切手と郵便物の境目に押される「消印」。契約書や領収書などを発行する際に収入印紙とともに押すのも「消印」です。本記事では、郵便物の消印、収入印紙の消印について、それぞれの意味やルールをわかりやすく解説します。消印の関連語と違いもまとめました。
消印とは? - 基本的な言葉の意味
「消印(けしいん)」とは、手数料や税金などが納付されたことを示すために、印紙と台紙との境目に押す印のことです。郵便物に貼る切手や、契約書などに貼る収入印紙の再使用を防ぐ目的で押されます。
切手(郵便物)の消印とは
郵便物の切手への消印は、日常的に目に触れる機会がありますね。切手への消印の目的は、切手の再使用を防ぐことに加えて、郵便物を取り扱った郵便局と取り扱った日時を証明することです。
切手への消印は、切手と郵便物とにまたがるように、郵便局によって押されます。
応募書類などの締め切りに記載されている、当日消印有効とは
資格試験の願書を郵送する時や懸賞への応募では、「〇月×日当日消印有効」といった表示がよくあります。郵便物などを贈る際に、送り先に到着していなくても、押されている消印の日付が期日までであれば有効だということです。
ただし発送した時間帯によっては、翌日付けの消印になってしまうこともあります。期限があるものを送る時には気を付けましょう。
消印有効と必着との違い
「消印有効」と似た状況で使われる言葉に「必着」があります。漢字を見ればわかるように、「必ず着くこと」という意味です。
つまり期限が「〇月×日必着」となっている場合、指定された期日のうちに送り先に到着していなければなりません。到着が遅れると受け付けてもらえないこともあります。
収入印紙の消印とは
収入印紙にまつわる消印は、切手の消印に比べて目にする機会が少ないため、どんな書類に必要なのかや、正しい押し方などを知る人は少ないかもしれません。下記で詳しく見ていきましょう。
印紙税法で消印が必要な書類が定められている
課税文書に収入印紙を貼ると、印紙と文書の境目に消印が必要です。消印が必要な書類は、印紙税法で定められています。
ただし消印が必要となる契約の金額や消印を押す印紙の金額は、書類の種類によって異なるので注意しましょう。また、具体的な取引金額の記載がなくても、印紙を貼って消印を押さなければならないこともあります。
消印を押してはならない書類もあるので注意
官公庁へ提出する書類など、収入印紙を貼る書類であっても、書類の種類によっては消印を押してはいけないことがあります。
例えば特許庁へ提出特許の申請書や、法務局へ提出する登記申請書などは、収入印紙を貼っても消印は必要ありません。消印を押すのは提出した役所側です。
自分での消印が必要な書類かどうか、あらかじめよく確認してください。
消印が必要な書類例
下記のような書類に収入印紙を貼り付けた場合、印紙と用紙の境目に消印が必要です。
- 契約書や営業、消費貸借などに関する契約書
- 請負契約書
- 約束手形・為替手形
- 株券や投資信託などの受益証券
なお官公庁へ提出する申請書などに、料金納付のために収入印紙などを貼る場合、消印を押すのは相手側です。
消印に使う印鑑
契約書には実印を押すことも多いですが、実印の必要な場所以外への押印を避けたい人は多いですね。消印には、契約に使った印鑑を使う必要はありません。
ゴム印や三文判、署名などが使われることもよくあります。また、氏名や名称などが入った日付印も消印に使っても構いません。
消印を押し忘れたらどうなる?
契約書など収入印紙の貼り付けが必要な書類に収入印紙を貼っていなかったことが発覚すると、過怠税徴収の対象となります。また、収入印紙に消印をしていなかった場合も過怠税の対象です。
過怠税は経費には算入できません。印紙の貼り付けだけでなく消印も忘れないようにしましょう。
消印の正しい押し方
収入印紙に消印を押すときにはいくつかのポイントがあります。正しく消印を行うために、確認していきましょう。
正しい消印の方法
消印は、収入印紙や切手が使用済みであることがわかるようにするのが目的です。印紙と文書にまたがるようにはんこを押すかサインをしましょう。
必ずしも書類作成に使ったはんこを使わなくても構いません。代理人や使用人のはんこを使ってもいいことになっています。
誤った消印の方法
サインで消印する場合、鉛筆など消せるものでの消印や、○の中に「印」と書く記号は無効です。また、収入印紙を斜線で消したり二重線で消したりする方法も無効になってしまいますので気を付けましょう。
印影がわかるように行う
消印の一部が欠けていたり、不鮮明になっていたりすると、消印をしていないとみなされることも。過怠税の対象になることも考えられますので、印影がわかるように消印することが大切です。
誰が消印する?
印紙税法では、消印は文書の作成者や代理人、使用人、従業者などの印章また署名によって行われることになっています。
複数人が共同で作成した書類に貼り付けた印紙は、作成者の中で誰か1人が消印すればよく、全員が消印しなくても問題ありません。
収入印紙を貼る場所
作成する書類の種類によって、収入印紙を貼る場所が異なります。契約書の場合は契約書の左上に収入印紙を貼り付けることが多いですが、厳密な決まりはありません。当事者双方で相談して決めればいいでしょう。
領収書は貼付欄がある書式が多いです。貼付欄がなければ、空いているスペースに収入印紙を貼り付ければ問題ありません。
どちらの場合も貼り付けた収入印紙への消印が必要ですので忘れないようにしましょう。
消印と、はんこにまつわる他の言葉との違い
はんこを使う際に使われる言葉の中には、消印と似た状況で使われる言葉がいくつかあります。ここでは、消印と他の言葉との意味や使い方の違いを見ていきましょう。
割印と消印との違い
「割印(わりいん)」とは、2つ以上の書類が相互に関連していることを示すために、それぞれの書類にまたがるように、1つのはんこを押すことです。例えば同じ契約書を2通用意する際に、それぞれの契約書にまたがるように割印が押されます。
「消印」と共通しているのは、複数の紙にまたがるようにはんこを押す点ですが、押す書類の種類が異なる点を押さえておきましょう。
契印と消印との違い
「契印(けいいん)」とは、書類が複数枚でできている場合に、ページとページの間に、1つの書類であることを示すために押されます。
同じ書類の中ではんこが押される点が、「消印」と共通しています。
押印と消印との違い
「押印」とは、はんこを押すことです。
はんこを使って「消印」する場合、「消印」は「押印」に含まれます。つまりこの場合の「消印」は、「収入印紙と契約書との境目に押印する」ということです。
消印とは切手や収入印紙の再使用を防ぐためのもの
消印とは、切手と郵便物との境目や、収入印紙と書類との境目などに押される印鑑のことです。収入印紙は印紙税を納めるためのもので、消印は再使用を防ぐ目的で押されます。ただし、公的な書類であっても収入印紙に消印を押してはならない書類もありますので注意してください。
また、消印を押し忘れると、たとえ収入印紙や切手を貼っていても過怠税の対象となってしまうことがある点にも気を付けましょう。
事務処理をしていると消印が必要なシーンは必ずありますので、この記事の内容を参考に、必要な書類には押せるように、ぜひ覚えておいてください。