JR東日本は9日、電気・軌道総合検測車「East-i」搭載のカメラやセンサで取得した画像などのデータによる架線設備検査「架線設備モニタリング」の導入に関して、10月から検査体系を「架線設備モニタリング」にすべて移行し、本格導入を開始したと発表した。

  • 至近からの検査をカメラ画像およびトロリ線測定データの確認に置き換えた(提供 : JR東日本)

JR東日本では、夜間に電力係員が至近距離から架線設備の状態を確認する検査を1年に1回実施してきたが、2021年4月からは「East-i」搭載のセンサによるトロリ線の摩耗、高さ、偏位測定に加え、新たに搭載したカメラにより架線設備を撮影し、電線や架線金具の状態を確認するシステム「架線設備モニタリング」を首都圏線区以外の在来線38線区(約5,500km)で導入した。

「架線設備モニタリング」により、検査の大幅な省力化(導入線区における検査業務の約1割を削減)を図るとともに、多頻度(最大で年に4回)な設備確認を実現したとのこと。なお、首都圏線区(約2,000km)については輸送密度が高く、トロリ線を通過する列車本数が地方線区と比べて多いため、トロリ線測定の頻度や精度の検証を進め、カメラ撮影も含めたモニタリングの早期導入をめざすとしている。

  • ディープラーニングを用いたAIによる判定イメージ(提供 : JR東日本)

「モニタリングセンター」のオペレータによる画像スクリーニング業務の効率化もめざし、数量が多く検査に時間を要するハンガやコネクタなどの架線金具の判定にディープラーニングを用いたAIによる自動判定を導入。今年10月にシステムを実装し、11月から試行を開始している。今後は架線設備モニタリングのさらなる導入エリア拡大をめざし、AIの判定精度向上に継続して取り組むとのこと。