つい先日、Windows 10 バージョン21H2がリリースされたばかりだが、今後はWindows 11が中心になっていくことを考えると、「Windows as a Servic」eだったはずのWindows 10を使い続けることは難しい。本稿の執筆時点でMicrosoftのモダンライフサイクルポリシーを確認すると、Windows 10各エディションは2025年10月14日にサポート終了を迎える。
この約3年間を長く感じるか短く感じるかはユーザーそれぞれだと思うが、いずれにせよWindows 11へのアップグレードパスを意識する必要はあるだろう。日本マイクロソフトは2021年11月18日にWindows 11に関する記者説明会をオンライン開催し、その中で「6月のWindows 11発表から2,000本を超える記事が公開された」(日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマー事業本部長 竹内洋平氏)と、Windows 11に対する注目度の高さをアピールした。
本誌でもこれまで多様な角度からWindows 11の特徴を紹介してきたので、Windows 11に関する概要は割愛するが、筆者も使っていて気になるのはUIの日本語品質だ。たとえば「Win」+「X」キーで開くメニューに並ぶ「Windowsターミナル(管理者)」にて「管」をアクセスキーとして設定するなど、明らかな見落としが多かった(現行のビルド22000.318では修正済み)。
また、Webサイト上のサポートページも機械翻訳を用いているため、可読性に首をかしげる場面は少なくない。本件について日本マイクロソフトは「継続的改善を重ねる。フィードバックを届けてほしい」(竹内氏)と語った。
今回の説明会で中心となったのは、Windows 11搭載PCを提供するパートナー企業だった。Dynabookは「Dynabook Cシリーズ」を取り上げ、AIノイズキャンセラーのデモンストレーションを披露。でんでん太鼓を鳴らしながらAIノイズキャンセラーを有効にしたところ、見事に太鼓の打音が消えて人物の声だけがクリアに流れた。
「Windows 11を活用できる幅広いラインナップを用意した。TDP(熱設計電力)24Wを実現するエンパワーテクノロジーや、チャイム音や犬の鳴き声といった環境音を削除する『AIノイズキャンセラー』機能などを搭載する」(Dynabook 国内マーケティング&ソリューション本部 副部長 荻野孝広氏)
デル・テクノロジーズは「Dell Inspiron 13」をアピール。狭ベゼル化とPC性能を両立したノートPCだ。「誤って内蔵カメラを有効化させないための物理的なセキュリティシャッターや、スマホに届いたメッセージや着信をPCで確認する『Dell Mobile Connect』を用意し、低VOC水性塗料でユーザーの健康に配慮した」(デル・テクノロジーズ コンシューマー&ビジネスマーケティング統括本部 本部長 田尻祥一氏)
日本HPは、「万人に好まれるスタイリッシュなノートPC」(日本HP パーソナルシステムズ事業本部 コンシューマービジネス本部長 沼田綾子氏)として、「HP ENVY x360 13-bd」を披露。ディスプレイが360°回転するコンバーチブル型の2in1 PCで、外出先で横に座った他者からディスプレイをのぞき込まれないようにする「HP Sure Vi Reflect」、物理スイッチで切り替え可能なセキュリティシャッター機能を備える。
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は、カーボン筐体で819gを実現した「FMV LIFEBOOK UH90/F3」を紹介。各種インタフェースを備えつつ、「我々は世界最軽量モデルを追求してきた。今回も使いやすさを忘れずに軽量化にこだわった」(富士通クライアントコンピューティング 執行役員 コンシューマ事業本部 副本部長 高嶋敏久氏)。独自エンジンによるAIノイズキャンセル機能や、内蔵カメラの代わりにスマホのカメラをオンライン会議に利用する「スマホカメラ転送」、DLNA対応レコーダーで録画した映像をPCで視聴できる「テレビ動画リンク」などを搭載する。
NECレノボ・ジャパングループは「LAVIE N14シリーズ」「Lenovo IdeaPad Duet 350i」の2機種をアピールした。LAVIE N14シリーズについて、「国内の主力は15.6インチだが、インハウスモビリティという考えが浸透している。リモートワークが増えたことを踏まえ、あえて14インチ」(NECレノボ・ジャパングループ コンシューマ事業 プレジデント 河島良輔氏)を選択したと説明する。10.3型デタッチャブルPCのLenovo IdeaPad Duet 350iは「学生向けかつ初めてのPC」(河島氏)として、使い回しやすさを強調した。
日本マイクロソフトおよび各パートナー企業は、これから迎える年末商戦に向けて各種キャンペーンを実施する。また、大型量販店における学生向けキャンペーンや認定販売店の配置、2021年春からSurface向けに開始したオンライン接客もパートナー企業のPCに拡大する予定だ。
コロナ禍で客足が鈍る可能性はあるものの、日本マイクロソフトは「代わりに全国の顧客へオンラインで接客できる。Windowsデバイスの魅力を伝えたい」(竹内氏)と意気込みを語った。Windows 10から無償アップグレード可能なWindows 11とはいえ、各種システム要件を満たせずにアップグレードできない環境も少なくないだろう。Windows 11を搭載したPCから好みの1台を見つけてほしい。