JR東海は、東海道新幹線の新型車両N700Sが鉄道友の会ローレル賞に選ばれたことを受け、10月30日に東京駅19番ホーム(16号車付近)でローレル賞授賞式を開催した。10時33分にN700Sが回送列車として入線した後、授賞式が行われた。

  • N700Sのローレル賞授賞式が東京駅で行われた

鉄道友の会は毎年1回、前年1~12月の間に日本国内で営業運転を開始した新造・改造車両を対象に、最優秀と認めた車両をブルーリボン賞、優秀と認めた車両をローレル賞に選定している。

N700Sのローレル賞授賞式で登壇した鉄道友の会副会長、久保敏氏は挨拶の中で、「ローレル賞は技術的に優れた車両に出すことにしています」と説明し、「現在の車両にはリスク対策も求められている状況にあります」とした上で、リスクに強いN700Sを評価。「今後さらに素晴らしい車両が出てくることを期待したい」とコメントした。あわせて新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まっている現状にも触れ、「新幹線に乗る人が増えることを期待しています」と述べた。

選考委員長の加藤幸弘氏は、N700Sについて「最高レベルをコンセプトにした車両」と評価。「バッテリ自走システムなど、各所に新機軸が採用されている」として、「乗客を快適・安全に運ぶことができる卓越した車両だと考えています」と語った。

  • N700Sの入線後に授賞式が行われ、表彰状と記念の盾が授与された

N700Sにおける特徴のひとつとして、バッテリ自走システムを車両に搭載しており、異常時に安全な場所まで移動できるようになっている。防犯カメラの増設などにより、車内セキュリティも向上した。シートと背もたれが連動して動くような座席を採用したことから、快適性の面でもこれまでの新幹線車両より進化している。

■「N700Sを選ぶお客様もいる」

JR東海の代表取締役副社長、田中守氏も挨拶し、「完成度の高い車両ということで、N700Sを選ぶお客様もいます」とコメント。N700Sの最新トピックスとして、「この10月から『S Work 車両』を開始し、同車両の7号車と、隣のグリーン車8号車に新しいWi-Fiを導入しました」と語った。N700Sの「S Work 車両」では、ビジネスサポートツールを貸し出すほか、通信容量などが強化された新しい「S Wi-Fi for Biz」を導入している。

  • ローレル賞のエンブレムも披露

田中副社長はN700Sについて、「これまでの東海道新幹線の車両がそうだったように、(N700Sも)日本の経済発展に貢献できる車両でありたいと思っています」と述べた。授賞式ではその後、記念のくす玉が割られ、ローレル賞のエンブレムの除幕式も行われた。N700Sが19番ホームから出発したところで、授賞式は終了となった。