ダイキン工業は、“いい(11)空気(9)”の語呂合わせである11月9日「換気の日」を前に、「第27回 現代人の空気感調査」の結果を発表した。
ダイキンが2002年から行っている「現代人の空気感調査」。27回目となる今回は、コロナ禍(2020年1月~2021年10月)でテレワーク、アウトドア活動を経験した東京在住・在勤の男女400人を対象に、在宅時間が増えたことでインドア(室内)とアウトドア(屋外)の空気に対する意識・行動がどのように変化しているのかについて調査を行った。
在宅時間急増でよどむ空気、定番対策の換気が1位に
最初に投げかけたのは、「2020年1月以降、あなたの在宅時間はどのくらい増えましたか」という質問。1週間あたり30時間以上と、大幅に在宅時間が増加している人が調査対象の約5割(52.6%)にのぼった。
次に、「自宅の空気に息苦しさ(閉塞感・密閉感)やよどみ(こもっている、滞留している感じ)のようなものを感じることがありますか」と聞いたところ、約7割(68.0%)の人が「感じる」(「よく感じる」「たまに感じる」)と回答。年代は20~30代の若い世代、性別で見ると、女性よりも男性で多くなっている。
ダイキンは、「若い世代は単身者も多く、ワンルームなどの限られた居住スペースの中で一人の時間を過ごすことが多くなったことで、精神的な閉塞感も相まって室内空気の課題を感じやすくなっているのかもしれません」と分析している。
また、「息苦しさ」「よどみ」を解消する行動の理由として、「ずっと家の中にいると心まで閉ざされてしまいそうになり、外気を取り入れたい」(30代・女性)という声もあった。
続いて、「自宅の空気に感じる、息苦しさ(閉塞感・密閉感)やよどみ(こもっている、滞留している感じ)を解消(または予防)するためにしていることはありますか」との質問。全体では「窓を開ける/換気する」(73.9%)を挙げる人が最も多く、「近所を散歩する」(64.6%)が次点だった。上位の項目を見ると、いずれも男性より女性のほうが実施の割合が高かった。
最も回答が多かった「窓を開ける/換気する」について、在宅の増加時間との関係を見ると、在宅時間が増えた人ほど、窓開けや換気を実施する傾向にある。
テレワーク中の「空気」改善に8割の人が投資
「あなたはご自宅でのテレワーク時に、空気の課題について、どのくらい感じていますか」と聞いたところ、全体の6割を超える人が「空気のよどみ」(62.6%)に課題を「感じる」(「よく感じる」「たまに感じる」)ことが分かった。
また、「快適な温度の維持・調整」(68.6%)、「快適な湿度の維持・調整」(62.5%)というように、暑い、寒いといった快適性に直接かかわる課題をより感じる結果となった一方、身の回りで気になりそうな「空気の汚れ」「人やペットのニオイ」「その他の生活臭」を「感じる」人は少なかった。
テレワーク時の空気の課題上位3項目を男女別で見ると、「空気のよどみ」は女性より男性がやや多く、反対に「快適な温度の維持・調整」、「快適な湿度の維持・調整」は男性よりも女性が上回った。ダイキンは、「一般的に、女性は男性と比べ寒さや乾燥に敏感なため、テレワーク中の温度、湿度に課題を感じる人が多くなっている可能性が考えられる」としている。
「あなたは室内の空気環境がテレワーク時のパフォーマンスに影響すると思いますか」との質問には、9割超(92.5%)が「影響する」(「影響すると思う」「どちらかといえば影響すると思う」)と回答した。
具体的な影響について自由回答で聞いたところ、「温度、湿度、清浄度は集中力に直結する」(30代・男性)、「暑くても、寒くても、ニオイが気になっても業務に集中できない」(30代・女性)、「湿度が不快だと作業に集中できず時間がかかってしまう」(40代・女性)など「集中力」に関する声が多く寄せられた。
暑さ、寒さに加えて「二酸化炭素が増えて作業効率が低下する」(50代・男性)や「二酸化炭素が多いと集中できない」(20代・男性)といったように、空気に含まれる成分である二酸化炭素に対する声もあった。
