三日月宗近(みかづきむねちか)とは日本刀の中でも特に名刀とされる「天下五剣」の一振りです。日本刀の名刀を擬人化したゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」にも登場しており、優雅でマイペースなキャラクターとして描かれています。
この記事では三日月宗近を日本刀と刀剣乱舞の両者の視点で解説します。
三日月宗近とは
三日月宗近とは「天下五剣(てんがごけん)」と呼ばれる、日本刀の中でも特に名刀とされている刀の1振りです。名前の由来でもある三日月形の刃の模様により、天下五剣の中で特に美しく優雅な刀と言われています。
また、三日月宗近は、刀剣をモチーフとしたゲームおよびメディア作品である「刀剣乱舞-ONLINE-」に登場するキャラクターでもあります。
三日月宗近は時の権力者に愛された刀
三日月宗近は10~12世紀頃に作られた日本刀です。刀工は平安時代に活躍した三条宗近であり、室町時代には足利家、安土桃山時代には豊臣家、江戸時代には徳川家が所有してきました。各年代の権力者たちによって愛された刀と言えるでしょう。
三日月宗近は国宝
現在は東京国立博物館に収蔵されており、国宝にも指定されています。現物を見たい場合は展示のタイミングを見逃さないようにしましょう。
三日月宗近は刀剣乱舞のキャラクターでもある
三日月宗近は、刀剣乱舞-ONLINE-のゲーム内にも登場しています。刀剣をモチーフとした「刀剣男士」は美男子のキャラクターとして描かれており、各キャラクターの担当声優も著名な人ばかりです。そのため、「刀剣女子」と呼ばれる刀剣男士の熱狂的なファンが多くいます。
刀剣乱舞はもともと無料の育成シミュレーションゲームですが、人気を得たためにアニメやミュージカル、舞台などにまで発展しており、三日月宗近も同様にゲーム以外にも活躍する人気のキャラクターとなっています。
三日月宗近の特徴
三日月宗近は天下五剣の一振りであり、数多くの日本刀でも知名度が高く、三日月型の美しい紋様が魅力の日本刀です。三日月宗近の特徴を解説します。
天下五剣の一振り
天下五剣とは、日本刀の最高傑作と呼ばれる5振りの日本刀のことを指します。
- 三日月宗近
- 童子切安綱(どうじぎりやすつな)
- 大典太光世(おおでんたみつよ)
- 数珠丸恒次(じゅずまるつねつぐ)
- 鬼丸国綱(おにまるくにつな)
この5本が天下五剣と称されています。
天下五剣にはさまざまな伝説があり、全国各地に現存している貴重な歴史を持ちます。歴史的な人物である足利義輝(あしかがよしてる)や豊臣秀吉が天下五剣を所有していたとされています。
童子切安綱と鬼丸国綱は鬼退治に関わり、大典太光世は重い病を治す霊力を持つという伝説が現代にまで伝えられています。また、数珠丸恒次は仏法とつながりが深く、現在も兵庫県尼崎市にある本興寺に収蔵されています。
三日月形の紋様
三日月宗近が最上級の名刀を集めた天下五剣の中でも、特に美しいとされている由縁は、独特な三日月型の紋様や形状にあります。
三日月宗近は、鎬(しのぎ)と反りがある日本刀としては最古とされており、名刀のリストである江戸時代の「享保名物帳(きょうほうめいぶつちょう)」にも記載されているほどです。
また、日本刀の刃の紋様である地鉄(じがね)が「打ちのけ」と呼ばれる独特な形をしています。そのため、光に照らされると、うっすらと浮かび上がる三日月のように見えるという特徴があります。この特徴から、三日月の名前が付けられました。
さらに、三日月宗近の刃長は2尺6寸4分(約80cm)で幅が細く、手元の部分の鍔元(つばもと)から刃の先端である鋒(きっさき)に向けて、だんだんと反りが緩くなっています。そのため、美しい曲線を描き、「踏ん張りがある姿」と表現されるそうです。
