お笑い芸人やコメンテーター、役者と、ジャンルに因われない活躍を見せるカンニング竹山さん。実はその多彩な生き方には、偉大なる先輩芸人たちによるアドバイスが強く影響していたようです。

今回は、カンニング竹山さんに「"好き"を仕事にすることの意義」についてインタビュー。マルチな働き方を後押しした先輩たちの教えや、仕事を好きでい続けるためのコツについてお話をうかがいました。

▼「決めつけることほどつまらないことはない」という美輪さんの言葉

―― お笑い芸人、コメンテーター、俳優、最近ではYouTubeも始められました。とてもマルチに活躍されている竹山さんですが、複数の分野のお仕事をされることの面白さ、大変さをお教えください。

いろんなことをやり始めたキッカケは、やっぱり「天才が多い」ということですよね。ザキヤマ(山崎弘也)とか秋山竜次とか、一緒にやっていたはずの同世代のスペシャリストたちと比べて、「力が違うな」って感じたんです。そんなときに「お芝居やってみない?」とか、いろいろと声をかけてもらったことが始まりでしたね。

―― 悩まれていた時期があったんですね。

今も悩みながらいろんなことをやっているんですけど、5年くらい前に、歌手で俳優の美輪明宏さんに「自分が何者かを決めつけることが1番面白くない」って言われたんですよ。「アンタ、自分が芸人だからって、あれはやらない、これはやらないっていう生き方はしなさんなよ」って。

「なんでですか?」って聞くと、「そうやって決めつけることほど、つまらないことはない。どんなジャンルでも精一杯やって、全部で満点を取っておいで。それが1番面白いんだから」って言われて。そうか、そういう生き方でいいだって思いましたね。

▼「楽しければいいんだ」。木梨さんの背中を見て学んだこと

―― 人生を左右するようなアドバイスだったんですね。

偶然、同時期に先輩の(木梨)憲武さんからも「お前、全部やれよ」って言われたんですよ。「ワイドショーでワーワー言ってこい」「お笑いもやればいい」「役者なら思いっきりカッコつけてやってこい」「全部やるんだよ。決めつけんな」って、美輪さんと同じことを言ってたんです(笑)。

あ、そうなのか。先輩たちはそういう考えなんだ。決めつけたら楽しくないんだな。じゃあ、俺もいろんなことやってみよう、っていう感じですね。

―― それでいろんなことにチャレンジされるようになったと。

どれも始めは遊びなんですよ。YouTubeもそうです。遊んでいることがお金になれば、それが1番面白い。まずは「こういうことやりたいけど、できるかな?」って周りに相談して、それから人を集めて、遊びながらなにかを作り出す。そういう楽しみ方が大事だっていうことを、憲武さんの背中を見て学んだんですよ。

もし、美輪明宏さんと憲武さんから教わっていなかったら、40代は結構苦しいことになっていたでしょうね。やっぱり、彼らに教わったことがデカいですね。

―― 天才芸人たちに囲まれていることで、苦悩もあった。でも、いろんな分野で活躍していいんだと気付いてからは、生き方も変わったということですね。

そうですね。「このまま芸人としてどうすればいいんだろう」とか、「こんなところで遊んでいる場合じゃないんじゃないか」とか、「酒ばっかり煽っている場合じゃないんじゃないか」とか思っていたけど、憲武さんは「関係ねぇよ、そんなの!」「反省なんかしちゃダメだよ!」って言うわけ(笑)。

あの人は天才だから同じようにはなれないんだけど、憲武さんの話を聞いてからは、「楽しければいいんだ」っていう考え方に変わりましたよね。

▼「オンとオフのスイッチなんて、バカになっている人が一番楽しい」

―― 竹山さんが仕事をするうえで大事にされていることはなんでしょう?

うーん……1番は「楽しくやる」ですかね。番組に出るときも、せっかくキャスティングしてくれているんだから、自分に求められている仕事をしっかりとこなして、ちゃんと返す。スタッフさんの期待に応えて、「あいつをキャスティングしてよかったな」って思ってもらえるよう心がける。そのうえで、あとは自分が一番楽しむ。これに尽きますかね。

―― 「仕事を好きでいるため」に努力していることなどはありますか?

僕は仕事が好きですけど、世の中の人は仕事が好きな人ばかりじゃないですよね。それは、仕事と遊びを分けているからだと思うんです。よく「オンとオフ」って言うじゃないですか。でも、オンとオフなんてないんですよ。仕事も遊びも、全部遊びなんです。

オンとオフでスイッチを切り替えるっていうけど、スイッチなんて押したら楽しくなくなるんですよ。今は「やる気スイッチ」なんて言われて、それが普通だと思われているけど、オンとオフなんて使いだしたら、オフからオンにするときどうするんだよって思います(笑)。

―― なるほど。あえてオンとオフの壁を意識せず、地続きでやっていくと。

そのほうが楽じゃないですか。「あー、会社だ。面倒くせぇな」って思っても、行ったら行ったでなんか面白いことあるかなって思ってみたり、帰りにあそこの店で惣菜買って帰るかって考えてみたり。

そうやってニヤニヤ考えているだけでも、ちょっと仕事が楽しみじゃないですか。逆に、休みの日だってトラブればキツイわけですから。そんな考えのほうが楽だと思いますけどね。オンとオフのスイッチなんて、バカになっている人が一番楽しいんですよ(笑)。

▼今後の目標は「ない」。そのときの流れを楽しむ生き方

―― 竹山さんの今後の目標について教えていただけますか?

目標っていうのはないんですよ。「どんな芸人になりたいですか?」「今後やりたいことはなんですか?」ってよく聞かれますが、「そんなもんはねぇ!」っていう答えに行き着いたんです(笑)。だって、この先どうなるかなんてわからないじゃないですか。そのときの流れを楽しむっていう生き方のほうが楽しいんですよ。

―― 怖くないんですか?

別に死ぬわけじゃないし、目標を決めたところで、実際にそうなるかどうかもわからないじゃないですか。なにが起きるのかわからないほうが楽しいし、生まれてから今まで、なにがあるかわからない人生だったわけでしょ?だから、流れを楽しむんですよ。

―― 10月からは、ツイッターで配信される家族会議型バラエティ『竹山家のお茶の間で団らん』も始まります。意気込みをお願いします。

"ツイッター番組"っていうのが僕のなかですごく魅力的で、お話をいただいたときすぐに「やろう」と思ったんです。テレビじゃなく、ツイッターで番組をやるっていうことは、なにが起こりそうな気もしたし、この新しい流れに乗ってみたいなって思ったんですよね。

ベッドの上で、スマホで見てもらいたい番組ですね。お茶の間に正座なんかせず、ダラダラと見てほしい。番組では、きっとなにかのヒントになる情報や、人生のタメになる情報があるはずです。とにかく面白くなりそうな匂いがしますから、ぜひご覧ください!