就職活動を通じて、インターンシップに参加する機会に恵まれた人は多いことだろう。企業にとっては有望な学生を選考する場でもあり、学生にとっても志望する企業がどんな雰囲気か、仕事の実態がどうなっているかなどを知る絶好の機会となる。
近年は、「就職活動の入り口」としての認識も高まり、インターンシップ制度を採用する企業の数も増えている。しかし当の就活生は果たして、インターンシップでの経験を就職活動に活かせたと感じているのだろうか。
そこで今回は、社会人の先輩であるマイナビニュース男女会員509人を対象にアンケート調査を実施。「インターンシップでの経験は就職活動に活かせたか」などを聞いた。現在、就活中の人にとっても興味深い内容となっているはずだ。
Q.学生の時、インターンシップに参加したことはありますか?
「はい」(39.3%)
「いいえ」(60.7%)
Q.インターンシップに参加した企業のその後について教えてください
1位「採用試験を受けなかった」(38.5%)
2位「入社した」(23.5%)
2位「採用試験に受かったが入社はしなかった」(23.5%)
4位「採用試験を受けたが落選した」(14.5%)
Q.インターンシップに参加した企業を選んだ、または選ばなかった理由について具体的に教えてください
■「採用試験を受けなかった」
・「他の会社から内定を受けたため」(49歳男性/医療・福祉・介護サービス/公共サービス関連)
・「他に自分の希望に合った企業が見つかった」(47歳女性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「インターンシップに参加した企業より魅力的な企業があったから」(35歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「その後、新たな興味が沸いた分野と出会ったから」(48歳男性/教育/専門サービス関連)
・「想像と実態にギャップがあった」(47歳男性/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)
・「理想と現実がかけ離れすぎていたから」(49歳男性/医療・福祉・介護サービス/その他技術職)
・「明らかにブラック企業だと判断できる場面が散見されたので」(44歳男性/農業協同組合/技能工・運輸・設備関連)
・「業界的に給与が低い、長時間労働なので」(49歳男性/)半導体・電子・電気機器/事務・企画・経営関連
・「ベンチャーで熱意のある社員さんと刺激的な成長を出来るかと思ったが、ワンマン社長のハラスメントに近いものを感じた」(42歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「自分の住んでる地域に、その関係の企業がなかった」(37歳男性/精密機器/技能工・運輸・設備関連)
・「インターンシップは大学があったところの企業で行い、就職は地元の会社にしたため」(31歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「卒業後は、地元の同系の職場に就職するつもりだったから」(45歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「自分の学んでいる技術分野と少し異なるため、即戦力として働けないと考えた」(42歳男性/コンピューター機器/メカトロ関連技術職)
・「自分の適性や興味のある企業を選んだ。自分に向いてないと感じた企業は選ばなかった」(45歳男性/精密機器/技能工・運輸・設備関連)
・「銀行業務のインターンシップは大学に案内が来ていたから受けただけで、実際にそこに入りたいとは思っていなかった。でも、学内で銀行を志望する人が多かったので、一応はどういう仕事なのかと喰わず嫌いにならないように受けただけだったから」(40歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「公務員に切り替えたから」(32歳男性/官公庁/公共サービス関連)
■「入社した」
・「インターンシップで好印象を抱いたので入社しました」(41歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「この企業なら仕事に邁進できそうだと思えたから」(36歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「自分が成長できる企業だと感じられた」(37歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「結局、自分が一番響いたところにしたかった」(26歳男性/コンビニエンスストア/販売・サービス関連)
・「勢いは感じていたので。あと流れもあり、そのまま入社した」(41歳男性/通信関連/営業関連)
・「インターンシップに参加して、その企業で働きたいと思ったから」(31歳男性/エステティック・美容・理容/販売・サービス関連)
・「仕事内容はかなりハードだったが、仕事をする姿を想像できたから」(32歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「やりがいがありそうで、地域に貢献できそうだったから」(39歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「インターンシップを通じて会社の雰囲気が分かり、社会人として働きたいと感じたためです」(45歳男性/その他/専門職関連)
・「仕事の取り組み方で、嫌な印象の社員がいる企業は選ばなかったのでよかった」(47歳女性/広告・出版・印刷/事務・企画・経営関連)
・「参加することで、他の参加しない新入社員よりもアドバンテージをもって入社できたから」(44歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
■「採用試験に受かったが入社はしなかった」
・「その他の会社の方が待遇が良かったので、そちらにしました」(38歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「条件がいい企業に内定をもらったから。まあ、第一志望ではなかったので」(36歳男性/教育/公共サービス関連)
・「複数の会社から内定をもらい、条件がよいところを選ぶと、研修したところは外れてしまった。しかし、研修させてくれた会社には深く感謝している」(33歳男性/教育/専門職関連)
・「楽しくやりがいのある仕事だったが、やはり給与面や安定面で、より社会的地位の高い会社を選んでしまった」(42歳男性/食品/営業関連)
・「他にやりたい業種があったので、そちらを優先させました」(48歳女性/食品/営業関連)
・「他にやりたい仕事の会社があったため、辞退しました」(46歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「勤務先が遠距離だった為」(49歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「自身があまり精通している分野の研究ではなかった」(44歳男性/サービス/その他技術職)
・「より専門性を高めるため大学院に進学したため」(46歳男性/サービス/その他・専業主婦等)
Q.インターンシップでの経験は就職活動に活かせましたか?
