お笑いコンビ・ジャルジャルの後藤淳平と福徳秀介が19日、都内で行われたコントシネマ『サンチョー』の初日舞台挨拶に、メガホンをとった倉本美津留監督とともに登壇した。

  • ジャルジャルの後藤淳平(左)と福徳秀介

『キングオブコント2020』で13代目王者に輝き、その後もYouTubeチャンネルに毎日ネタを更新し続け登録者総数163万人を突破した人気芸人のジャルジャルと、そんな2人と幾度となくタッグを組んできた放送作家の倉本美津留監督が、コントが生むエンタメ性と長編映画の物語性を掛け合わせた新たな映像ジャンルを“コントシネマ”と名付け、これまでにない新たな表現方法に挑戦した本作。

そんな本作がついに劇場公開され、全国で見られている心境を尋ねられると、後藤は「言ってしまうと、このアホらしい内容をこの巨大スクリーンで見るということ自体、コントだと思っていただいて」と観客に投げかけ、「僕は映画館の巨大スクリーンでいろんな映画を見させてもらっていますけど、これほど巨大スクリーンで見る映像で、オナラの音が流れる映画というのはないんじゃないかなと思いますね。このアホらしい作品を大きな画面で見るという体験を味わっていただきたいなと思います」とアピール。

一方、会場に来る際に迷ってしまい、同舞台挨拶に参加している2人組の観客に案内してもらったという福徳は「ありがとうございました。無事に到着してここに立つことができました」と感謝しつつ、本作については「もともと単独ライブがありまして、それはみなさんに笑ってほしかったんですけど、この映画では、芸人としての下心もありますのでもちろん笑ってほしいんですけど、不思議な世界を見るという感じで、映画なのかコントなのかコントシネマなのかよくわからない100分だと思うんですけど、僕らも自己満足にならないようにしないといけないなと思いながら撮りましたので、見てくれるお客様が楽しんでいただければなと思っております」と語った。

また、登場人物ほぼすべての役を演じ切ったジャルジャルの2人だが、気をつけた点やこだわったところを聞かれると、後藤は「僕ら2人しか出ていないので、なんとか別人に見えないとあかんなというところで、“こいつ誰だったっけ”ってならないように気をつけましたね」と明かし、福徳は「(2人で)11役やっているんですけど、顔が一緒というのが最大の弱点で、油断して見ていたら“こいつ誰や?”ってなってくると思うんです。なので、しっかり“メガネのやつ”ってインプットしながら見ないと。ややこしい話、とあるキャラが途中で髪を切るんですよ。髪切ってまたややこしくなるんですよ(笑)。そこで服装が大事になってきたりするので、覚えておいてください」と鑑賞する上でのポイントを観客に教授した。

これに、倉本監督は「2人は演じているからそういう風に言うんですけど、客観的に撮りながら見ていたら同じに見えないですよ。ジャルジャルのすごさはそこだと思うんですけど、特殊メイクもほとんどしてなくて、ちょっとした服装とメイクと髪型だけで憑依して、僕は最初からゴチャゴチャしないと確信がありました」と仕上がりに自信を覗かせた。

さらに、演じていて好きなキャラクターを尋ねられると、福徳は「僕は女性役をしているんですけど、ワンピースを着て外を歩くと気持ちいっすよね。撮影が6月くらいで気持ちよくて最高でしたね」と何かに目覚めた様子で、「口紅をつけてマスクをしたんですけど、(マスクに口紅が)付くので、女性ってこんなに大変なんだって。こんなにメイクのことを気にしてマスクをして、撮ったときに(口紅が)ハゲるから、嫌なんだろうなっていろんなこと考えましたわ」と女性の気持ちを理解していた。

対して、後藤は「(ポスターになっている)この人ですね。果たしていい人なのか、悪い人なのか、僕でもわからないんですよね。えげつないことをサラッと言ったりしますし」と答え、倉本監督は「人間らしいよな。人間はいろんな面があるし、出会う人によっていろいろキャラが変わるほうがリアルなんですよ。それを端的にやっている気がします。コイツのラストシーン、めっちゃ面白いですよ。よく見ておいてください」とオススメした。