に参加した)『season14』のクランクイン。初日から膨大なセリフ量があって。ある程度は予想していたのですが、思っていた以上に長回しが多い撮影で、自分のあまりの不甲斐なさにショックを受けました。それが、僕の『相棒』における最初の記憶ですが、落ち込んでいた僕を救ってくれたのが、水谷さんの言葉でした。僕自身が納得いっていない……ということを敏感に感じ取り、「今ので良かったよ」と言って気持ちを繋げてくださった。その言葉があったからこそ、僕はここまでやってこられましたし、ひとつひとつのシーンを乗り越えることができたのだと思います。
亘を歴代最多にしてくれたのは、水谷さんはじめ、キャスト、スタッフ、ファンの方があってのことでした。水谷さんという特別な存在がいて、水谷さんを中心にした『相棒』というチームがあったからこそ、今がある。亘としてもそうですし、いち俳優としても、お手本になる大先輩が常に前を走ってくれていて、僕はその背中を追い掛けるのに必死で……。本当にただ、必死で。気づいたら7年たっていました。
――卒業について
ここまでやってこられたのは水谷さんがいたから。卒業について直接話した時、水谷さんが仰ったのは、「分かった」の一言でした。それでも、同じ俳優として、察してくださっていることを強く感じました。僕自身、40代の頭から相棒をやらせてもらって、今年で48歳になるのですが、「50代を迎えるにあたって、新しい出発を切ろうとしている気持ちは、よく分かる」と。実際、そんな話はしていないのですが(笑)、これだけ長く一緒にいますから、僕には分かるんです。
冠城亘として作品に加わって7年。常に僕の前を、一歩二歩ではなく、十歩も二十歩も先を歩いている人がいて。僕はその背中に追いつくのに必死で、追いつこうとするのですが、なかなか追いつけなくて。ちょっと背中が見えてきたかな……と思ったら、またはるか遠くに離されて……。そういうことが、この7年、ずっと続いていた気がします。ただ、追いつけなかったからこそ、7年という長い間、やってこられたのかなと思います。一言では言い表せない思いがありますが、今はとにかく感謝の気持ちでいっぱいです。
■水谷豊
既に出来上がっているチームに入る事がどれほど大変な事か、役者なら誰もが感じることだと思いますし、ソリもまたその重圧を抱えていたに違いありません。『相棒season14』の撮影初日、しかしそれ以上に僕が感じたのはソリのポテンシャルの高さと前向きなエネルギーでした。もちろん最初は試行錯誤の連続だったと思います。そして2年目3年目、思った通り、いや思った以上にソリは冠城亘をスタイリッシュにチャーミングに作り上げていきました。ソリで良かった、シーズン中何度も思った事です。現場のスタッフ達もソリとの仕事を楽しみ、またソリを好きになっていきました。それは役者としてのソリばかりかソリの人間性そのものがそうさせたのだと思います。
そのソリが相棒を離れる事になりましたが、2人では多くを語っていません。話さなくても思いは充分わかり合っていると思うからです。この先冠城亘では無い役者ソリを観られることもとても楽しみです。ソリありがとう、と言いたいところですが撮影はまだ終わってませんね(笑)。来年2月まで残りの撮影もよろしくねソリ。