第13回TAMA映画賞 授賞式が21日に東京・府中の森芸術劇場 どりーむホールで行われ、受賞者である岨手由貴子監督、土井裕泰監督、横浜聡子監督、駒井蓮、役所広司、菅田将暉、尾野真千子、有村架純 、藤元明緒監督、松本壮史監督、藤原季節、金子大地、伊藤万理華が登場した。また『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督、三浦透子は欠席し、山本晃久プロデューサーが代わりに登壇した。
同映画賞は、多摩市及び、近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる"いきのいい"作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰」するもの。
最優秀新進男優賞に輝いた藤原季節は、「真面目に生きていきます。僕が真面目じゃないから言えることで、これまで沢山の人を傷つけて生きてきたので」と印象に残るスピーチ。また最優秀女優賞の尾野は「このような賞をいただけて本当に嬉しく思っております。少しずつですが、女優として皆様に認めていただいてるのかなと、これからも頑張らなければいけないなという気持ちにさせていただきました。これからももっともっと心に響く作品に出会っていけたらと思っています」と謙虚に挨拶する。
映画『茜色に焼かれる』に主演した尾野は同作の印象的なシーンとして「これから頑張っていける、第2の人生を輝いていけると思ったときに彼氏から裏切られるんですよね。本当に腹が立って腹が立って、役としてではなく話自体に腹が立ってしまって、戻って来れなかったんですよ。大変でした」と振り返る。「どん底に落ちて泣き崩れてしまって、現場を止めてしまって監督にお時間くださいと久しぶりに言わせていただいて、なんとか3分くらいで戻って来れて」と話すと、その早さに会場からも笑いが起こる。尾野は「切り替え早いので」と微笑んでいた。
最優秀男優賞の役所は主演映画『すばらしき世界』について「すばらしいスタッフ、キャスト、とてもいいチームでした。おかげでこんなすばらしい賞をいただきました」と感謝し、「細田監督のアニメーション(『竜とそばかすの姫』)と『バイプレイヤーズ』の役所広司役も後押ししてくれたんだと思います。映画を見てくれた方々のおかげでこんなにいい賞をいただけたことに感謝しています」と喜ぶ。
コロナ禍でダメージを受けた映画界だが、役所は「今年の仕事は全部、去年中止になった作品の消化で、今も撮影中ですけど、それが終わると延期になったものが終了する。1年半も延びてくるとスタッフも変わりますし、映画を志したたくさんのスタッフ、俳優さんたちもコロナ禍で夢を諦めなければいけないという話を聞きました」と状況を語る。「やっと動き出したので、非常に不自由な撮影ですけど、皆が帰ってこれるように頑張りたいと思います」と今後への思いを表した。
■最優秀作品賞
『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督、及びスタッフ・キャスト一同)
『あのこは貴族』(岨手由貴子監督、及びスタッフ・キャスト一同)
■特別賞
土井裕泰 監督・坂元裕二氏、及びスタッフ・キャスト一同 (『花束みたいな恋をした』)
横浜聡子監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『いとみち』)
■最優秀男優賞
役所広司 (『すばらしき世界』『バイプレイヤーズ~もしも 100 人の名脇役が映画を作ったら~』『竜とそばかすの姫』)
菅田将暉 (『花束みたいな恋をした』『キャラクター』『キネマの神様』『浅田家!』)
■最優秀女優賞
尾野真千子 (『茜色に焼かれる』『明日の食卓』『ヤクザと家族 The Family』『心の傷を癒すということ 劇場版』)
有村架純 (『花束みたいな恋をした』『映画 太陽の子』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』ほか)
■最優秀新進監督賞
藤元明緒監督 (『海辺の彼女たち』)
松本壮史監督 (『サマーフィルムにのって』『青葉家のテーブル』)
■最優秀新進男優賞
藤原季節 (『のさりの島』『佐々木、イン、マイマイン』『空白』『くれなずめ』『明日の食卓』)
金子大地 (『サマーフィルムにのって』『猿楽町で会いましょう』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』ほか)
■最優秀新進女優賞
三浦透子 (『ドライブ・マイ・カー』『椿の庭』『おらおらでひとりいぐも』『アイヌモシリ』)
伊藤万理華 (『サマーフィルムにのって』『息をするように』)