Google純正スマートフォン「Pixel 6 Pro」。様々な特徴がありますが、その中でもカメラ機能がかなり優秀。特に望遠機能が優れていて、デジタルズームで20倍というズーム比ながら、デジタル処理が優秀なため、他社に比べても画質がいいのです。
折りしも、「ほぼ皆既月食」という月食が日本で見られるということで、Pixel 6 Proの20倍ズームをひっさげて撮影をしてみました。
Pixel 6シリーズは、メインカメラに5,000万画素のセンサーを採用。4画素を1つの画素として扱うことで、2.4μmの大きなピクセルピッチを実現している点が特徴です。レンズの焦点距離は35mm判換算24mm。上位モデルのPixel 6 Proのみ、望遠カメラを搭載しており、光学倍率は4倍。センサーの画素数は4,800万画素で、ピクセルビニングにより1,200万画素(実際の記録時は1,250万画素)になります。撮影した際のExif表記だと焦点距離は104mm。そのため、正確には約4.3倍になっているようです。
4倍以降はデジタルズームになります。メインカメラ比で最大20倍になるので、480mm相当になります。実際は、4,800万画素を生かして画像の中央を切り抜いたRAW画像を撮影し、それを1,200万画素にデジタル処理で拡大しているようです。RAWとJPEGの同時記録をすると、832×622ピクセル(約52万画素)のRAW画像が生成されており、これが4,080×3,072(約1,250万画素)に拡大されています。
この拡大処理が優秀なのですが、特にスマートフォン画面の全画面表示ぐらいだと、デジタルズームとは思えないレベルで描写してくれます。
というわけで、早速月食の月を撮ってみましょう。とはいえ、撮影地とした千葉県では上空はもやが掛かったような薄曇り。月食のピークあたりで雲に隠れてしまうなど、それほど上空の環境は良くありませんでした。それでもカメラを向けてみます。
一部のスマホカメラでは、自動的に月を認識してくれるモードもありますが、Pixel 6 Proは特にそうした機能はありません。そのため、そのまま撮影しようとしてもうまくいきません。
これは、夜空の月が「明るすぎる」からです。カメラ撮影時に、Pixel 6 Proでは、画面にタッチするとピントと露出を自動で合わせてくれますが、月をタッチしても周囲が暗すぎるため、そちらに引っ張られて月が明るく写りすぎてしまいます。
そこで、Pixel 6シリーズの特徴である露出補正の機能を使います。Pixel 6シリーズでは、明部と暗部、2つの露出を個別に設定できるのがとても便利。明部の露出は一番下まで下げて、暗部の露出を少しずつ明るくするなどして、最適な露出を探るといい感じでした。
いずれにしても、露出補正を考えると三脚を使った方が撮影は容易です。三脚だと、AIが天体モードになって補正処理を行うため、撮影時間は長くなります。手持ちの場合は、そうした処理が入らないため、サクサクと撮影できます。手ブレ補正も強力なので、手ブレの心配もありませんでした。
ただし、20倍ズームになると被写体を見失いやすいので、なるべく固定して撮影した方が簡単に撮影できます。
結果として、地球の影を回り込んだ太陽光に照らされて赤銅色になった月食の部分も、欠けていない部分もきれいに収めるのはやや難しかったのですが、月のクレーターもギリギリ判別できる程度には写っており、なかなかの結果でした。
もちろん、本格的な撮影機材には敵いませんが、Pixel 6 Proなら、気軽に月の撮影もできそうです。