先週放送の第4話で大きく事件の真相が動き出したTBS系金曜ドラマ『最愛』(毎週金曜22:00~)。吉高由里子演じる主人公・真田梨央の生き別れになった弟の優が、殺人事件に大きく関与していることをほのめかす動画を梨央と、刑事の宮崎大輝に送り、梨央の前に姿を現した。そして12日放送の第5話ではさらに衝撃の展開が繰り広げられた――。物語のキーマンとして登場した優を演じている高橋文哉が、姉役の吉高との芝居で感じたことや、作品に対する思いを語った。
『仮面ライダーゼロワン』の主人公・飛電或人役で注目を浴びた高橋。その後は、ドラマ『先生を消す方程式。』で影のある生徒役を演じると、本作では2006年と2021年に起きた殺人事件を結ぶ重要な鍵を握る謎の男として登場。ライダーとは違う顔を見せ、視聴者にインパクトを与えた。
謎の人物として作品にインし、物語中盤で視聴者に梨央の弟・優であることが判明するという展開。高橋は「(及川光博演じる)後藤さんと絡むときは、情報屋としての顔をしていますが、それ以外のところは、自分のなかでは優という人間として演じていました」と語り、「例えば情報屋としてお姉ちゃんの様子をハッキングしているときも、会話のなかで、お姉ちゃんが嫌いな食べ物の話をしているときに、表情が緩んでいるんです。でもそれが何か悪だくみを考えているように見えたりもするので、そういう部分は監督と話をしながら演じていました」と役へのアプローチ方法について述べる。
吉高とは姉弟という濃い関係で芝居に挑んだ。第4話のラストが物語上、梨央と優が最初にコンタクトをとる瞬間だった。「『姉ちゃん』というあのシーンは、優としても高橋文哉としても、すごくドキドキしました。物語の一本の軸となるようなとても大事なセリフを言うシーンだったので、いろいろな感情が混在していました」と振り返る。
とても難しいシーンだったというが「吉高さんが姉ちゃんで在り続けてくださったので、優としてはとてもやりやすかったです」と感謝を述べる。さらに吉高の変幻自在ぶりにも大きな影響を受けたようだ。「リハーサルやテスト、本番と毎回顔やセリフの言い方が違うんです。そのときに感じたままのお芝居をされるので、対峙している僕にもすごく伝わってくるし、自分の気持ちも高めていただいています。見ていても楽しい役者さんで、自分も負けないようにしがみついていけるようにと頑張っています」。
いろいろなシーンがあるなかでも、印象に残っているのが第5話の梨央と共に実家に帰るシーンで、優が梨央に向かって「俺逃げてばっかりやったで……もうしんどいわ」というセリフだという。「このセリフは、本来の言葉の意味ではなく、姉ちゃんを安心させるために言ったものだったのですが、ニュアンスが難しくて結構テイクを重ねてしまったんです。でも最後OKが出たあと、吉高さんが『いまの優よかったじゃん』ってほかのスタッフさんに言っているのを聞いてすごくうれしかったし、もっと頑張りたいって思いました」。
台本の行間に潜んでいる感情をビシビシと伝えてくる吉高。高橋は「自分自身でも予想しなかった感情を引き出してくれるんです」と役者として羨望の眼差しを向ける。一方で、カメラが回っていないときの明るく柔らかい雰囲気にも救われている。「吉高さんの明るい雰囲気のおかげで、変に緊張せずに臨むことができました」と人としても魅了されているという。
本作を手掛けるのは新井順子プロデューサー×塚原あゆ子監督という、過去に何作も話題作を世に送り出している黄金コンビ。高橋自身もドラマ『着飾る恋には理由があって』で作品を共にしている。「塚原さんは、自分が悩んでいるときは『こうして』ではなく『こういうやり方もあるよ』と提案してくれるんです」と丁寧な演出に感謝する。
『仮面ライダーゼロワン』の或人として世に出た高橋が、殺人を犯してしまったかもしれないという過酷な過去をもつ、或人とは正反対のような役に挑んでいる。「今まさに格闘中という感じなのですが、吉高さん、井浦(新)さん、松下(洸平)さんら先輩方とお芝居をさせていただき、役者としての価値観も変わりました。作品が終わったとき、きっと大きく成長できているのでは……と感じています」と語るように、本作が高橋にとって大きな出会いとなったことは間違いないだろう。
2001年3月12日生まれ、埼玉県出身。2019年、特撮ドラマ『仮面ライダーゼロワン』で主人公・飛電或人/仮面ライダーゼロワン役を演じ話題に。その後、ドラマ『先生を消す方程式。』(20)、『夢中さ、きみに。』、『着飾る恋には理由があって』、『うきわ-友達以上、不倫未満-』(21)、映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ファイナル』(21)などに出演。
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