東京商工リサーチは11月8日、2021年1~10月の「飲食業」倒産(負債1,000万円以上)は前年同期比23.6%減の557件となったと発表した。コロナ禍の各種支援策により3年ぶりに前年同期を下回ったものの、居酒屋倒産は過去2番目の多さを記録した。
コロナ関連倒産は半数近い46.6%
新型コロナ関連倒産は260件(構成比46.6%)発生。新型コロナ関連倒産の月別構成比をみると、1月43.3%、2月35.1%、3月43.6%、4月53.7%、5月49.0%、6月38.3%、7月52.5%、8月48.2%、9月55.7%、10月44.8%と、夏場から高い水準が続いている。
業種別では、日本料理店や焼肉店などの「専門料理店」が最も多く151件(前年同期比14.6%減)。以下、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」130件(同13.3%減)、「食堂、レストラン」100件(同40.8%減)と続いた。居酒屋は1~10月では30年間で2020年(150件)に次いで2番目に多く、年間でも過去2番目だった2014年(141件)を超える可能性があり、「コロナ禍での居酒屋の苦境が鮮明となっている」(同調査)。
飲食業倒産に占める新型コロナ関連倒産の構成比は、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」が58.4%、「専門料理店」が50.3%と、これら2業種で5割を上回った。
原因別では、「販売不振」が477件(同23.1%減)で最多。前年より増加したのは「事業外の失敗」の3件(同200.0%増)のみだった。
9月末の緊急事態宣言全面解除に続き、10月25日以降は一部地域を除いて時短営業要請も解除されたが、同調査では「長引くコロナ禍で生活様式は変化し、飲食店の売上がコロナ禍以前の水準まで戻るかは不透明だ」と分析している。