現在の就活生にとってインターンシップ制度は、OB訪問や説明会・セミナーへの参加などと同様に、場合によってはそれ以上に重要な活動となっている。
会社の雰囲気がわかったり、仕事への理解が深まったりと様々な特徴やメリットがあるインターンシップだが、一般化したのは2000年代に入ってから。それ以前はインターンを実施する企業も参加する学生も少数だったことから、現在の社会人の中にはインターンシップを経験してこなかったという人も多いことだろう。
そこで今回は、社会人の先輩であるマイナビニュース男女会員509人を対象にアンケート調査を実施。「インターンシップ未経験者がいま学生時代に戻るとしたら、インターンシップに参加するか」などを聞いた。現在、就活中の人にとっても、きっと興味深く読めるはずだ。
Q.学生の時、インターンシップに参加したことはありますか?
「はい」(39.3%)
「いいえ」(60.7%)
Q.(前問で「いいえ」の人へ)いま学生時代に戻るとしたら、インターンシップに参加したいと思いますか?
1位「少し思う」(36.2%)
2位「あまり思わない」(22.3%)
3位「まったく思わない」(21.0%)
4位「とても思う」(20.4%)
Q.インターンシップに参加したい、または参加したくないと思った理由について具体的に教えてください(自由回答)
■「参加したいと、とても思う」
・「職場の雰囲気を体験できるのは、非常に有意義な体験であると思う」(41歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「参加したほうが企業の環境や業務内容を理解できて、双方にメリットがある」(43歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「企業説明や見学だけでは実際働いた時のギャップが大きくなり、退職率が高くなってしまう」(45歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「入社前からその企業の雰囲気や仕事について実際に見たり感じたりして、自分に合うかどうかをジャッジできるのはいいと思う」(37歳女性/繊維・アパレル/販売・サービス関連)
・「自分の視野も広げられると思うし、その企業の特性を知ることで自分を成長させることもできたのではないか」(40歳女性/生活協同組合/事務・企画・経営関連)
・「就職前に自分が興味のある業界を体験出来したかったのと、コネを作りたかったので」(48歳女性/専門商社/営業関連)
・「学生時代はインターシップ自体に興味か無かったのですけど、大人になってからはインターシップに参加して経験を積んでおいた方が良かったかな~と思いましたので」(48歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「まだ社会に出る前の学生のうちに企業のオフィスや仕事をする場を見たり、社会人として働く人々の様子を見ながら自分も一緒実際に働くことができるので、とてもいい経験ができそう」(38歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「今の仕事が専門職だが、『資格』『専門』と言った型を破った、別の色んな仕事にも目を向けてみたかったから」(37歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「やっぱり現場を知っておくことはとても大事だと思いました。教師の現場を知っていれば、教師にはなりませんでした……(教育実習は行きましたが、あれは楽過ぎました)」(39歳女性/教育/専門サービス関連)
・「インターンシップをしたとしても分からないことは多いだろうと思いますが、アルバイトとの違いを肌で感じることができれば、それだけでも収穫かなと思うので。なかなかアルバイトでは働くことができない業種の企業で働くことができれば、就職活動において就職先を考える貴重な経験・資料になると思う。学生のうちに多種多様な企業で経験を積めるのは、将来の社会人人生においてもプラスに働くような気がする」(44歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「実際に自分の会社に来ているインターンシップ生を見ていてうらやましいから」(48歳女性/人材派遣・人材紹介/IT関連技術職)
■「参加したいと少し思う」
・「色々な企業を実際に体験できる貴重な時間だから」(38歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「事前に知っていたら、仕事に対する取り組みも違ってくると思う」(44歳男性/設計/建築・土木関連技術職)
・「実際に社会人になってみると想像していたのと違ったりするから、事前に体験するといいかなぁと思う」(25歳女性/繊維・アパレル/事務・企画・経営関連)
・「色んな経験や、どういった感じで仕事が進むのか憧れの仕事を体験できるのであれば、有意義でやってみる価値はあると思います」(37歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「卒業前に仕事が経験できれば、入社後とまどったりすることがなさそうなので」(46歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「もう一度学業ができるなら、専門的な知識も体得したい。その上で、実践してみる体験を出来る機会があるなら、やってみたいと思う」(46歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「実際に職場体験できることは、職場選びをするにあたり有益だと思う」(43歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「実際に体験してみることで、知らなかったことやわからなかったことを解消できる可能性がある」(41歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「業種を選ぶ際もイメージだけで選んだので、いくつかの仕事を自分の目で見ることが大事だと思う」(39歳女性/旅行・観光/販売・サービス関連)
・「社会人になってから、入社の前にインターンでその会社の雰囲気を掴めると、ミスマッチが無くなると思った」(34歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「働く前に少し、会社の雰囲気や仕事を経験できるのはいいと思う」(47歳男性/建設・土木/技能工・運輸・設備関連)
・「学生の頃は配達やサービスなど肉体労働のアルバイトが多かったので、もう少し知識や技術のある事をしたかったと思っていた」(40歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「学生の頃は結構遊び惚けていたので(それが多少許される時代だった)、少しはそういうのに参加して視野を広げればよかった、と今なら思った」(43歳女性/サービス/販売・サービス関連)