1位「まあまあ活かせた」(51.5%)
2位「とても活かせた」(39.0%)
3位「あまり活かせなかった」(6.5%)
4位「まったく活かせなかった」(3.0%)
Q.活かせたと思った、または活かせなかったと思った理由について具体的に教えてください
■「まあまあ活かせた」
・「インターンシップを通じて心構えを学べた」(43歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「インターンシップ経験をアピールできた」(39歳女性/ガラス・化学・石油/その他技術職)
・「そこで社会の雰囲気を味わえて、繋げていけると思ったから」(27歳男性/フードビジネス/販売・サービス関連)
・「いろいろな仕事内容、仕事へのプロセスは参考になった」(44歳男性/サービス/その他技術職)
・「働く事は出来なくても、内側からその業界を覗く貴重な経験が出来た」(46歳男性/)
・「入社前に知れたことで、ギャップへの不満はある程度抑えることができた。また、入社後スムーズに仕事に取り組むことができた」(32歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「インターンシップ先の企業も現在の勤務先の企業もどちらも製造業なので、その点では多少活かせたとは思います」(31歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「社会人としてのわきまえ方が、少しはわかった気がした」(44歳男性/食品/事務・企画・経営関連)
・「人間関係の大切さをたくさん学んだと思う。協力して仕事をする事の大切さを活かせた」(49歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「スタートの段階で、ある程度の理不尽さを受け入れるように自分自身が成長できた」(35歳男性/教育/専門サービス関連)
・「社員の人達と接することによって、入社してから目上の人と接することがうまくできたと思います」(36歳男性/教育/公共サービス関連)
・「実際の職場体験をしたことで、就職活動の面接の時などに採用側が学生に何を求めているかが見えた気がした」(40歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「就職先を決めるにあたって、企業文化や福利厚生についても考えておく必要を感じた」(42歳男性/コンピューター機器/メカトロ関連技術職)
・「活かせたと思うのは、スキルアップになった事、活かせなかったことは、表現力が足りなかったことですかね」(38歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「全く知識のない状態ではなかったので、業界用語などスムーズに受け入れられた」(45歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「すべてがマニュアル通りにいくとは限らないことがよくわかった」(49歳男性/医療・福祉・介護サービス/その他技術職)
・「どの企業にも言える事だが、良い面もあれば悪い面もある。ひとつ言える事は、自分に合った企業かどうかは入社してみなければ分からないという事」(44歳男性/農業協同組合/技能工・運輸・設備関連)
■「とても活かせた」
・「漠然と就職活動するのではなく、イメージを持って就職活動に取り組むことが出来た」(33歳男性/その他電気・電子関連/事務・企画・経営関連)
・「世の中には色々な企業があって、どの企業が良いかとかわからないままだったので活かせたと思います」(46歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「会社の雰囲気や、そこで働く人たちの考え方が理解できるようになった」(30歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「物事を考えて、手順やスピードがよくなったような気がします」(48歳女性/食品/営業関連)
・「職業体験を通して得たものは無駄ではなかったし、別の視点で物事を見るというのは今の仕事にも活かせると思う」(42歳男性/食品/営業関連)
・「インターンシップを通じて社会人としてのマナー、常識を学ぶことができ、インターンシップを受けていない人と比較してアドバンテージがあると感じました」(45歳男性/その他/専門職関連)
・「自分がその職種に本当に向いているのか知ることができたから、活かせたと思った。インターンシップが終わってから、『もしかしたら、もっと長期間していたらもっと活かせたかも』と少し思った」(45歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「面接で、その話ができたから。有利に働いたと思う」(32歳女性/専門店/販売・サービス関連)
・「他の企業ではあったが就職することができ、たくさんのプロジェクトに従事できた」(43歳男性/教育/専門サービス関連)
・「志望とは全く違う異業種のアルバイトしか経験がないので、実際に職場体験できた事は心構えもできてとても良かったと思う。インターンシップなしでいきなり就職するより、役立つ事がとても多いと思う」(49歳男性/電力・ガス・エネルギー/メカトロ関連技術職)
