Wi-Fi接続で屋外にもワイヤレスで設置できるようになったネットワークカメラですが、電源ケーブルだけは自宅の中から引っ張ってきて配線しなければなりません。しかし、その常識を変える「ネットワークケーブルも電源ケーブルも配線せずに使える完全ワイヤレスのネットワークカメラ」がSpotCamから登場しました。ソフトウエアの完成度はいまひとつですが、完全ワイヤレスで使える工夫はかなり便利だと感じました。

  • 別売のソーラーパネル搭載バッテリーユニットとの組み合わせで、自宅からの電源の配線を不要にしたネットワークカメラ「SpotCam Solo2」

    別売のソーラーパネル搭載バッテリーユニットとの組み合わせで、自宅からの電源の配線を不要にしたネットワークカメラ「SpotCam Solo2」

2系統のバッテリーで電源の配線を不要に

昨今、自宅に停めた自動車やバイク、自転車の盗難が増えていることもあり、監視用のネットワークカメラの設置を考えている人も多いでしょう。近ごろのネットワークカメラはWi-Fi接続が基本になり、LANケーブルを配線する必要はなくなりました。しかし、電源ケーブルの配線だけは必要で、ACアダプターにしろUSB電源にしろ苦労して接続しなければなりません。

その電源問題を解決すべく登場したのが、台湾SpotCam社のWi-Fi&Bluetooth対応ネットワークカメラ「SpotCam Solo2」です。特徴的なのが、カメラ本体にリチウムイオンバッテリーを内蔵していること。あらかじめ充電しておけば、電源ケーブルを配線する必要がなく完全ワイヤレスで使えます。

  • 円筒形のボディを採用したSpotCam Solo2。バッテリーを内蔵しており、電源ケーブルを配線せずに使える。重さは非公表だが、実測では約320gあった

  • 背面カバーを開けるとバッテリーが顔を出す。右端の丸い金属は、スタンドとくっつけるための強力磁石だ

  • microSDカードスロットはバッテリーを外した奥にある。バッテリーは乾電池と違って+極が出っ張っておらず、外したバッテリーを戻す際に入れ間違いやすいので注意

とはいえ、使っているうちにバッテリーを消費するので、いつまでも完全ワイヤレスで使えるわけではありません。その欠点を補うために用意したのが、ソーラーパネルを搭載した外付けのバッテリーユニット「SpotCam Solar Power Bank」です。これを接続すれば、SpotCamに電力を供給しつつ、日中は太陽光でバッテリーを充電するので、いちいち充電する手間なく使い続けられるというワケ。実際に2日ほど使ってもSpotCam Solar Power Bankのバッテリー残量ランプは1つしか減らず、直射日光の当たる好条件ならば太陽の力で電源が自給自足できるのが魅力的だと感じました。

  • 別売のSpotCam Solar Power Bank。ソーラーパネルとバッテリーを搭載しており、SpotCamに電力を供給しつつ日中は発電もする

  • 電源ケーブルはSpotCam背面のmicroUSB端子に接続する

  • 両者をこのように接続すれば準備は完了

SpotCam Solo2とSpotCam Solar Power Bankは、いずれもIP65の防水/防塵構造となっており、雨の当たる屋外でも問題なく使えます。付属のスタンドを両面テープで壁などに貼り付け、そこにSpotCam Solo2を固定すれば設置は完了。スタンドとSpotCam Solo2は磁力でくっつく仕組みで、簡単に取り外せるようになっています。

【お詫びと訂正のお知らせ】初出時、防水/防塵構造をIP66対応としていましたが、正しくはIP65対応でした。該当箇所を修正しました。お詫びして訂正します。(2021年11月15日 12:15)
  • スタンドは壁などに付属の両面テープで貼り付ける

  • SpotCam Solo2とSpotCam Solar Power Bankを貼り付けたところ。ソーラーパネルに太陽光が当たるように設置するのがポイント

SpotCamシリーズ共通の特徴として、カメラが捉えたデータは7日間クラウド上に録画され、あとから振り返って再生できる機能と、人などの動きを検知した場合にアプリにアラートを通知する機能が挙げられます。動きを検知した時間にはマークが付くので、何があったのかをさかのぼって確認できます。月額課金の有料プランにすれば録画期間を30日/180日/365日に拡張できますが、無料の7日間だけでも便利に使えると感じました。

【お詫びと訂正のお知らせ】クラウド録画の無料/有料録画期間の記述に誤りがありましたので、該当箇所を修正しました。お詫びして訂正します。(2021年11月15日 12:15)
  • 専用アプリを使えばライブ映像が確認できるほか、クラウドに保存した映像もさかのぼって表示できる

ただ、標準ではこのクラウド録画の機能は有効になっておらず、アプリ経由で契約を変更しなければ使えないのが不親切といえます。アプリに表示される契約の案内も分かりづらく、このあたりは改善を期待したいところです。

ソフトウエアの使い勝手や安定性はいまひとつ

このようにハードウエアの完成度はなかなかだと感じましたが、専用のスマホアプリやサポートは使い勝手がいまひとつだと感じる部分が散見されました。

専用アプリを使うと、カメラが捉えたライブの映像を見られるのですが、表示して2~3分経つと「操作がタイムアウトしました」という表示が現れ、再生が止まってしまいます。「続きます」ボタンをタップすれば引き続き表示されるものの、数分ごとにいちいち操作を求められるのは面倒。この妙な仕様はぜひ改善してほしいと感じます。

  • ライブ映像の表示中に2~3分間隔で現れるタイムアウト表示。いちいちタップしないと継続して見られないのがやっかい。これを表示させない設定も見当たらず、使い勝手を大きく損なう要因になっている

【編集部より補足】メーカーによると、2~3分でダイアログが表示されるのは、本機がバッテリー駆動であることを考慮し、データ転送量を抑制してバッテリー消費を抑えるための仕様とのことです。メッセージの表記を修正して分かりやすくする改良を検討しているとのことです。(2021年11月15日 12:15)

ほかにも、アプリは動作が結構もたついたり、いきなり強制終了することがあるなど、動作が不安定なのも気になりました。日本語の表記が怪しく分かりづらい部分も散見されるなど、アプリはもう少し作り込んでほしいと感じます。日本語表記に関しては、SpotCamのWebサイトのサポートページも機械翻訳のような分かりづらい日本語が見られるのも気になります。

完全ワイヤレスは魅力的も、価格が気になる

これまで、室外にネットワークカメラを設置するには、窓を少し開けたり壁に穴を開けたりして電源ケーブルを室内から室外に出す必要があり、防犯面で気になる部分がありました。室内から一切の配線を出さずにネットワークカメラが設置できるSpotCam Solo2は、そのような心配や苦労をする必要なく、スマートに設置できる点が評価できます。

実売価格は、SpotCam Solo2が13,900円前後、SpotCam Solar Power Bankは6,000円前後で、両方をそろえると2万円近くになり、ちょっと高いな…という印象を受けます。完全ワイヤレスでの運用が可能という点に魅力を感じれば、検討する価値はあります。

ただ、説明書やサポートのWebサイトの内容が分かりづらく、デジタル機器に慣れていない人はセットアップや活用に苦労するかもしれません。この手のネットワークカメラをある程度扱ったことのある中上級者向けの製品といえるでしょう。