社会人として働き始め収入が安定してくると、資産運用に興味がわく方もいらっしゃるでしょう。貯蓄商品や投資信託を選ぶときに目安となるのが金利です。金利には「単利」と「複利」がありますが、それぞれの特徴は何なのでしょうか。
本記事では単利と複利それぞれの特徴や、実際に運用したときの利息の計算方法などをご紹介。資産運用を始める際の参考にしてください。
単利・複利の違いとは
貯蓄や投資信託の商品を選ぶ際に、重要となるのが金利です。金利には単利と複利があります。その内容を見ていきましょう。
■単利とは
単利とは、最初の元本にのみ利息がつくことです。元本は貯蓄して利息が発生したり投資して配当を得たりしても変化せず、最初から変わりません。
例えば元本100万円を貯蓄や投資に回す場合、利息や配当金によって100万円より増えることがあります。しかし単利の場合、そうした利息や配当金によって増えた金額は利息付与の対象になりません。つまり年利5%の場合、元本100万円に対する1年間の利息は5万円となり、翌年も5万円となります。
単利の英語訳は
単利は英語で「simple interest」と訳します。
単利の計算式とは
単利を計算式で表すと以下のようになります。
「単利方式の利息額=元本×金利(年率)×期間」
■複利とは
一方複利とは、元本に対して発生する利息や配当金も利息付与の対象となることです。例えば元本100万円で年利5%の場合、2年目以降からは1年目に発生した利息5万円も元本に組み入れられて再投資されます。つまり、105万円が利息付与の対象になります。
複利の英語訳は
複利は英語で「compound interest」と訳します。compoundは「複式の、複合の」という意味です。
複利の計算式とは
複利の計算式は、単利のときよりやや複雑です。計算式は「複利の利息額=(元本+利息)×金利(年率)」となります。毎年、利息や配当金が発生するごとにその金額を元本に足して計算しますので、N年後の元本と利息の合計額(元利合計額)の計算式は以下の通りです。
「複利方式の元利合計額=元本×(1+金利)^N」
単利・複利の商品とメリット
単利と複利について理解したところで、次に単利と複利の商品やそれぞれのメリットを見ていきます。まず、単利についてからです。
単利の商品とは
単利方式の投資商品には個人向け国債、社債、地方債などのほか、毎月配当金が入金される分配型の投資信託があります。
なお、銀行の定期預金には単利方式の商品と複利方式の商品があります。
単利の商品のメリットとは
【定期的に配当金を受け取れる】
単利方式の商品のメリットは、利息や配当金が例えば月、半年、1年ごとなど定期的に受け取れることです。着実に資産を増やしているという実感を得やすいでしょう。
複利の商品とは
複利方式の金融商品には定期預金(複利型)、分配金再投資型の投資信託などがあります。
前述したとおり、銀行の定期預金には単利方式の商品と複利方式の商品の両方があります。複利方式の定期預金では、発生した利息は満期になったときに元本とともに受け取ります。途中で利息を受け取ることはできません。
一方、分配金再投資型の投資信託とは、投資ファンドが運用して得た収益を再投資しながら運用を継続していく、というものです。
複利の商品のメリットとは
【利息や配当金が増えやすい】
複利方式の商品のメリットは、発生した利息や配当金が元本に組み込まれていくことでしょう。運用期間が長くなるほどに元本の金額は増えていき、それにともなって利息や配当金も増えていきます。元本が増えるだけ、受け取れる金額が増えるということです。
長期間にわたって資産を増やしていきたいと考えている人におすすめです。
単利と複利、どっちが得か比較
単利と複利、実際にはどっちが得なのか比較してみましょう。年利1%で単利と複利を20年間積み立てた際の利息額をシミュレーションしてみます。
■単利の場合(元本100万円・年利1%)
期間 | 元本 | 利息合計 |
運用開始 | 1,000,000円 | |
1年目 | 1,000,000円 | 10,000円 |
2年目 | 1,000,000円 | 20,000円 |
3年目 | 1,000,000円 | 30,000円 |
4年目 | 1,000,000円 | 40,000円 |
5年目 | 1,000,000円 | 50,000円 |
10年目 | 1,000,000円 | 100,000円 |
20年目 | 1,000,000円 | 200,000円 |
■複利の場合(元本100万円・年利1%)
期間 | 元本 | 利息合計 |
運用開始 | 1,000,000円 | |
1年目 | 1,010,000円 | 10,000円 |
2年目 | 1,020,100円 | 20,100円 |
3年目 | 1,030,301円 | 30,301円 |
4年目 | 1,040,604円 | 40,604円 |
5年目 | 1,051,010円 | 51,010円 |
10年目 | 1,104,622円 | 104,622円 |
20年目 | 1,220,190円 | 220,190円 |
20年後の利息合計は、
単利が200,000円
複利が220,190円
となります。
つまり、複利の方が【20,190円多い】ということになります。単利と複利の差は、期間が長ければ長いほど広がっていきます。
長期になるほど複利が得
上記のシミュレーションから分かるように、預金または投資信託の期間が長いほど複利による利息は増えていきます。「将来のためにお金を効率よく運用して増やしたい」という人に、複利はおすすめです。
ただし、元本が保証されていない商品の場合、状況によっては元本割れを起こす可能性もゼロではありません。また、複利の効果を得るために長期間資金が拘束されると、当面の生活費に充てられなくなるということも理解する必要があります。
少しずつでも着実に利息を受け取りたいという人は、単利も検討してみましょう。
長期的に見れば複利がお得
単利と複利の違いについて紹介してきました。単利は元本が最初から変化しないもの、複利は利息や配当金が元本に含まれていくものを指します。
利息や配当金を定期的に受け取りたい人は単利、長期的に資産を増やしていきたいと考えている人は複利、という具合に考えていくとよいでしょう。