フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)では、2011年に亡くなった落語家・立川談志さんの最期の姿を描く『切なくて いじらしくて メチャクチャなパパ ~家族が映した最期の立川談志~』を、没後10年となる21日に放送する。
番組では、談志さん自身と、それを誰よりも近くで見守ってきたマネージャーでもある長男・慎太郎さんが撮影したという約750本のテープ、1,000時間にも及ぶ未公開映像を入手。“天才”と呼ばれた男の軌跡をたどっていく。
これまで決して明かされることなく、家族だけが見つめ続けたという膨大な映像の始まりは、談志さんが63歳だった99年。「本にしないで画で映っていくという時代。具体的にそこに生きてはいなくてもタイムスリップできるようになってくる」という本人の言葉で、談志さんの数奇な運命が記録されていくことになる。
そこには、ビートたけし、中村勘三郎さん、森繁久彌さん、和田アキ子など大物芸能人たちとの私的な交流が映されているだけでなく、孫と遊ぶ際に見せた優しいおじいちゃんとしての表情や、最愛の妻との日常といったありのままの姿も記録され、これまで世間に明かされることがなかった家族しか知らない素顔を知ることができる。
また、初めて公開される映像の中には「生きるというのはつらい」「死にたい」という、誰にも見せることがなかった本音を漏らす談志の葛藤する姿も。レンズ越しに映る、衰えを隠せない自分の体に戸惑い、心が壊れそうになりながら、もがき苦しむ談志さん。それでも自らをカメラにさらし「落語家なんだから、恥もすべてぶっさらす」と強がるなど、己に語り続けた言葉「落語とは人間の業の肯定」を体現し続けるも、言いようのない“不安”と“いら立ち”にさいなまれる姿が生々しく描かれていく。
そこでは、決して人前で弱音を吐くことはなかった談志さんが、カメラに視線を向け、誰かに語りかけるように本音を投げかけている姿が。そして記録し続けた映像の終盤には、立川談志にとって最後となった高座「蜘蛛駕籠(くもかご)」を終えたあとの談志の姿も映されている。そして、落語家にとって命ともいうべき声を失いながらも、死の直前までカメラに自らをさらし続けた談志さんの思いとは…。
ナレーションを担当した女優の満島ひかりは「ここに出てくる談志さんを見たら、とっても元気になると思います。初めて知る若い方も、楽しく飛び散るそのパワーに圧倒されるだろうし、談志さんの姿を久しぶりに見る方も、“エネルギーあふれるこの感じ! 忘れてた”と心躍るのでは。“人生を面白がる”、まるだしの姿がカッコ良くって、ナレーションを読んでいて体が熱くなるトキュメンタリーでした」と感想を語っている。
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