・「自分に合う仕事なのか仕事じゃないのかが確認出来た事は良かったです。自分に合うと思った仕事でも採用されなければ活かす場所がないので、活かす術を見つけられなかった事は残念でした」(42歳男性/ホテル・旅館/その他・専業主婦等)
・「会計システムに触れた経験を活かせました。入社した会社のシステムを使っているか否かで、どのような事務所の違いがあるかを面接で答えた時に好感触だったので」(36歳男性/不動産/専門職関連)
・「日本にいるだけでは体験できない海外の文化に触れることができ、食品会社に勤めたいという思い以上のものが沸き上がり、向上心につながってよかったです」(33歳男性/教育/専門職関連)
■「あまり活かせなかった」
・「お客様扱いされて、よくわからなかった」(44歳男性/流通・チェーンストア/事務・企画・経営関連)
・「全く違う業界に行ってしまったから」(38歳女性/その他/事務・企画・経営関連)
・「インターンで知ったことを、自分のアピール材料に使えなかった」(22歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「興味はあったけど、医療現場の大変さを知ってその道は諦めた」(39歳女性/その他/その他・専業主婦等)
■「まったく活かせなかった」
・「別分野に進んだ」(48歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「結局そこに就職しなかったし、全く別の職種に就いたため」(30歳女性/その他電気・電子関連/メカトロ関連技術職)
・「『喉元過ぎれば熱さを忘れる』という諺がありますが、あの時もっと痛い目にあっていれば、この業界への転職を考えなかったので、人生が違っていたと思います。インターン参加は、今となっては後悔しかありません」(49歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
■総評
調査の結果、マイナビニュース会員のうち、学生時にインターンシップに参加したことがある人は全体のおよそ4割の、39.3%となった。参加経験者に、インターンシップに参加した企業のその後について聞いたところ、1位は「採用試験を受けなかった」で38.5%となった。2位は同率で「入社した」「採用試験に受かったが入社はしなかった」(各23.5%)。4位は「採用試験を受けたが落選した」(14.5%)だった。
インターンシップに参加した企業を選んだ、または選ばなかった理由について具体的に聞いた。まず、「採用試験を受けなかった」では、「他の会社から内定を受けた」「他に希望に合った企業が見つかった」「より魅力的な企業があった」など、採用試験以前に他企業を選択したというものが多い。インターンシップを通じて、その企業や業界の問題点や、自分に不向きなポイントが見つかった、というものもあった。この辺りの理由は、「採用試験に受かったが入社はしなかった」も同様だ。
一方、「入社した」ではどうだろう。主な理由としては、「好印象を抱いた」「その企業で働きたいと思った」「会社の雰囲気が分かった」「やりがいがありそう」など、インターンシップでの経験が就職への後押しとなったという意見が多く見られた。
次に、インターンシップでの経験を就職活動に活かせたかどうかを聞いた。ここでのトップは「まあまあ活かせた」で、過半数の51.5%となった。以下、2位「とても活かせた」(39.0%)、3位「あまり活かせなかった」(6.5%)、4位「まったく活かせなかった」(3.0%)と続く。1位と2位を合わせると9割を超える数字となり、大多数の人がインターンシップに対して一定の評価をしていることがわかる。
活かせたと思った、または活かせなかったと思った理由について具体的に聞いた。「まあまあ活かせた」や「とても活かせた」では、「企業や職場の雰囲気がわかった」「仕事内容や業務の流れを理解できた」「具体的なイメージを掴めた」「就職へのモチベーションが高まった」「想像とのギャップを埋められた」「採用側のニーズが掴めた」ことなどで、「活かせた」と判断しているようだ。それが"まあまあ"なのか"とても"なのかは、配属先の環境や個人の挑み方で違いがあるのかもしれない。
インターンシップに参加して良かったと思った理由について具体的に聞いた。主な回答としては、「会社の雰囲気や仕事などに対する理解が深まった」「面接に役立った」「就職へのモチベーションが高まった」「これまでにない視点を得られた」「社会の仕組みなどが理解できた」などが寄せられてる。
逆に、「あまり活かせなかった」「まったく活かせなかった」では、「別分野に進んだ」や「全く別の職種に就いた」など、インターンシップと実際の就職がリンクしていなかったことを挙げる声があった。また、インターンシップがあくまでもゲスト的な扱いで、企業の内実に迫るものではなかったという意見もあった。
今回のアンケートでは、インターンシップでの経験を就職活動に活かせた人は半数を超えるという結果を得られた。やはり、インターンシップで実際の現場に赴き、職場の雰囲気や仕事の実態を理解するための大切な制度として捉えられていることが明らかになった。今回は学生と企業とを繋ぐインターンシップの重要性が、改めて理解できる結果となったのではないだろうか。
調査時期: 2021年9月13日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 509人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません