近年、経営戦略などについて話される場面でよく耳にする「アライアンス」という言葉。
ビジネスシーンではもちろん、テレビのニュースや新聞などでも見聞きする単語ですが、なじみのないカタカナ語のため、あいまいにしか理解できていない人もいるでしょう。
そこで今回は、「アライアンス」の意味や語源などをわかりやすく解説。また、「アライアンス」と混同しやすい「M&A」との違いなどもあわせて紹介します。
「アライアンス」とは?
「アライアンス」とは、簡単にいうと経営スタイルのひとつです。
異なる立場にある企業同士が互いの利益のために協力し合うことを指しており、相互活用関係を構築することでさまざまなメリットが生じると考えられています。
英単語「alliance」が語源
「アライアンス」は、「同盟」や「提携」という意味の英語「alliance」から来ているカタカナ語です。
立場が異なる個人や団体がグループ関係を築き、その中で協力し合うようなニュアンスが含まれています。
ビジネスシーンでは企業同士の提携やグループ自体を指す
「アライアンス」をビジネスシーンで使う場合は、業務提携や戦略的な同盟を意味する言葉として主に使用されます。
通常の取引とは異なり、お互いのノウハウや知識を持ち寄って不足しているリソースを補いながら利益創出を目指すことが目的です。
また、協業したグループ自体を指す時にも「アライアンス」という単語が使われる場合があります。
航空業界での業務提携がきっかけで浸透
英語を語源とする「アライアンス」が国内で頻繁に使われるようになった背景には、1990年代に起こった航空業界の業務提携が関係しています。
急速なグローバル化や国際的な企業提携により、「アライアンス」がどんどん推し進められ日本でもビジネス用語として定着していきました。
「アライアンス」が含まれる語句
企業同士の業務提携や戦略的な同盟を意味する「アライアンス」。
ビジネスシーンにおいては、「アライアンス」を含む熟語や関連語句を見聞きする機会も少なくはありません。
そこでここからは、職場などでよく聞く「アライアンス」が含まれる語句について解説します。
アライアンス契約
「アライアンス契約」とは、異なる企業や団体が何らかの資本を出し合うなどして業務提携を結ぶ契約のことを指します。
資金や技術、人材や情報などを互いに出し合って協力関係を築くのが一般的で、利益向上やノウハウの習得、経費削減などのさまざまなメリットを享受できます。
ただし、成果や配分などをめぐって企業間に争いが生じることも少なくはありません。
業務提携に失敗しないためにも、契約時に企業同士の立場や提携内容などを細かく定めておくことが大切になります。
アライアンスパートナー
「アライアンスパートナー」は、業務提携をした相手企業のことを指す言葉です。
多様化する顧客ニーズに対して単独の企業がすべて自社で対応することは簡単ではなく、アライアンスパートナーとなる企業を持つことで最適なソリューションを見出せる可能性が高まります。
ミスアライアンス
「ミスアライアンス」はアライアンスが失敗したことを表します。
この場合の「ミス」は「ミスマッチ」などに使われている「ミス」と同じで、「不釣り合いな」というニュアンスを含みます。
業務提携がうまくいかなかった場合などに使われることがある表現ですので、覚えておくようにしましょう。
「アライアンス」と「M&A」の違いとは?
企業同士の同盟や提携を表す「アライアンス」。よく混同される言葉のひとつに「M&A」があり、両者の違いをよくわかっていない人も少なくはないでしょう。
「M&A」とは「Mergers and Acquisitions」を略した言葉で、「合併と買収」を意味しています。ある企業が他の企業を買収したり複数の企業が合併したりすることを指しており、1つの企業に経営権が移動する点が大きな特徴です。
一方、「アライアンス」はあくまで協力関係を築いていく経営スタイルで、それぞれの企業が事業を維持しながら、互いにメリットを享受できるものとなります。
一般的に、1つの企業に吸収される「M&A」とは異なる意味で解釈されるため、それぞれの言葉の特徴をよく覚えておきましょう(広義には、「M&A」が提携の意味を含む場合もあります)。
「アライアンス」の使い方と例文
「アライアンス」は、今後の企業戦略について話し合ったり、業務提携を結んだりするシーンなどで頻繁に使われる言葉です。
重要な会議などでも使われることが多いため、それぞれのシーンにおける正しい言葉の使い方をよく確認しておく必要があります。
ここからは「アライアンス」の場面別の使い方をくわしく解説するので、誤用を避けるためにも用法や例文を理解しておきましょう。
「同盟」などの意味で「アライアンス」を使う場合
「同盟」や「提携」などの意味で「アライアンス」が使われる場合は、「アライアンスを組む」や「アライアンスを結んだ」などのように表すことが多いです。
さまざまな業界で使用される表現ですので、例文でよく確認しておきましょう。
・我が社が業界の中で生き残るためには、アライアンスを結んでサービスの質を改善する必要がある。
・海外企業とアライアンスを組むことは、幅広いビジネス展開につながるだろう。
・企業間の目標や文化に大きな違いがあり、アライアンスを成功させることはできなかった。
・A社とは当初アライアンス関係を結んでいたが、この度傘下に入ることとなった。
・B社とアライアンスを組むメリットについてプレゼンを行う予定だ。
グループ名として「アライアンス」を使う場合
「アライアンス」は、アライアンス関係にある企業同士のグループ名として使われることもあります。
例えば、航空業界における「スターアライアンス」などがその一例であり、いくつかのエアラインが集まった航空連合のひとつとして知られています。
・「スターアライアンス」にはANAなどの有名な航空会社が加盟している。
・グループ5社で自動車部品の卸売業を展開する「オートアライアンス」は、意思や目的を同じとする人や企業の参加を募っている。
・「ニッコー・アライアンス・ホテルズ」に加盟しているホテルでは、宿泊時にJALクーポンを利用することが可能だ。
「アライアンス」の意味や語源、使い方などを正しく理解しよう
「アライアンス」は、異なる立場にある企業同士が互いの利益のために協力し合うことを意味する言葉で、ビジネスシーンにおける経営スタイルのひとつです。
元々は、広く「同盟」や「提携」という意味を表す英単語「alliance」から来ている言葉ですが、ビジネスシーンで使われる場合は企業同士の提携やグループ自体を指します。
競争が激しくなっているビジネスシーンにおいて今後も頻繁に見聞きすることが予想されますので、意味や具体的な使い方、また混同しやすい「M&A」との違いなどを正しく理解しておきましょう。