このような特徴から、三日月宗近は優雅な刀といわれるのでしょう。
三日月宗近は誰が作った刀なのか
三日月宗近は平安時代の刀工である「三条宗近(さんじょうむねちか)」の作品です。刀工集団である「三条派」の創始者でもあり、京都の三条に住んでいたことが名前の由来とされています。貴族の生まれであり、出生環境は三日月宗近の美しさの原点である説があるようです。
三条宗近は、三日月宗近以外にも、さまざまな名刀を作り上げたといわれています。三条宗近が作ったとされる刀剣には、「小狐丸(こぎつねまる)」「今剣(いまのつるぎ)」「岩融(いわとおし)」などがありますが、いずれも現存していません。今剣は源義経が身に付けていた刀とされています。
足利義輝が所有
三日月宗近を所有していた主な人物に、室町幕府の13代将軍である「足利義輝」がいます。足利義輝は有力者でありながら、「剣豪将軍」と呼ばれるほど剣術に秀でており、日本刀の中でも名刀ばかりを集めていたとされている将軍です。
足利義輝は、家臣に謀反を起こされた際に三日月宗近を含めた愛刀を手に応戦したという逸話も残っています。
東京国立博物館にて展示
三日月宗近は現在、天下五剣の童子切安綱とともに東京国立博物館に収蔵されており、度々展示が行われています。1951年には国宝に指定され、現存する貴重な日本刀として、多くの刀剣ファンを集めています。
刀剣乱舞の三日月宗近
刀剣乱舞における三日月宗近は優雅でマイペースなキャラクターとして描かれています。優れた日本刀である天下五剣らしく、器の大きい設定です。ここからは、刀剣乱舞での三日月宗近についてみていきましょう。
三日月宗近の打ちのけを意識したキャラクター像
日本刀の三日月宗近は美しい曲線や三日月型の打ちのけなどから、美しい刀剣とされているため、キャラクターとしての三日月宗近も、平安貴族のような優雅な姿で描かれています。三日月型のデザインが大きく入った服装と、瞳の中に描かれた三日月の模様などに、実在の三日月宗近のデザインが取り入れられています。
性格は器が大きく、とてもマイペース。歴史ある日本刀であることから、自らを「じじい」と呼び、実直な人柄で少し抜けているような姿が特徴的と言えるでしょう。
三日月宗近のボイス担当
三日月宗近の担当声優は鳥海浩輔(とりうみこうすけ)さんです。おじいさんっぽさを感じさせる、気の抜けた力まない演技をされています。鳥海さんの主な出演作は以下の通りです。
- 弱虫ペダルの「今泉俊輔」
- 薄桜鬼の「斎藤一」
- NARUTO-ナルト-の「犬塚キバ」
- テニスの王子様の「千石清純」
弱虫ペダルでは、ゆったりとした口調の三日月宗近とは異なる、クールな役柄の今泉俊輔を演じているなど、幅広い演技が魅力的な声優です。
メディアミックス
刀剣乱舞には原作のゲームである刀剣乱舞-ONLINE-以外にも、さまざまなメディア作品が生まれています。三日月宗近は舞台やアニメ、ほかのゲーム作品などにも登場しています。
例えば、ゲーム作品の「刀剣乱舞無双」では第一部隊の隊長として、部隊を率いるリーダーの役割を担っています。
三日月宗近は日本刀の名刀である天下五剣の一振りで、三日月形の模様である打ちのけにより、三日月の名が付けられた美しい日本刀です。刀工集団の三条派の開祖として、名刀を世に何本も生み出してきた、平安時代の刀工の三条宗近により作られました。
日本刀をモチーフとしたメディア作品の刀剣乱舞でも、三日月宗近を擬人化したキャラクターが存在しています。実在の三日月宗近のような優雅さを持ち、マイペースな性格が魅力的なキャラクターです。
三日月宗近は現在、東京国立博物館にて収蔵されており、展示が行われることもあります。刀剣乱舞を楽しみながら三日月宗近の歴史に迫ってみてはいかがでしょうか。