『海賊戦隊ゴーカイジャー』の10周年を記念したVシネクスト『KAIZOKU SENTAI テン・ゴーカイジャー』(監督:中澤祥次郎)の完成披露舞台挨拶付上映会が4日、東京・新宿バルト9で行われ、本作で大活躍する主要キャスト6人と中澤監督が登壇した。
『海賊戦隊ゴーカイジャー』とは、2011年に放送された「スーパー戦隊シリーズ」第35作。「宇宙最大のお宝」を求めて地球にやってきた若き宇宙海賊が、全宇宙の支配を目論む強大な宇宙帝国ザンギャックに戦いを挑む物語だった。あれから10年の歳月が流れ、ふたたび地球にやってきた宇宙海賊たちの新しい戦いを描いたのが、今回の『テン・ゴーカイジャー』である。
歴代スーパー戦隊ヒーロー同士が戦う公営ギャンブル「スーパー戦隊ダービーコロッセオ」に熱狂する地球の人々。かつてのヒーローたちは「賭け」の対象となってしまったが、収益が地球の防衛費に充てられるとあって、歴代スーパー戦隊のレジェンドたちも主旨を理解し、このプロジェクトに協力していた。しかし唯一、運営サイドがコンタクトをとれないスーパー戦隊があった。すでに「解散」した彼らは、いまではバラバラに活動していた。そんな中、あのキャプテン・マーベラスが地球に出現。運営サイドに挑戦状を叩きつける。マーベラスの前に立ちふさがったのは、「スーパー戦隊ダービーコロッセオ」の主旨に賛同する伊狩鎧だった――。
ゴーカイレッド/キャプテン・マーベラスを演じる小澤亮太は、10年後のゴーカイジャーを描く新作映画の台本を手にしたときの思いをMC(寺迫麿)から問われ、「表紙を見て、ロゴのデザインが、テンかシンかわからないって思った」と答えて周囲の笑いを誘った後「10年の間でゴーカイジャーに想像を絶する変動が起きていてびっくりしました。完成映像を試写で観たときはもう、驚きの嵐!」と、10年という歳月を経てゴーカイジャー6人がバラバラに行動していることについて、演じる本人にも驚きがあったことを明かした。
ゴーカイブルー/ジョー・ギブケンを演じる山田裕貴は「亮太くんも言っていましたけど、ゴーカイジャーと名前の入った台本を手にして、感動のあまり読めなくて、だから読んでないんですよね……ウソですけど。いやまあ、台本に載っているみんなの役名だったり、変身後のキャラクター名の文字の並びを見て、より懐かしさが増しました」と、ジョークを交えつつもテレビシリーズに続く10年ぶりの新作台本を読むことのできる喜びを伝えた。
ゴーカイイエロー/ルカ・ミルフィを演じる市道真央は「みんなの会話を読んで、ああ~、この台本の感じ、懐かしい~!と思うところから始まって、とても面白い内容だと思いました。10年を経て、変化のないところとあるところがあって、みんなで会ってお芝居をするとき、こういう感じになるのかなあ、こういう画になるのかなあって想像するのが楽しかったですね~~!!」と、仲間との再会についてハイテンションで語り、仲間から「キャラ変わった?」とツッコまれるとすかさず「ちょっとオタクが出ただけ! それくらいゴーカイジャーが好きなんです! エモいとはこういうことかと実感しました」と返し、客席の拍手を集めた。
ゴーカイグリーン/ハカセことドン・ドッゴイヤーを演じる清水一希は「台本を最初に読んだときは、内容を詰め込んでるなあ。これはおそらく3時間くらいの超大作だなって(笑)。まあ、限られた時間の中で、見せたいところがギュギュギュとなってるんで、たぶんご覧になるみなさんは忙しいんじゃないかと思います。うわあ懐かしいとか、これだこれだ!みたいな感覚になっちゃいます。その中に、新しい要素、ええっ!?と驚くものも入ってるんで、ぜひお楽しみに!」と、歴代スーパー戦隊のヒーローに豪快チェンジして、縦横無尽の戦いを行うゴーカイジャーの持ち味も含め、たくさんの注目要素が凝縮された本作の魅力をアピールした。
