女優の森川葵が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、あす7日に放送される『「おかえり」の声が聞きたくて ~歌舞伎町 真夜中の処方箋~』。客の8割が女性で、そのほとんどが“夜の街”で働く人だという深夜営業の薬局を、1人で切り盛りする中沢宏昭さん(43)を追った作品だ。
訪れる客に「おかえり」と声をかける中沢さん。その温かい言葉は、一人暮らしの森川の心にも強く響いたそうだ――。
■「お母さんなら何があっても味方でいてくれる」
今回の物語を見て、「こういう人がいてくれると、救われる人がかなりいるんだろうなと思いました。友達だと言えない悩みってあるじゃないですか。距離が近いから余計に『この相談はちょっとしづらいな』ということって私にもあったりするので、中沢さんのような人がいてくれると、すごく心が救われる瞬間があるだろうなと思います」と感想を語る森川。
自身にとって、そうした悩みを打ち明けられる相手は母親だそうで、「ふとした瞬間に『どうしよう、誰にも相談できない…』っていうことがあると、『お母さんなら何があっても味方でいてくれる』という気持ちで連絡します」とのこと。ただ、「東京にはいないので、面と向かって全部を話せる相手が見つけられていないんです。だから、この薬局に出会えた人たちはすごく幸せだろうなと思います」と、うらやんだ。
この薬局に訪れるのは若い女性が多いが、「一人暮らしをしていると、話したいことがあっても人に話せないという瞬間がすごくあるんです。それで、自分の中で(ストレスが溜まって)グツグツしてきて、それがイライラに変わってきちゃうんですよね。そういう感情になってしまうのが、今回の映像を見ていて分かるなと思いました」と共感。
中沢さんから「おかえり」と声をかけられて「本当に泣きそうになる」と話す女性客もいたが、森川はその気持ちも「分かりますね。友達の家に遊びに行って『いらっしゃい』って言われると、人のいる家の温かみを感じるじゃないですか。だから『おかえり』という言葉は、すごくホッとするワードですよね」と心に響いたそう。一方で、「うちは猫を飼っているのですが、帰った瞬間に『ニャー』って言われると『おかえり』って言ってるのかな?と思ったり(笑)。それだけでホッとしますね」と明かした。
■ラーメンを食べる笑顔に元気をもらう
多くの女性たちの悩みを聞いてあげる中沢さんの姿に、「絶対的な安心感がありますよね。心の状態やバランスを知って薬を処方してくれる方なので、すごくいいな、話しやすいだろうなと思いました」と話す森川。だが、特に印象に残ったというのは、相談を受ける場面ではなく、勤務明けにラーメンを食べるときの至福の笑顔だ。
「それまでずっと、自分がいろんなことを聞いて背負っていった後に、ラーメンを食べてパッと明るい笑顔になったのがとても素敵で、すごく人間味を感じました。ああいうちょっとした幸せがあることによって、見ているこっちも元気になれます」
■ナレーションの仕事にやりがい「知らない世界が知れる」
ナレーション収録では、自分の語りに納得がいかないと「すみません、もう1回お願いします!」と志願。その姿は、最近バラエティ番組『それって!?実際どうなの課』(中京テレビ)で様々な達人技に挑む稽古の場面を彷彿とさせていたが、「表情が見せられず声だけなので、ちょっとでもうまく言えなかったと思うと『今の大丈夫かな?』ってすごく気になっちゃうんです。それで『もう1回お願いします!』ってなりますね」と、完璧を求める気持ちがあった。
こうしたナレーションの仕事は「好きです。お芝居とは違って、他の人の人生をちょっと離れたところから見ながら、知らない世界を知れて、それをいろんな人に届けることができるので、昔からやりたいお仕事なんです」と、やりがいを感じているそう。「どれだけ映像の邪魔をしないように、いかに見てくださっている方がスッと入れるように言えるか、というのを考えてやるのが楽しいです」と充実の表情を見せていた。
●森川葵
1995年生まれ、愛知県出身。10年にファッション誌『Seventeen』の専属モデルとしてデビュー。最近の出演作品は『魔女見習いをさがして』(20年)、『天外者』(20年)、『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』(21年)、『MIRRORLIAR FILMS Season1』(21年)など。現在『太田光のつぶやき英語』『それって!?実際どうなの課』にレギュラー出演中。『それって!?実際どうなの課』では様々な超難易度の達人技をバラエティの制限を守らない驚異的な速さで習得することから「ワイルド・スピード森川」と呼ばれる。12月13日にはドラマ『悲熊2』がスタート。