学生時代には勉強に打ち込んでいたという人もいれば、バイト三昧だった、あるいはサークル活動に精を出していたという人もいるだろう。中には遊んでばかりで、ほとんど授業に顔を出さなかったという猛者もいるかもしれない。
様々な学生生活を送りつつも、やがて多くの人は就活を始め、最終的には社会人となっていく。それでは学生時代の経験は、その後の仕事にどう生かされているのだろうか。
そこで今回は、マイナビニュース男女会員301人を対象にアンケート調査を実施。「今の仕事に生きているなと思う学生時代の経験」を聞いた。さて、皆さんはどんなことが仕事に役立っていると思うのだろうか。
Q.あなたには、学生時代の経験が今の仕事に生きているなと思うことはありますか?
「はい」(55.8%)
「いいえ」(44.2%)
Q.今の仕事に生きているなと思う学生時代の経験の内容を具体的に教えてください(自由回答)
■「専攻した分野や習得したスキルなど」
・「商学部で学んだ内容が役立ってる」(39歳男性/サービス/専門職関連)
・「建築科で学んだ知識を活かせている」(36歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「大学でマーケティングなどについて学んだこと」(33歳女性/専門店/販売・サービス関連)
・「秘書検定で勉強した内容」(39歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「薬学部だったので、そのまま仕事に結び付いた」(36歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「歴史学を専攻していて海外の文化や歴史に詳しいため、会話のネタになる」(33歳男性/専門商社/営業関連)
・「法律を学ぶ中で、ロジカルシンキングが鍛えられたと思う」(39歳男性/その他金融/クリエイティブ関連)
・「法学部だったため、派遣法などを見てもなんとなく理解が早くできる」(31歳男性/その他/営業関連)
・「法学部だったので、法律関係を調べる時に頭に入りやすい。覚えやすい」(39歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「基本的な算数・数学は役に立っています」(38歳女性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「簿記を学び、経理に役立てている」(38歳女性/ソフトウェア・情報処理/事務・企画・経営関連)
・「高校と大学はITについて学び、今の仕事はシステム開発なので、とても仕事に生きている」(31歳男性/精密機器/IT関連技術職)
・「商業高校の情報処理科だったので、授業で習ったことがすべてに役立っている」(32歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「学生時代の授業でパソコンの基本操作を学んでいたことが、今の仕事に生きているなと感じています」(32歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「学生時代に培った語学が役に立っていることも大いにあるので」(39歳女性/旅行・観光/販売・サービス関連)
・「情報学部で、今のシステムエンジニアの仕事に活かされてますね」(38歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「子どものころから計算だけは得意だったので、今も数字の羅列に苦しめられることはない」(36歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「トリマーの専門学校だったので、学んでいた事や実技が役に立った」(24歳女性/サービス/専門サービス関連)
・「発達教育学、心理学系の授業で学んだことを人間関係の構築に活かせている」(25歳女性/セキュリティ/技能工・運輸・設備関連)
・「保育系の学科で理論だけではなく実践的なことも学べたため、今は現場に出て様々な知識が活かせている」(31歳女性/その他/専門サービス関連)
・「国立大だが社会情報学部でPCスキルが必須だったため、今も基礎部分において役立っていると感じる」(26歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「資格や勉学の内容がリンクするケースもときたまある」(32歳男性/リース・レンタル/営業関連)
■「アルバイト経験」
・「バイトで接客仕事をして良かった。今の仕事に生きています」(29歳女性/インターネット関連/IT関連技術職)
・「アルバイトでその世界にたずさわった経験が役に立った部分はある」(39歳女性/サービス/その他・専業主婦等)
・「学生時代のバイトとほぼ同じ内容なので、すぐ慣れた」(28歳女性/専門店/販売・サービス関連)
・「学生時代の接客アルバイトが、色々な年代の方とコミュニケーションをとる今の仕事に活きている」(31歳男性/官公庁/事務・企画・経営関連)
・「学生時代のテキ屋のバイトが、給料の分配面で非常に勉強になっている」(33歳男性/教育/専門職関連)
・「学生時代に新聞勧誘の営業をしていた。トークスキルや根性を学んだ」(39歳男性/放送・新聞/営業関連)
・「学生の時にバイトしていた。あらかじめ社会というものが少しは分かっていたため、不要なトラブルを回避できた」(23歳男性/食品/事務・企画・経営関連)
・「プールのコーチをやっていたのですが、子どもに気を配ることで安全意識が高まったことが、今の鉄道にも生きている。また、親御さんにレッスンについて説明する機会も多く、コミュニケーション能力が高まった」(29歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「家庭教師をやっていて、自分は教師に向いているなと思った」(38歳女性/教育/専門サービス関連)
■「体育会系などの部活動」
・「部活動で、挨拶や上下関係とかを教わっていた」(39歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「部活をやっていたので、あきらめない気持ち」(39歳男性/その他電気・電子関連/技能工・運輸・設備関連)
