2021年7月のグローバル発表以来、ハーレーダビッドソンの今後を占うモデルとして大注目の「スポーツスターS」。まもなく開始予定の日本デリバリーを心待ちにしているファンも多いのではないだろうか。そんな注目モデルに一足早く試乗し、実力を体感してきた。
モード次第で優等生がじゃじゃ馬に!
ハーレーダビッドソンの歴史の大転換ともいえる変貌を遂げた「スポーツスターS」。まず注目したのは、伝統の空冷Vツインエンジンから新開発の1,252cc水冷60度Vツインエンジン「レボリューションマックス1250T」に刷新されたことだ。心臓部の刷新により、キャラクターはどのように変わっているのだろうか。
さっそくまたがってエンジンを始動させると、ほとんど振動を感じない。これはハンドルやエンジン回りの目視だけではっきりわかるレベルでブレが少ない。
サウンドもハーレーならではの腹に響くような爆音というわけではなく、かなりマイルドな印象だ。従来のハーレーファンにはちょっと物足りないかもしれない。
試乗をスタートさせるが、その走り出しは重心が低く設計されているおかげで安定感抜群。足つきも良好で、途中の信号待ちもなんら問題は感じない。これはストップ&ゴーの多い市街地走行での優位点だろう。
今回の試乗では、「スポーツスターS」が備える5つのライドモードのうち「ロード」と「スポーツ」を確認した。ロードは優等生といった感じでとても乗りやすいが、スポーツは走り出しから加速度満点のじゃじゃ馬っぷり。全く違う味つけが施されていて、モードを切り替えるたびに乗る楽しさが増えそうだった。
一方、少し残念に思ったのがライディングポジションだ。足を投げ出すように乗るハーレーらしさはあるが、ハンドルが前方にあるため、体をくの字に曲げる体勢で少し窮屈だった。
試乗後に担当者に話を聞いたところ、「ハーレーダビッドソンはカスタムを推奨しているので、お客さま好みのカスタマイズも楽しんでもらえれば」とのことだった。ちなみにハーレーダビッドソンの純正オプションには「ミッドコントロールキット」(13.7761万円)が用意されている。これを装着するとステップ位置が後方に下がり、ビンテージモデルっぽいライディングポジションに変更できるそうだ。
今回の試乗は90分ほどだったが、最初は物足りなく感じた振動の少なさが、結果的には疲労感の低減に役立っていたのか疲れを感じなかった。これなら、ロングツーリングでも活躍が期待できそうだ。