ここ数年のeスポーツブームを背景に、高いCPU性能やグラフィックス性能を備えつつ、フルカラーLEDが派手に光る外観を採用したゲーミングPCが人気を集めています。そのようなゲーミングPCに負けず劣らずの高性能と派手な外観を特徴とした個性的なゲーミングスマホ「REDMAGIC 6S PRO」が登場しました。最新のAndroidスマホとしては現在最高水準の性能を凝縮しており、外出先でもベストな環境でゲームに臨みたい熱心なファンは注目の1台となりそうです。
一般的なスマホにはない独自のゲーム向きの装備を盛り込む
REDMAGIC 6S PROは、中国ZTE傘下のNubia Technologyが開発したAndroidスマートフォン。「どこよりも完璧なゲーム体験をモバイルに。」をコンセプトに、Qualcommの高性能SoCであるSnapdragon 888+や空冷システムを搭載したほか、ディスプレイのリフレッシュレート向上やタッチ操作の反応速度の向上を図るなど、FPSもストレスなく楽しめる高性能スマホに仕上げています。
まず注目したいのが、“ゲーミング”の名にふさわしい個性的で派手な外観。背面パネルは半分ほどが透明になっており、SFアニメっぽくデザインされた内部のパネルが透けて見えます。
透明パネルを通してもう1つ見えるのが、スマホでは珍しい空冷ファン。本体内を左右に横切るエアフローを作ることで、SoCなどが発する熱を効率的に排出し、安定動作に貢献します。このファンは、回転時にRGBで光る仕組みも備えており、ゲーミング仕様であることをアピールします。ファンは、起動するゲームに応じて自動で回転するほか、手動で2段階に切り替えられます。静かな部屋では風切り音が若干気になりますが、ゲームが安定して楽しめ、本体が不快な熱を帯びにくくなるのは評価できます。
ディスプレイは、表示のリフレッシュレートが60/90/120/165Hzの4段階で切り替えられ、素速い動きのゲームもなめらかで見やすい表示にできます。タッチセンサーの感度も720Hzとレスポンスが高速なので、一瞬の操作が重要となるシューティングゲームや音楽ゲームも腕前をフルに生かせます。
ユニークなのが、本体側面の赤いスイッチをオンにすると表示が横画面になり、インストール済みのゲームが起動しやすくなる「ゲームスペース」に切り替わること。横画面時に人差し指が当たる側面の左右にはタッチ式のセンサーを装備するほか、背面にもタッチ操作が可能なエリアを設けており、ゲーム機のコントローラーに似た操作でゲームが楽しめます。
画面内指紋認証も搭載、最新スマホとしての基本性能は上々
ゲーミング関連の装備や機能が目立つREDMAGIC 6S PROですが、最新スマートフォンとしての装備も充実しています。まず、6.8型のディスプレイは鮮やかでレスポンスに優れるAMOLED(有機EL)で、ほぼ全画面の狭額縁デザインに仕上げています。ログイン時の生体認証は、画面内指紋センサーと顔認証の両方に対応しています。画面内指紋センサーは精度や速度も問題なく、魅力的な装備だと感じました。
バッテリー容量は5,050mAhで、充電0%の状態から約65分でフル充電できる急速充電機能も備えます。6.8インチの大画面と大容量バッテリーを搭載しているだけに、本体はやや大柄で重さも約220gと重量級です。これだけガッチリとした本体なのに防塵防滴には対応していないのが気になりました。
あと残念に感じたのが、設定画面などの日本語表記が怪しく、内容がよく分からなかったり不親切に感じた部分が散見されたこと。この点は、今後のOSアップデートでの改良に期待したいところです。
音ゲーはブラウン管のアーケード筐体でプレイしているかのよう
実際に、REDMAGIC 6S PROでスマートフォン用ゲームをプレイしてみました。筆者は“音ゲー”(リズムアクション)が大好きなので、ゲームセンターで人気の音楽シミュレーションの移植版『beatmania IIDX ULTIMATE MOBILE』(KONAMI)をプレイ。ハイスピードを速くしても表示はブラウン管のように鮮明で残像は見られず、タッチのレスポンスも文句なく、ストレスなく楽しめました。
…とはいえ、やはり音ゲーだけでは本機の実力は分かりません。そこで、ふだん自慢の自作PCでFPSを楽しんでいる筋金入りゲーマーとして知られる編集部の原記者の協力を仰ぎ、各種FPSゲームをREDMAGIC 6S PROでプレイしてもらいました。以下は原記者のリポートです。
筋金入りのFPSゲーマーも「快適」と評価、気になる部分も
上述の通り、ディスプレイは165Hzと極めて高速で、搭載する超高性能SoC「Qualcomm Snapdragon 888+」の高い性能を余すところなく引き出します。さらに個人的に大注目なのが、タッチサンプリングレートが720Hzという極めて高い値に設定されている点。タッチサンプリングレートとは、ディスプレイのタッチ操作を1秒間に何回検出するかという数値のことで、これが高いと操作に対する応答性が高くなるというわけ。
実際にディスプレイに触ってみれば、165Hzリフレッシュレートによって極めてなめらかで“ヌルヌル”したスクロールを味わえることはもちろん、指での操作に画面表示が完全に吸いついているかのような素晴らしい応答性能を体験できます。ブラウジングやSNSなどの普段使いはもちろん、ゲームでは高速でなめらかな視線移動を実現し、本当に快適そのもの。
スマートフォンでFPSゲームなんかわざわざやらなくても…と思ってこれまで敬遠してきましたが、ハードウェアの性能向上やゲームのインタフェース最適化によって、普通にプレイできるようになっているという印象。個人的には、コンソールゲーム機のコントローラーよりもスマートフォンのほうが遊びやすく感じるレベルです。普段は主にPCでゲームをプレイしていますが、もう「スマートフォン向けだからやらない」という時代でもないんだと感じました。
ただ、スマートフォンで思いっきりゲームをプレイしてみて困ったのは、ディスプレイがどうしても汚れてしまう点です。指で直接触るので仕方ないですが、滑りがエイムの精度に直結する分なかなか無視もできません。ゲーミング製品で知られるRazerが「ゲーミング指サック」を発表したときは意外に思いましたが、スマートフォンでゲームをしっかりやるならかなり欲しくなりそう。
また、内蔵ファンの挙動もちょっと微妙。アプリによっては、ゲームの起動に合わせて回転するよう設定されていましたが、ファンが回らないタイトルではホーム画面のウィジェットや設定画面から手動で起動する必要がありました。回転速度もざっくり低速と高速の2種しかなく、もう少しソフトウェアで上手に制御してほしいところです。
凝った装備のゲーミングスマホとしてはコスパが高い
このように、REDMAGIC 6S PROはヘビーなFPSゲーマーもおおむね満足できる内容に仕上げられていました。実売価格は、メモリー12GB+ストレージ128GBの標準モデル「REDMAGIC 6S PRO(Cyborg)」が79,900円、メモリー16GB+ストレージ256GBの上位モデル「REDMAGIC 6S PRO(Ghost)」が99,900円と、上位モデルも10万円を切る価格で購入できます。従来モデル「REDMAGIC 6」シリーズよりも価格が引き下げられており、現在最高水準のパフォーマンスや充実した装備を持つことを考えると、ゲーミングスマホとしてはコストパフォーマンスが高いといえます。重さと大きさを許容できれば、ふだん使いも満足できる高性能スマホとして検討する価値はあります。
発売は11月5日で、11月4日までの先行予約期間中に予約すると、先着順で純正保護ケースと純正保護フィルムをプレゼントするキャンペーンも実施しています。