「不退転」という言葉は、さまざまなシーンで使われる言葉のひとつです。
しかし、近年では家族や友人などとの日常会話ではあまり使用しないこともあり、読みや意味がわからないという方も多いのではないでしょうか。言葉の意味を正しく理解できていないと円滑なコミュニケーションができません。
この記事では、不退転という言葉の読みや語源を紹介するとともに、正しい使い方についても例文をまじえて解説します。
不退転とは
不退転の読み方
不退転は「ふたいてん」と読みます。
不退転の意味
「信念を持ち、どのようなことにも屈しない」といった意味があります。
何かに屈することなく、意志を貫くといったポジティブなニュアンスがあります。自身の決意表明や意思を強調したいときなどにもよく使われる表現であり、多用するというよりも重要なシーンで使う言葉です。
不退転の語源
不退転という言葉は仏教に由来しています。「退転」とは、修行をしなかったり、悪行を行ったりすることを指す仏教用語です。努力を惜しまずに修行すれば不退転の境地に至れるといった意味で使われるようになりました。
現在の使い方とはやや異なりますが、前向きな言葉という点では共通しています。
仏教用語としての不退転
前述の通り、不退転は仏教にルーツを持つ言葉です。
現在における仏教用語としての不退転は、幸福を意味します。悪行を行わず、一生懸命修行をすれば、不退転にたどり着くことができるという考えから、仏教の世界において目指すべき境地とされています。
このように、私たちが日常やビジネスシーンなどで使う不退転と、仏教における不退転には異なった意味がありますので注意が必要です。とはいえ、普段の会話などで使われるときには、仏教的な意味を示すことはほとんどありません。
不退転の使い方・例文
不退転という言葉の意味を理解していても、実際に使いこなせなければ意味がありません。ここでは不退転という言葉を使用する際の注意点や、実際の使い方を例文ともに解説していきます。
不退転を使用するときの注意点
先ほども少し触れましたが、不退転は意思や覚悟などを強調する言葉です。そのため、多用しすぎるとかえって軽い表現ととられる可能性があります。
さほど強い意志や覚悟などが必要ではないシーンで使うと、大げさな表現とされることもありますので、不退転という言葉はここぞというタイミングに絞って効果的に使うことをおすすめします。
不退転を使った例文
ここからは、不退転という言葉を実際に使った例文をいくつか紹介します。
・ 不退転の覚悟を持って行動を起こす
・ 彼は不退転の意思があるので信用できる
・ 不退転の決意を持って進んでいく
・ 君に不退転の覚悟があれば成功できるだろう
このように不退転という言葉は、決意や覚悟といった言葉と組み合わせることで、より強調する形で使われるのが一般的です。やや硬い表現になりがちですが、日常会話の中でも使うことができます。
また、不退転は自分に対しても他人に対しても使える言葉です。自分に対して使う場合は意思表明などに、他人に対して使う場合は賞賛や発破をかける際に使われるケースが多くあります。
ビジネスシーンでの不退転の使い方・例文
不退転という言葉は、ビジネスシーンでも使われる言葉です。ここでは、ビジネスシーンにおける例文を紹介します。
・ 不退転の覚悟を持って新規プロジェクトに挑みます
・ 君の不退転の意思が今回の企画を成功に導いた
・ 不退転の決意を持って新規事業に取り組みます
・ 不退転の意思があるからこそ、君を信用している
不退転という言葉は、ビジネスシーンにおいてもさまざまな形で使うことができます。
ただし、先ほども触れたとおり多用しすぎると逆に薄い言葉に聞こえてしまう可能性があるため、ビジネスシーンにおいては特に注意が必要です。
使い方にさえ気を付ければ、自分の強い覚悟や意思などを相手にうまく伝えることができます。シーンや意味を考えながら使うように意識しましょう。
不退転を使った言葉
ここでは不退転を使った言葉を紹介します。
不退転の決意
不退転の定番表現のひとつに「不退転の決意」があります。「決意を強調する」といったニュアンスで使われ、どのような困難があっても諦めることなくやり遂げるといった決意を表明する場合に使用される表現です。
これから何か新しいことを始めるときなどに使いやすいでしょう。
不退転の意思
自分の考えなどを強調したいときに使われるのが「不退転の意思」という表現です。
「自分が考えていることを曲げずに貫く」という意味合いで、どのような状況にあっても前進し続けるといったニュアンスがあります。ビジネスシーンにおいても、意思表明するときなどで使用されます。
不退転の覚悟
覚悟を強調する際に使われるのが「不退転の覚悟」です。前述の意思や決意といった意味合いと同様、「何があっても最後までやり抜く」という覚悟を表明するときに使われます。
「不退転」と「覚悟」を組み合わせると強い表現になるため、あまり多用するのは好ましくありませんが、ここぞというタイミングで自分の気持ちや考えを主張したいときに使える言葉です。
不退転の類語
ここでは不退転の類語を紹介します。
不撓不屈(ふとうふくつ)
不退転の類語としては「不撓不屈(ふとうふくつ)」が挙げられます。
意味は「どれほど大きな障害があろうとも最後までやり抜くという意思や精神」です。不退転と近い意味で使われることが多く、そのまま置き換えて使用することができます。
ほかにも固い意志を示す言葉として「確固たる意思」「確固たる覚悟」といった言葉も、意思や覚悟などを強調する言葉ですので、不退転の類語として使われます。
不退転を使いこなしてコミュニケーションを円滑に
不退転(ふたいてん)は、決して退かない覚悟や意思などを強調する際に使われる言葉です。定番の言い回しがいくつかありますので、覚えておきましょう。
しかし、多用しすぎると大げさな表現になってしまう可能性があります。言葉の意味と同時に、使い方や注意点を理解しておくといいでしょう。