マザー・テレサという名前を聞いたことがあっても、何をした人か具体的に知っている人は少ないかもしれません。マザー・テレサは若い頃からインドを拠点に貧しい人たちへの奉仕活動を献身的に行った人物で、ノーベル平和賞も受賞しています。

この記事ではマザー・テレサの生涯や、名言などをご紹介。マザー・テレサの生涯を記録した映画や本も紹介します。

  • マザー・テレサとは

    マザー・テレサは生涯を貧しい人への奉仕に捧げた女性です

マザー・テレサとは何をした人?

マザー・テレサは修道女として若い頃から献身的に働き、インドのベンガル地方に派遣された際に、スラムの貧しい人々の現実を目の当たりにします。そしてそれまで在籍していた修道会を退会してインドでの活動を本格的に始めます。

その後、マザー・テレサは「神の愛の宣教者会」を創立し、修道院や診療所、孤児院などを相次いで開設。貧しい人への奉仕に生涯を捧げました。活動は世界中に広がり、1979年にはノーベル平和賞を受賞しています。

マザー・テレサの生涯とは

ここからは、マザー・テレサの生涯をくわしく紹介します。

マザー・テレサの誕生日は

マザー・テレサの誕生日は、1910年8月26日または8月27日とされています。誕生日の翌日にはキリスト教の洗礼を受けました。

マザー・テレサの出身地は

マザー・テレサは旧ユーゴスラビア(現在の北マケドニア共和国)のスコピエという地で生まれます。本名はアグネス・ゴンジャ・ボヤジュと言います。父は地元の名士である二コラ、母はドラナフィル。ほかに姉と兄がいました。父はアグネスが9歳の時に死去しています。

その後、男子修道会のイエズス会の司祭たちがインドのベンガル地方に派遣され活動していることに心を動かされ、この地での活動を決心したとされています。

マザー・テレサは若い頃にインドへ

インド・ベンガル地方での活動を求めたアグネスは、当時、ベンガル地方で活動をしていたアイルランドのロレット修道会への入会を心に決めます。そのために1928年、アグネスが18歳のときにスコピエを去ります。英語を学び始めたのもこの頃だとされています。

同年インドに派遣され、修道女としてテレサと改名。ダージリンで修練を積み始めました。

終生誓願をたてる

インドで学校や修道会の指導にあたりながら、1937年には一生をイエス・キリストに捧げることを意味する終生誓願を立てます。この頃、修道院外の学校でも教える機会ができ、スラムの過酷な住環境とそこで暮らす貧しい人々の現実を目の当たりにしたとされています。一説にはマザー・テレサと呼ばれるようになったのはこの頃からだとするものもあります。

1946年9月、マザー・テレサは汽車の中で「すべてを捨て、貧しい人のために働きなさい」という啓示を受けたとされ、この日は「決意の日」と言い伝えられています。コルカタ(カルカッタ)のスラムで働くことを決意したマザー・テレサは修道会を退会しました。38歳のときのことです。

スラムで献身的に働く

修道院を出たマザー・テレサはサリーを身にまとい、コルカタのスラムで、学校に通えない貧しい子供を集めて青空教室を始めます。この頃、かつての教え子が最初の協力者としてマザー・テレサのもとにやってきます。のちに補佐役として支えるシスター・アグネスでした。

世界各地に診療所や孤児院を設立

1950年、マザー・テレサはインドに国籍を移します。そして12名のメンバーで「神の愛の宣教者会」を創立しました。それから活動の幅は広がり、インドをはじめ世界55カ国に211の修道院が開設され、会員も2000人を超えたとされています。

マザー・テレサはその後、重い病気などで瀕死の人の診療所や、孤児院、ハンセン病診療所などを開設しました。

ノーベル平和賞を受賞

マザー・テレサの献身的な活動は世界中へと広がり、1979年にはノーベル平和賞を受賞しました。その際、マザー・テレサは次のようなスピーチを行ったとされています。

「私はノーベル平和賞にふさわしい者ではありません。けれど世界中の貧しい人々に代わって、この名誉ある賞をいただきます。私のための受賞晩餐会はいりません。どうぞ、そのお金を貧しい人々のためにお使い下さい」

カトリック中央協議会HPより

3度にわたり来日

マザーテレサは1981年、1982年、1984年と3度、日本を訪問しています。来日中は精力的に各地を回って講演を行いました。

この頃、「神の愛の宣教者会」の修道院の数はインドに159、世界に230になっていました。

1990年には心臓病で入院。退院後にはペースメーカーを埋め込む手術を受けます。その後も災害の被災者支援などを続けていましたが、1997年9月5日に永眠し、87年の生涯を終えました。

  • マザー・テレサの生涯

    マザー・テレサは生涯を通じて、貧しい人や病人、孤児のために尽くしました

マザー・テレサの名言とは

ここからは、マザー・テレサのものとして残る名言をいくつか紹介します。

「愛の反対は憎しみではありません。それは、愛がないことです。無関心です。だれにも望まれていないと感じるとき、人はもっとも深く傷つきます」

「今、この瞬間幸せでいましょう。それで十分です。その瞬間、瞬間が、私たちの求めているものすべてであって、他には何もいらないのです」

「あなたは、この世にのぞまれて生まれてきた大切な人」

「神様は私たちに成功してほしいなんて思っていません。ただ、挑戦することを望んでいるだけよ」

  • マザー・テレサとは

    マザー・テレサの言葉は名言として受け継がれています

マザー・テレサの本と映画

ここからはマザー・テレサを紹介する本や映画などを紹介します。

マザー・テレサの本

  • 「マザー・テレサ-愛と祈りのことば」
    マザー・テレサがシスターや共働者に語った言葉やエピソードが記された語録集です。マザー・テレサと親交があった渡辺和子氏がマザー・テレサの言葉を忠実に、かつわかりやすく翻訳しています。

  • 「もしも天国のマザー・テレサが君のそばにいたら」
    マザー・テレサの言葉やエピソードがつづられた本。小中学生や高校生など、若い人も分かりやすい内容にまとめられています。

  • 「マザー・テレサ愛の軌跡 増補改訂版」
    マザー・テレサの生涯が克明に記録されています。マザー・テレサがたどった軌跡やその人物像を知りたい方におすすめです。

マザー・テレサの映画

  • 「マザー・テレサ」
    2003年にイタリアで制作された、マザー・テレサの人生をたどる映画。テレサ役は「ロミオとジュリエット」のオリヴィア・ハッセー、監督はファブリツィオ・コスタ。インドで貧しい人のために奮闘するマザー・テレサの姿が描かれています。
  • マザー・テレサの本と映画

    本と映画でマザー・テレサに迫ろう

マザー・テレサへの批判とは

マザー・テレサは多くの人が認める聖人ですが、その活動を批判する声もあります。「改宗を強制した」「寄付金集めに奔走している」「医療水準が低い」などを訴える人がいるそうです。

どんなに人格者であっても批判はされるもの。真偽のほどはわかりませんが、一部にはあまり良いイメージをもっていない人もいるようです。

マザー・テレサは生涯を貧困と飢えに苦しむ人に捧げた人物

マザー・テレサの生涯を紹介してきました。マザー・テレサは若い頃から修道女として働き、後に拠点をインドに移して最も貧しいとされるスラムなどで精力的に活動しました。その活動は世界中に広がり、ノーベル平和賞を受賞するまでになりました。

「愛の反対は無関心」と語り、身分や宗教に関わらず貧しい人たちと平等に向き合ったマザー・テレサ。興味を持った方は本や映画などを通してさらに深く迫ってみてはいかがでしょう。