多くのテレワーク勤務者が空気環境によるパフォーマンスへの影響を実感している中、空気環境を「整える」ための投資額を尋ねたところ、約8割(79.1%)が空気環境改善のためにお金を使い、約半数(47.3%)は1万円以上と、決して少なくはない額を投資していた。
コロナ禍きっかけでアウトドアデビューした人は2割
今回の調査対象(2020年以降のコロナ禍の中でアウトドア活動をした人)に、「あなたはアウトドアをいつ頃から始めましたか」と聞いたところ、約2割(21.8%)が「1年くらい前(2020年以降、コロナ禍の中で始めた)」と回答。コロナ禍でも一定数の新規アウトドアユーザーが誕生しているようだ。
「コロナ禍の中、あなたがアウトドア活動を行う目的は何ですか」と聞くと、これまでブームを牽引してきた、いわゆる“映える景色”(「キレイな景色」65.0%)や“キャンプ飯”(「アウトドアご飯」49.3%)を抑え、最も多かったのは「キレイな空気を感じること/吸うこと」(74.0%)。この傾向は、コロナ禍デビューの新規アウトドアユーザーほど強くみられた。
「コロナ禍でテレワーク、ステイホームが続く中、アウトドア活動に対するあなたの気持ちに変化はありましたか」と聞いたところ、コロナ自粛の影響もあってか、8割超(82.5%)がアウトドア活動したい気持ちが「強くなった」(「とても強くなった」「やや強くなった」)と回答。
また、上記の質問に関連して「(コロナ禍でテレワーク、ステイホームが続く中)アウトドア活動したい気持ちが強くなったのはなぜですか」と質問すると、「空気がキレイだから」(30代・男性)、「キレイな空気を吸いたい気持ちになったから」(40代・男性)、「何も気にせず、思いっきり美味しい空気を吸いたいという気持ちが高まった」(40代・女性)などの声が寄せられた。
ダイキンは、「コロナ禍でのアウトドア活動の背景には、自らの内にある、“アウトドアのキレイな空気を吸いたい”という生理的・精神的な思いがあったといえそうです」とコメントしている。
アウトドア活動に対する気持ちの高まりを踏まえ、「あなたがアウトドア活動をしたいと思う季節はいつですか」と聞いたところ、全体で最も多かったのは「秋」(74.3%)で、僅差で「春」(73.0%)、「初夏」(71.5%)が続く。
アウトドア歴10年以上のベテランアウトドアユーザーにとっても「秋」は特別な季節のようで、「秋」を選んだ人は約9割(86.0%)と、全体の数値を10ポイント以上も上回った。
アウトドア歴の長い人は「空気の達人」?
コロナ禍で外出が制限される中、アウトドアユーザーには相当なストレスが溜まっているように思われるが、実はベテランアウトドアユーザーはこの状況に上手く対応して、室内空気の課題をそれほど感じずに過ごすことができているという。
前述の「自宅の空気に息苦しさや、よどみのようなものを感じることがありますか」という問いに対して、ベテランアウトドアユーザーは「感じる」(「よく感じる」「たまに感じる」)が47.3%で、全体の68.0%と比べ20.7ポイントも下回った。
この理由として考えられるのは、ベテランアウトドアユーザーが空気課題に対して行っている様々な対処法。「窓を開ける/換気する」(78.8%)はもちろん、「近所を散歩する」(76.9%)や「近所をウォーキング、ジョギング、ランニングする」(73.1%)、「近所の公園に行く」(46.2%)人が多く、「外」の空気とつながる手段を意識的・無意識的に、いくつも講じていたようだ。こうしたことから、ベテランアウトドアユーザーは、コロナ禍における「空気の達人」と言ってもいいのかもしれない。
調査概要
- 調査主体 : ダイキン工業
- 調査委託先 : マクロミル
- 調査方法 : アンケート調査(インターネット調査による)
- 調査期間 : 2021年10月20日(水)~10月22日(金)
- 調査対象 : 20~50代の東京在住・在勤の会社員400名
コロナ禍(2020年1月以降~)でテレワーク、アウトドア活動を経験した人(※現在も週に2回以上自宅でテレワークをしている)