・「就職前に、働いてみたかった業界の裏側やデメリット面が知れるのがいいですね。実際就職したとしてもギャップが少なくなりますし、幻滅して他の業界を選ぶという事もできますし」(47歳女性/半導体・電子・電気機器/事務・企画・経営関連)
・「働き出してのミスマッチが自分にはあったから。余裕があるなら行うべきだと思う。自分の時は不景気でなかなか決まらなかったので、内定が出たところに有無も言わさず決めた記憶がある」(44歳男性/通信機器/営業関連)
■「参加したいとあまり思わない」
・「参加したことがないから、不安」(49歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「実態とかけ離れてる場合がほとんどだから」(48歳男性/セキュリティ/その他・専業主婦等)
・「学業を阻害している悪例をしばしば見聞する」(48歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「学生の頃にしかできないことをやった方が良い」(41歳男性/輸送用機器/IT関連技術職)
・「嫌なところばかり見えて、就業意欲そのものがなくなりそう」(35歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「あまり興味がない。消極的で物事に対して前に進めない」(49歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「インターシップがどんなものか分からないから、余り参加したくない」(39歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「多少雰囲気がわかるが、あまりメリットを感じられない」(41歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「インターンシップに参加しても、本当の会社の内情は分からないと思う」(49歳男性/半導体・電子・電気機器/メカトロ関連技術職)
・「インターンシップに参加したからといって、その会社に就職できる訳ではない」(37歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「やってみたい業種はアルバイトで体験できるものだったので、あまり企業でインターンまでしてやりたいと思うことがなかった」(47歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「報酬面が気になるから」(28歳女性/専門店/販売・サービス関連)
・「公務員になったため」(39歳男性/その他電気・電子関連/メカトロ関連技術職)
■「参加したいとは、まったく思わない」
・「そういう企業に入れるわけがないから」(43歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「そのような体験が苦手なため、できればやりたくない」(40歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「プレッシャーもあるし、面倒臭い」(39歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「内容がいまいちわからないし、想像がつかないから」(39歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「インターンシップに参加しなくてもいいように、見極める力を備えるように!!」(42歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「学生時代にしなければならないことではないから」(25歳女性/セキュリティ/技能工・運輸・設備関連)
・「早めに社会に出たかったので。自己収入を得たかったので、必要性が無かったんですね」(43歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「インターンシップで接点をもつ社員はその企業のごく一部であり、インターンシップに参加したことが採用につながりやすいとは思わない」(41歳男性/教育/クリエイティブ関連)
・「学生時代に仕事をするのは辛そう」(48歳男性/銀行/営業関連)
■総評
調査の結果、マイナビニュース会員のうち、学生の時にインターンシップに参加したことがある人は全体の4割近い、39.3%となった。
学生の時にインターンシップに参加したことがない人に対して、いま学生時代に戻るとしたら、インターンシップに参加したいと思うかを聞いたところ、1位は36.2%を集めた「少し思う」となった。以下、2位「あまり思わない」(22.3%)、3位「まったく思わない」(21.0%)、4位「とても思う」(20.4%)と続く。「少し思う」と「とても思う」を合わせると、半数以上の56.6%の人が参加したいと思っていることがわかった。
インターンシップに参加したい、または参加したくないと思った理由について具体的に聞いた。まず、「とても思う」あるいは「少し思う」では、「会社の雰囲気を知ることが出来る」「仕事内容や業務の流れを理解できる」「視野が広がる」「勉強になる」「可能性を広げられる」「就職へのモチベーションが高まる」「想像と実態とのギャップを埋められる」「自分の適性がわかる」「ミスマッチを防げる」「企業や職場の雰囲気がわかる」「具体的なイメージを掴める」「採用側のニーズが掴める」「視野が広がる」ことなどが指摘されている。
一方の「あまり思わない」「まったく思わない」では、「インターンシップをよく知らない」「学業の妨げになる」「実態とはギャップがある」「企業の嫌な部分が見える」「けっきょくは入社できない」「不安」「面倒」などの声が寄せられた。
今回のアンケートでは、学生の時にインターンシップに参加したことがない人の過半数が、いま学生時代に戻るとしたらインターンシップに参加したいと考えていることがわかった。自身は学生時代には参加しなかったとはいえ、インターンシップが持つ様々なメリット、会社の雰囲気がわかったり、仕事への理解が深まったりといったことを高く評価している実態がうかがえる。
この結果は、現在就活をしていて、なおかつインターンシップに対して距離感を抱いている学生にとっても示唆に富んだ内容となったのではないだろうか。インターンシップに参加しない理由には様々なものがあるだろうが、モノは試しで一度くらい参加してみてもいいのでは? 今回は、そんな感想をいだかせるアンケート結果となった。
調査時期: 2021年9月13日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 509人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません