Windows 10 バージョン21H2が一般公開された。Microsoftは従来と同じく数週間にわたる段階的な展開を選択している。
公式ドキュメントでは、「Windows 10 バージョン2004以降の環境で、Windows Updateを手動実行すると(更新プログラムを)使用できる」と説明しているが、筆者のメインPCでWindows Updateに更新プログラムが現れる気配はない。自作PCでも仮想マシンでも同様。ならばと普段はホコリをかぶっているSurface Pro 4でも試してみたが、古い更新プログラムを適用するばかり。そこで「Windows 10更新アシスタント」を用いて検証してから、自作のメインPCをWindows 10 バージョン21H2に更新した。
本稿執筆時点でWindows 10 update historyにWindows 10 バージョン21H2の情報は掲載されていない。変更内容はMicrosoftが現地時間2021年7月15日に公開した公式ブログで確認できる。変更点はさほど多くない。エンドユーザーとしてはWSL(Windows Subsystem for Linux)のGPUサポートぐらいだろうか。ただし、Windows 10向けWSLg(Windows Subsystem for Linux GUI)は未提供のため、LinuxのGUIアプリは動作しないようだ。
検証のためNVIDIA Drivers for CUDA on WSLをインストールし、実験環境として用意したUbuntuにCUDA Toolkit 11.5を入れてみた。するとLinuxディストリビューション上でNVIDIA CUDAは認識したものの、GUIアプリの実行に失敗している。WSLgを含むWindows Subsystem for Linux Previewは、Windows 10 バージョン21H2にはインストールできないようだ(筆者が何か見落としている可能性もある)。新Microsoft Storeのバックポートとシステム要件の緩和を待つことになるのか分からないが、現時点でWSLgの恩恵を受けるにはWindows 11を選択しなければならない。
話をWindows 10に戻そう。Windows message centerを確認すると、Windows 10 バージョン21H2(ビルド19044.1288)でも、プリントサーバー経由で共有されたプリンターへの接続でエラーが発生するバグは修正されていない。Microsoftは現地時間11月16日の時点で、Windows InsiderのRelease Previewチャネルに対してビルド19044.1379(21H2用。21H1用はビルド19044.1379)へ更新するKB5007253の提供を開始しているので、問題は近日中に解決するだろう。なお、KB5007253に関する公式ブログでは、ほかのバグフィックスについても言及しているので、Windows 10 バージョン21H2・21H1ユーザーは確認するとよいだろう。
Windows 10を使い続けるユーザーが覚えておきたいのは、従来は年2回だった機能更新プログラムが年1回に変更される点。Microsoftは公式ブログで、「Windows 11の歩調に合わせて、アップデートからサービスチャネルの名称を『General Availability Channel(一般提供チャネル)』に変更した。これは従来の『Semi-Annual Channel(半期チャネル)』を置き換えるものだ。次の機能更新プログラムは2022年後半を予定している」と述べている。
また、Windows 10 バージョン21H2 Home・Proのサポート期間は18カ月の2023年6月13日まで。Windows 10 バージョン21H2 Enterprise・Educationは30カ月間の2024年6月11日まで。この期間は各種更新プログラムが配信される。
我々のようなエンドユーザーが気にしておきたいのは、Windows 11への移行タイミングだ。Windows 10において毎月の品質・セキュリティ更新プログラムを継続し、機能更新プログラムを年1回にすること自体は賛成だが、Microsoft各種対応を見渡すと「Windows 10ではなくWindows 11へ注力する」という意味合いが強くうかがえる。システム要件などの理由からWindows 11へ移行しにくいケースは多いと思うが、各サポート期間を頭に入れつつ、安価な時期にPCパーツを購入して既存PCをアップグレードするか、自分にとってベストなWindows 11搭載PCの購入時期を探ってほしい。