日本能率協会は11月1日、「ペーパレス化の実施状況」に関する調査結果を発表した。調査は8月13日~23日、全国の20歳~69歳までの正規就業者1,000名(男性685名、女性315名)を対象にインターネットで行われた。
まず、「あなたの会社は、どのような点が『電子化』されましたか?」と質問し、「完全に電子化された」「一部電子化された」を合わせた割合をみると、「勤怠管理」が最も高く7割を超える結果に。そのほか「決済業務」「会議資料」「社内承認」「手順書・マニュアル」でも7割近い割合となった。
一方、電子化が進んでいないのは「契約書」「印鑑」「FAX」。「契約書」については「完全に電子化された」はわずか1割程度で、約5割が「電子化されていない」ことが明らかに。また、「印鑑」「FAX」の「完全に電子化された」も1割程度と低く、6割が「電子化されていない」ことがわかった。
また、「職場のペーパーレス化が進むと、業務の生産性が向上すると思いますか?」と聞くと、4割超が「向上する」「やや向上する」と回答。その一方で、生産性が「落ちる」「やや落ちる」と回答した人は全体の1割程度に留まった。
この結果について、前問の職場におけるペーパーレス化の進捗状況に分けて、その意識を尋ねたところ、職場のペーパーレス化が「とても進んでいる」と回答した人は、全体の8割が業務の生産性が「向上する」「やや向上する」と回答したのに対し、職場のペーパーレス化が「まったく進んでいない」と回答した人は、「向上する」「やや向上する」が全体の2割程度に留まり、60ポイント近い意識差がみられた。
次に、職場におけるペーパーレス化のメリットを教えてもらったところ、「コスト削減」(74.1%)を上げた人が断トツに多く、次いで「省スペース化」(46.1%)、「業務効率化」(45.9%)と続いた。一方、「ペーパーレス化」に不安を抱いている人は64.3%。特に「データ化に対するITスキル」(42.9%)や「セキュリティ」(41.8%)を不安視する声が多かった。
次に、「あなたの職場のペーパーレス化に向け、今後どのようなことに重点(推進)してほしいですか?」と尋ねたところ、「脱印鑑」(38.4%)が突出して高く、次いで「決済の電子化」(23.1%)、「脱FAX」(22.3%)、「契約書の電子化」(22.1%)、「手順書・マニュアルの電子化」(22.0%)、「手順書・マニュアルの電子化」(21.5%)が20%台で続いた。
また、9月に「デジタル庁」が創設され、行政事務の電子化が進むなか、「企業においてもペーパーレス化(電子化)がより進むことを期待するか」について尋ねたところ、「期待する」は36.5%、「期待していない」も36.2%と拮抗状態となった。