舞台『千と千尋の神隠し』の製作発表が9日に都内で行われ、ジョン・ケアード(翻案・演出)、スタジオジブリ 鈴木敏夫プロデューサー、千尋役 橋本環奈/上白石萌音、ハク役 醍醐虎汰朗/三浦宏規、カオナシ役 菅原小春/辻本知彦(※辻のシンニョウは点1つ)、リン/千尋の母役 咲妃みゆ/妃海風、釜爺役 田口トモロヲ/橋本さとし、湯婆婆/銭婆役 夏木マリ/朴ロ美(※ロは王偏に路)、兄役/千尋の父役 大澄賢也、今井麻緒子(共同翻案・演出補佐)、池田篤郎(東宝常務執行役員演劇担当)が登場した。
同作は宮崎駿監督の名作『千と千尋の神隠し』の舞台化作。少女・千尋(橋本環奈、上白石萌音※Wキャスト)が引っ越し先に向かう途中で八百万の神々の世界へ迷い込み、様々な出会いを経て、人間の世界に戻るため生きる力を呼び醒ましながら奮闘する。英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアードが翻案・演出を手掛ける。2022年2月・3月の東京・帝国劇場を皮切りに、4月大阪、5月福岡、6月札幌、6月・7月名古屋と、4大都市での上演も決定している。
この日は橋本・上白石によってメインポスターの巨大パネルも公開された。主演の橋本は初の舞台挑戦で「右も左も上も下も、何もわからない状態。周りのキャストの皆さんやジョン・ケアードさんもいらっしゃるので、皆さんの背中を見てなんでも吸収してまっすぐぶつかっていけたらと思っています。今、隣にいてくれる萌音ちゃんはいつもなんでも誘導してくれて、支えてもらってるので、ついていきつつ、私自身も皆さんのことを少しでも引っ張っていけるような存在に変わっていけたら」と意気込んだ。橋本は「今まで緊張したことがない性格だと思ってたんですけど、実際にここに立って初めて緊張というものを感じていまして、何をしゃべってるのかわからないので、帰ったら覚えてないんじゃないかな」と珍しい様子も見せた。
同じく主演を務める上白石は「この作品に出演させていただくことが決まってから、『観たい』とか『何の役でもいいから出たい』とか本当にたくさんの人から連絡をもらって、こんなにたくさんの反応をいただいたことはなかったので、それだけ注目されている作品だと思います。プレッシャーを拭うことはできないので、リスペクトと覚悟と責任を持ってしっかり演じさせていただきたいなと思います」と心境を吐露。「精一杯、千尋のように勇敢に頑張りたい」と語った。
ハク役の醍醐は「おうちのお風呂で何を喋ろうかなって考えてたんですけど、いざこの場に立つと全部忘れちゃいました。精一杯頑張りたいと思います」と周囲を和ませる。同じくハク役の三浦は「まだまだ何がどうなっていくのか僕自身もわかってなくて、今日のポスターも、ここに入って来て『こんなのがあったんだ』と、今さっき知ったところ」と驚きも。「龍になるのは どうやって表現するんだろうか。僕が龍になるのか龍が出てくるのかわらないんですけど、僕自身もすごく楽しみにしていますし、ファンの方がとても多いので、皆さんの期待を裏切らないように精一杯演じたいと思います」と役の核心にも触れた。
カオナシ役は世界的ダンサーの2人が務め、菅原は「『カオナシ、そんな動くの?』なんて言われて、私もいっぱい動くのか、どうなんだって感じで何もわかってないです」と苦笑し、辻本は「踊りは僕、とてもうまいんですよね。でもうまさで語ると良くないんだろうなと思って。哀愁というか、カオナシが存在で悲しみを表現できた時に、何か違う身体表現ができるのかなと思っています」と、その場でパフォーマンスも。辻本の動きを見たケアードは「どうやってやるか今までわかってなかってけど、今わかった。これがヒント」とひらめきを見せていた。
湯婆婆役の朴は、原作の映画で千尋の声を担当した柊瑠美と名前の字面が似ていることから、当時周囲に勘違いされ「事務所に『私、ジブリの作品に出るって聞いたんでけど』と言ったら『そんなわけがない』と言われて、印象に残っている作品」というエピソードも。アニメでも湯婆婆役を務めた夏木は「最初にアフレコに行った時に、湯婆婆というキャラクターをステレオタイプの悪役だと解釈して、どう言われてもいいように準備をしてスタジオに入ってやってたんですけど、後ろから宮崎さんが来て『このビルの上には鈴木敏夫という人間がいるんだけど、彼は悪い人じゃない。一生懸命お金勘定をしているんだ。時にはある人にとっては悪く見えるけど、一生懸命仕事してる人間なので、湯婆婆も悪者ととらえず、一生懸命油屋を守ってるおばちゃんだと思ってやってください』というオーダーをいただいた」と貴重なエピソードを披露した。
今回Wキャストを務める千尋役の2人だが、橋本は上白石について「プライベートで妹の萌香と仲が良いので話は聞いてて、ずっとお会いしたいと思っていて。先日『24時間テレビ』で初めておご挨拶をさせていただいた」と明かす。「テレビで見ている印象で、歌声もすごく素敵だし、お芝居も知的で話し方も優しい音色を出される方だなと思っていて、お会いしてみたら本当にこのまま、裏表がなくまっすぐ真摯的な目で見てくださっていた。世代も一緒ですし、心強いなと思いました」と印象を語り、「大人びてるのに純粋。優しいんだけど力強さがある目線とか気くばりが、内面から出るものを感じたので、安心するんです」と表した。
一方、上白石も橋本について「私も本当に安心を感じます」と笑顔に。「初舞台で帝劇で主演なんて、私だったら足がガクガクになっちゃうと思うんですけど、本当に頼もしくて。色々な作品でも真ん中に立って引っ張ってこられた方でもありますし、名実ともに若い人たちの先頭を切ってくれているような勇ましさがあるので、私の方が支えてもらうこととか、『落ち着いて』って言ってもらうことも多くなってくるんじゃないかな」と予想。「私は結構緊張しいなので、さっき環奈ちゃんが『初めて緊張しています』と言っていたのがめちゃくちゃ衝撃的で、この相方だったら全てを委ねられるという安心感があります」と頼もしさを感じている様子で、「きっと全然タイプの違う千尋になると思います。同じところを目指しても、それぞれのものが出たり違ったアプローチになったりすると思うので、いろんなことをもらいながらしっかりと千尋になれたらいいなと思います」と意気込んだ。