ゴーカイピンク/アイム・ド・ファミーユを演じる小池唯は「テレビシリーズを撮っていた10年前にも、『10年後のゴーカイジャーを描く映画をやりたいね』と話していましたので、台本をいただいたときは、ついにあのとき話していたことが形になって現れた!と思いました。うれしさもあり、懐かしさもあり、撮影開始がすごく楽しみでした。完成した作品を観たときも、すごく懐かしい気持ちが甦ってきて、グッとくるというかジーンとする感覚がありました。ぜひみなさんにもそういう気持ちになっていただきたいです」と、誰一人欠けることなく仲間たちが結集して10周年記念作品を作ることができ、強い感動を覚えたと目を輝かせながら語った。
ゴーカイシルバー/伊狩鎧を演じる池田純矢は「台本の冒頭で、鎧がマーベラスさんに『変わっちまったな、お前も……この星のやつらも……』と言われるんですが、そのとき俺(鎧)何をやらかしたんだろう? めっちゃ怒られてるやん!って心配したんです(笑)。 撮影では、あのころより10年経ったからこれくらいはできるだろうと、スタッフさんからはかなり高めの要求がありました。まあ、愛のムチですね(笑)」と、10年前よりもアクション俳優としてレベルアップした池田の姿を、新作で見せたいというスタッフの意欲を感じたことを明らかにした。
中澤祥次郎監督は、本作の演出を引き受けたときのことを振り返り、「ウワサでゴーカイジャー新作をやるらしいと聞いていたのですが、今『機界戦隊ゼンカイジャー』をやっていることもあり、僕ではないなと思っていました。そしたらある日プロデューサーに呼ばれまして『6人全員揃います。スーツアクターも当時のみなさんが揃います。こちらとしては中澤監督を出してその熱意に応えたい』と言われました。いろいろ大変だけど、監督ひとりが地獄を見ればみんなが幸せになるとも……なんて言われて(笑)」と承諾までの経緯を語った。すると『ゴーカイジャー』テレビシリーズのパイロット(第1、2話)を演出した中澤監督に強い期待を込めるかのように、客席からは大きな拍手が巻き起こった。
発表されている『テン・ゴーカイジャー』のポスタービジュアルでは、歴戦の海賊らしい凄みを感じさせるアイパッチ姿のマーベラスが強いインパクトを与えるほか、仲間たちも10年もの歳月を経て大人っぽく成長を遂げているように見える。では、実際の小澤たちはひさびさに仲間たちと再会して、どんなことを思ったのだろう。
小澤は「久しぶり感がぜんぜんなかったね」と語り、外見にはいっそうの成長が見られる一方で、「中身」の変化がない仲間たちに改めて喜びの表情を浮かべた。
池田も小澤の言葉を受け「現場に入ったとき裕貴に、ねえねえ、あのギャグやってよって言ったら、10年前とまったく同じギャグやってくれたからね」と、山田が以前行っていたギャグが、10年後の現在でも変わらぬテンションで見られたうれしさを表した。そして、勢いに乗ってこの場で山田に、そのギャグをリクエストした。
池田の要望を受けた山田は「一瞬で終わるんで……」と前置きしつつ「シャッ、シャッ……キック!!」と叫びながら鋭いパンチを決めるシュールなギャグを披露。一瞬の静寂の後、ステージと客席から勢いのいい拍手が飛び出した。
池田と山田のやりとりを見ていた清水は、「こういうノリも(昔と)変わらないね」と、ゴーカイジャーのチームワークの良さの健在ぶりを確認するかのように笑顔で語った。
高貴なアイムと活発なルカのダブルヒロインの活躍も『テン・ゴーカイジャー』の注目ポイントとなる。小池は「撮影している間、懐かしくてずっと(市道に)抱きついていました。スタッフさんもその光景をほほえましく見ていたようです」と、当時から変わらぬヒロイン同士の仲の良さを示した。
市道も小池との久々の共演について「当時からずっと一緒にいてくれたので、現場で一緒のシーンがあると、またくっついてもらえてうれしかったです。ああ、この感じ懐かしい。すごい安心する!と、緊張をせずに現場にいることができました」と、改めて小池の存在に感謝の言葉をかけた。
今回の舞台挨拶は、全国39館の劇場でのライブ配信も行われている。中継の関係上、そろそろ終わりの時間が迫ってきた……と焦り気味のMCの言葉を受け、池田が「じゃあ30分延長でお願いします!」とあっけらかんとした口調で延長を願い出たが、さすがにそれは無理だった。残念がる池田に、山田が「まあ、地球ルールだからな……」と、いかにもジョーが言いそうなフォローの言葉を入れた。
