米国時間の11月18日、プライバシー保護を重視した検索サービスなどを提供している米DuckDuckGoが、Androidで"アプリによるトラッキング"からユーザーを保護する「App Tracking Protection for Android」(ベータ)を発表した。小規模グループから提供範囲を順次拡大していく計画で、希望者はAndroid版の「DuckDuckGo」アプリで、[setting]→[App Tracking Protection]からウェイティングリストに登録する。メールアドレスなど個人情報を伝える必要はなく、順番が来たらアプリに通知が表示される。

アプリによるトラッキングとは、ターゲティング広告を配信するためのデータ収集である。アプリの使用を通じて、どのような情報を検索・閲覧したか、スマートフォンを持ってどこに移動したか、睡眠時間といったデータが収集される可能性があり、データを収集したアプリが利用するだけではなく、ターゲティング広告にかかわる他のアプリとデータが共有される場合がある。

ユーザーが知らないまま、個人に関するデータが広範に共有される可能性を問題視したAppleは、iOS 14.5(2021年4月リリース)から、アプリが他のアプリやWebサイトを横断してユーザーの行動をトラッキングする場合、アプリがユーザーの許可を得ることを義務づけた。iOSの「トラッキングの許可」では、アプリがどのような情報を収集し、どのように使用するかを確認した上で、ユーザーが追跡の許可/拒否を選択する。

Androidには、アプリのトラッキングをユーザーがコントロールする機能はなく、DuckDuckGoによると、調査した無料の人気Androidアプリ(AndroidRank.orgランキングから)の96%以上がサードパーティCookieを含み、そのうちの87%がGoogleに、68%がFacebookにデータを送信していた。

「App Tracking Protection for Android」を有効にすると、デバイス内のVPN(Virtual Private Network)接続によって、バックグラウンドでアプリの振る舞いを継続的に監視し始め、トラッカーのリストに含まれるサードパーティのトラッキング会社へのデータ送信を検知した際に要求をブロックする。外部のサーバーを介するVPNではなく、ローカル環境に構築したVPNなので、監視はデバイス内で完結し、アプリの通信の情報が外に漏れることはない。

  • App Tracking Protection for Android

    ベータ期間中は、動作の問題が報告されているアプリなど、いくつかのアプリはデフォルトで追跡ブロックが無効になる