JR東日本は4日、コロナ禍が朝の通勤時(今回の調査では7~10時と設定)における山手線の駅の利用にどのような影響を与えたか、利用者が改札を通過したときに記録される「Suica」のデータを統計処理・分析することで調査し、結果を発表した。

  • 山手線を走るE235系

調査期間は2020年1月から2021年9月まで。調査結果によると、東京中心部に通勤する利用者はコロナ前の50~70%で推移し、年代別では30・40代が通勤を最も控えている一方で、シニア層の回復傾向が顕著だという。主要駅別では、「オフィス駅」の減少率が高く、「商業駅」で低い傾向にあり、品川駅は5割強の減少となっている。朝のピーク時間帯はオフピーク時間帯に比べて減少率が高い傾向も明らかとなった。

調査では、「Suica」のデータを利用者個人が識別されないよう統計処理し、プライバシーの保護に十分留意して行われた。JR東日本では、今後も個人情報やプライバシーの保護に十分留意した上で、地域の人々や利用者の心豊かな生活を実現することを目的に、「Suica」などのデータの活用を積極的に進めていくとしている。

  • 通勤利用者数と新型コロナウィルス感染者数の推移(提供 : JR東日本)。東京中心部に通勤する利用者は大幅な減少傾向が継続。感染状況により波はあるものの、コロナ禍前の50~70%程度で推移

  • 性年代別の状況(提供 : JR東日本)。男女とも30代・40代が通勤を最も控えている傾向。若年層よりシニア層の減少率は比較的少ない。1月以降の回復傾向も顕著

  • 朝通勤時間帯(7~10時)の利用者数(提供 : JR東日本)。減少率は駅ごとにばらつきがある。品川駅の減少率が最大(5割強)。「オフィス駅」の減少率が高く、小売・飲食などの店舗従業員の割合が多い「商業駅」の減少率が低い。2021年7月はやや回復傾向

  • 山手線主要駅の分析(提供 : JR東日本)。山手線東側の東京駅、新橋駅、品川駅は「オフィス駅」、渋谷駅、新宿駅、池袋駅、上野駅は「商業駅」の特徴が強い

  • ピーク時間帯とオフピーク時間帯の利用者数(提供 : JR東日本)。朝のピーク時間帯はオフピーク時間帯より各駅とも減少率が大きく(渋谷駅を除く)、ピーク時間帯からのシフト傾向がみられる

  • 通勤回数(東京駅利用者)の変化(提供 : JR東日本)。2020年1月に東京駅着の定期券を利用していた利用者のうち、2020年10月も同区間を朝通勤時間帯に利用している利用者を対象に分析。定期券を購入せず同区間を都度利用している利用者は、月1~5日(平均すると週1日以下)が最も多い。定期券購入が割安になる16日以上の同区間都度利用者数はほとんどみられない