BSフジのドキュメンタリー枠『サンデードキュメンタリー』(毎週日曜12:00~)では、トタン張りの小さな飲み屋街・塙山キャバレーの人々を追った『酒と涙と女たちの歌 ~塙山キャバレー物語~』を、7日に放送する。
フジテレビ『ザ・ノンフィクション』で今年5月と6月に放送された『酒と涙と女たちの歌 ~塙山キャバレー物語~』。茨城県日立市の繁華街から外れた一角に、まるで終戦直後のような不思議な光景が広がっている。「塙山キャバレー」は、13軒の小さな店が並ぶ飲み屋街だ。
この街のママたちはいずれも過酷な人生を歩んできた。「めぐみ」のママは17歳の時、眠っている間に母親に置屋へ売り飛ばされ、なんとか逃げ出し、ここにたどり着いた。「開き直らないと何もできない」と壮絶な過去も笑い飛ばす。
「京子」のママは女手一つで育てた息子を亡くしたばかり。それでも笑顔で店に立ち、時につらい思いをするママたちを励ますこともしばしば。この飲み屋街はそんな訳ありのママたちが、力を合わせて守り続ける特別な場所だ。
塙山キャバレーには、様々な事情を抱えた客が夜な夜な集まる。東日本大震災の原発事故で故郷を失った男。妻を亡くし、ひとり家に引きこもっていた男。コロナ禍で演奏の場を奪われたバンドマン…一人店に立つママたちは、そんな客たちの心の拠り所だ。
そんな客のひとり、のぼるちゃんは、かつて塙山キャバレーでラーメン店を営んでいたが、火事で隣4軒を延焼させたため、この町では肩身が狭い。現在は脳梗塞の後遺症もあり生活保護を受けるのぼるちゃんを、幼なじみでもある「めぐみ」ママは何かと励ます。そして店の常連客の1人は、のぼるちゃんを花見へ誘った。そんな関係が成り立つのもこの街ならではだ。
そんな塙山キャバレーにもコロナ禍が迫り、ママたちは「一見さんお断り」の苦渋の決断を下す。苦しい日々が続く中、年の瀬の夜に事件が起こった。自らの過去を決して語らなかった「ラブ」のママのもとに、20年前、夫の元に置いて別れたきりの娘が突然訪ねてきたのだ。最初は和やかだったが、やがて娘は母に厳しい言葉を投げかける。そして娘は、再び母と決別することを決めた。
ところが年が明け、その娘が2人の弟を連れて、また店に現れた。20年前に “捨てた”わが子の「つらい過去」を聞いたラブのママ。そして母を許すことにしたという娘。親子の絆を取り戻すことはできるのか…。
2021年春、苦境に耐えるママたちの元へ明るい知らせが届いた。30代の女性が、ここで店を開くことを決めたという。久しぶりにやってきた若い世代。新米ママはどのようにこの街で生きていくのか…。
様々な事情を抱える人々の心の拠り所として、女たちが守りつづけてきた塙山キャバレーの1年を、女優・吉岡里帆のナレーションで追っていく。
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