最後に、ひとりずつ『テン・ゴーカイジャー』の見どころを紹介することに。まず池田は「10年前と変わらず、スタッフ・キャストが家族のように接して和気あいあいとしつつ、集中して全力で作った作品です。すみずみまで楽しんでいただけたらなって思います。わたくし個人としましては、10年前にはできなかった派手なアクションに挑んでいます!」と、自身の磨き抜いたアクションの見せ場がしっかりあることを示した。
小池は「予告編でも流れている、アイムが銃をババーッって撃っている場面を見てください。またエンディングも終わりのところまでたっぷり楽しめますので、最初から最後までじっくり観て楽しんでいただけたらと思います!」と語り、エンディングテーマが流れる最後の最後までお楽しみポイントが含まれている部分を推した。
清水は「本当にたくさんの要素が含まれた作品で、細かなところを見逃さないでほしいです。『ゴーカジャー』のあのときのあれ、このときのこれだねとか、わかったらすごく面白いです。今回も、やっぱりハカセはこうだよねという感じで芝居させていただきました。良くも悪くも変わらぬハカセを演じています。ぜひそのへんも楽しんでください」と、テレビシリーズを詳しく観ているといっそう楽しめるネタも仕込まれていることをアピールした。
市道は「キャスト・スタッフの愛の結晶というか、愛が詰まった作品です。みなさんが観たかったシーンとか、聞きたかったやりとりとかが、絶対入っていると思うので、そこを楽しみにしてほしいです。個人的には、毎回ルカが言わせていただいているセリフがあるんですけど、今回もありますので、楽しみにしていただけるとうれしいですね」と、ルカの名セリフがどこでどう飛び出すのか、注意して聞いてほしいと語った。
山田は「こうして集まることができたのが本当にうれしい。みなさんも懐かしんで観ていただきたいです。個人的なところとしては、マベジョー(マーベラス&ジョー)の絆の部分。そして、えっ、そんな風にできるの?っていう、僕が監督に無理を言ってやらせていただいたシーンがありますので、そこに注目してほしいです」と、自身のアイデアを活かして撮影された場面をジョーの見どころとした。
小澤は「撮影中は懐かしさとともに、新しい発見の部分もありました。前からゴーカイジャーを知っている人も、これから知ってくれる人も楽しめる作品だなって思います! 今の世の中、人と人との絆がすごく大事だと思うんです。そういった部分も感じ取れる作品になっています。マーベラス個人の見どころとしては『眼帯』をつけて登場しており、目でいろいろと語りたいと思って頑張っていますので、そこをぜひご覧ください!」と、力強く注目ポイントを語った。
中澤監督は「みんな上手いこというねえ」と6人のトーク術に感心しつつ「10年たったゴーカイジャーがどう生きていくのか、これからどうなるのかが描かれています。キャストのみんなは10年ぶんのいい芝居をしてくれましたし、スタッフは多少齢を取っちゃいましたけど、一生懸命頑張って作りました。すべてが見どころではないかと思っています。ぜひ楽しんでくだされば」と、スタッフ・キャストが全力で作り上げた作品を、数多くの人々に愛してほしいと語り、にこやかな笑顔を見せた。
最後にマイクを握った小澤は「いいかお前ら、テン・ゴーカイジャーも派手に行くぜ!!」とマーベラス風のセリフを決め、客席を大いに沸かせていた。
マスコミ向けのフォトセッションの直後、観客による撮影「お宝」タイムが設けられた。ゴーカイグリーンの特徴的な決めポーズを再現している山田のサービス精神に、熱い視線が注がれた。
Vシネクスト『テン・ゴーカイジャー』は、2021年11月12日より期間限定上映開始。そして東映ビデオから2022年3月9日よりBlu-ray&DVDが発売される。
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