・「体育会系の部活に所属していたこともあり、礼儀や度胸などは役立っていると思う」(33歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「部活での健康的なライフスタイルや、コミュニケーションを築いたりすること」(35歳男性/輸送用機器/販売・サービス関連)
・「部活動の大変さを経験しているので、少しくらいつらくても続けようと思えること」(38歳女性/インターネット関連/事務・企画・経営関連)
・「高校野球で厳しい環境においたことで、ストレス耐性がついた」(39歳男性/ガラス・化学・石油/その他技術職)
・「体育会系の部活に所属していたので、根性や体力などは他の人よりも優れていると感じる」(31歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「部活で身に付けたスポーツでの自信と鍛えた体あるため、良い意味で仕事に影響が出ている気がします」(30歳男性/化粧品・医薬品/営業関連)
・「部活で2年や3年の先輩がいるなか、1年のときから3年間部長をした。後輩という立場でありながら部長であるという難しい環境での中、精神的にとっても鍛えることができた」(38歳女性/サービス/販売・サービス関連)
■「対人関係・コミュニケーション能力など」
・「人との接し方。今の会社はなにも教えてくれない」(39歳女性/その他/事務・企画・経営関連)
・「学業については全く活きていませんが、人間関係やコミュニケーション能力を育むことができました」(36歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「ゼミで討論をたくさん行ったので、コミュニケーション能力が身についた」(31歳男性/エステティック・美容・理容/販売・サービス関連)
・「みんなで協力して考えたり、物を作るということは学生時代に学んだから良かったと思う」(38歳女性/専門店/その他技術職)
・「先生や先輩に対する姿勢や態度などが厳しかったので、相手を敬うということが身に付いた。その経験は生きていると思う」(37歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
■「クラブ・サークル・ボランティア活動など」
・「児童施設でのボランティアは生かせていると思います」(39歳女性/教育/専門サービス関連)
・「放送系のサークルにいたが、会社に入ってから人前でしゃべるケースがかなり多かったため、話すことを活かすことができた」(39歳男性/農業協同組合/事務・企画・経営関連)
・「地域の参加行事や人と関わる機会が多かった方なので、人見知りもなく様々なタイプの方との付き合いがよく出来ていると思う」(29歳女性/専門店/販売・サービス関連)
■「その他」
・「論理的思考力、妥協しないこと」(39歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「常に最悪を想定しておく。学生時代は考えすぎかつ心配性とも言われたが、社会ではそれくらいが丁度良い」(38歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「スピーチコンテスト等に出ることにより、人前で話すことに緊張が無くなったと思う」(36歳男性/その他/公共サービス関連)
・「夜遅くまで研究していたこともあったので、急な残業など不規則な時間になっても勤務できる」(36歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
■総評
調査の結果、マイナビニュース会員の中で、学生時代の経験が今の仕事に生きていると思うことがあると回答した人は55.8%と、半数以上に達している。
今の仕事に生きているなと思う学生時代の経験の内容を具体的に聞いたところ、主な回答として「専攻した学業分野や習得したスキル」「アルバイト経験」「体育会系などの部活動」「対人関係・コミュニケーション能力」「クラブ・サークル・ボランティア活動」などが寄せられた。
やはり、「専攻した分野や習得したスキル」が仕事に生きているという人は多い。大学などで学んだ学業や研究分野が、そのまま今の仕事に直結しているというケースだ。直接的な専攻分野でなくても、勉強する上で身につけたPCスキルや取得した様々な資格・語学などが役に立っているという人もいた。
また「アルバイト経験」が仕事に生きているという人も多い。学生の身分とはいえ、仕事をすることで得た経験が、その後の社会人としての振る舞いなどにプラスの影響を与えているということだろう。
「体育会系などの部活動」や「クラブ・サークル・ボランティア活動」は、学生ならではの課外活動が仕事に生きているという指摘だ。とくに「体育会系などの部活動」は、運動部での厳しい練習や上下関係などが体力や精神力、コミュニケーション能力などを養ってくれたというコメントが多く寄せられている。
「対人関係・コミュニケーション能力など」では、授業やクラブ活動などといった具体的な言及はないものの、学生生活全般で人との接し方やコミュニケーション能力などを磨いたという声があった。
そのほか、学生時代の経験によって「論理的思考力」や「先を読む力」、「不規則な生活に対する耐性」などの力が培われたという、ユニークな意見も見られた。
学生時代は人生でも数少ない、いろいろなことを体験できる絶好の機会だ。学業はもちろんのこと、アルバイトやサークル活動など様々な経験を通して、自分のポテンシャルを広げることが可能となる。それが、後の仕事に生きるということももちろんあるだろう。今回のアンケートは、そんな学生時代という時間の持つ可能性の大きさを示す結果となったのではないだろうか。
調査時期: 2021年10月27日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 301人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません