すももはプラムやプルーンと仲間の果実。国内では山梨県の生産量が多く、6月から9月上旬ごろまで楽しめる果実です。皮はやわらかくそのまま食べられるので、手軽に食生活に取り入れられるのが魅力です。

今回はすももの栄養素と効能、期待できる効果について解説します。国内で栽培している品種や、おいしいすももの見分け方についてもご紹介します。

  • すももとは

    すももの栄養成分と効能、期待できる効果について解説します

すももとは

すももは漢字で「酢桃」。「桃」よりも酸味が強いことから「酢」をつけて呼ばれています。国内では全28品種が栽培されており、山梨県がもっとも生産量が多く、ほかには長野県や山形県でも生産されています。

よく流通している日本すももは大石早生(おおいしわせ)やソルダムなどで、6月から9月頃が旬です。それぞれ見た目や味わいが異なります。貴陽(きよう)や皇寿(こうじゅ)は大玉品種で、ギフトとしても喜ばれる高級品です。

  • すももとは

    触ってみて固いときは数日置いて追熟させるのがおすすめです

すももの栄養素・成分

すももは大石早生やソルダム、貴陽といった品種がよく流通しています。品種によって旬の時期は異なりますが、6~9月頃です。種以外の可食部100gあたりの栄養成分について、七訂日本食品標準成分表で調べてみました。

  • エネルギー:46kcal
  • カリウム:150mg
  • カルシウム:5mg
  • βカロテン:76μg
  • ビタミンC:4mg
  • すももの栄養成分

    中玉や大玉などサイズも品種によって異なります

すもも摂取で期待できる効果・効能

初夏はすももの旬の時期。おいしいすももから摂れる栄養成分をご紹介します

ビタミン

すももに含まれるビタミンは、皮膚を健やかに保つビタミンAや新陳代謝を活発にするビタミンEなどがあります。ビタミンは体内で作り出すことができない栄養成分のため、食品からの摂取が大切です。

葉酸

葉酸は水溶性ビタミンのひとつ。すももには可食部100gあたり37μgの葉酸が含まれています。葉酸が不足すると健康に影響を及ぼすため積極的に摂ることが大切です。加熱調理に弱いため、生で食べられるすももは葉酸が摂れるので効率よく葉酸が摂れます。

食物繊維(ペクチン)

すももには食物繊維が水溶性で0.4g、不溶性が1.2gと、合計1.6g含まれています。なかでも、水溶性食物繊維のひとつであるペクチンは、便通を整えてくれる働きがあります。さらに、脂質や糖など吸着して体外へ排出もするため、ダイエットへの効果も期待できます。

ポリフェノール(アントシアニン)

ポリフェノールのひとつアントシアニンは、眼の網膜にあるロドプシンというたんぱく質を合成するために必要です。デスクワークなどで目を酷使される方は、意識して摂るように心がけましょう。アントシアニンはすももの皮に多く含まれています。皮ごと食べてください。

カリウム

カリウムは人間に必要なミネラルのひとつで、体内の電解質のバランスを整える役割を担っています。カリウムが不足するとむくみやすくなるほか、健康リスクが高まるので注意が必要です。すももには、150mgのカリウムが含まれています。塩分量が多い食事や血圧が気になる方はカリウムの摂取を意識しましょう。

  • すもも摂取で期待できる効果・効能

    すももシロップのきれいな紅色はポリフェノールの色です

すももが妊婦に必要な理由

すももに含まれる栄養成分は妊婦さんにとっても欠かせません。妊娠中は血圧が上がりやすく高血圧に注意が必要ですが、すももに含まれるカリウムは、高血圧の要因となるナトリウムを体外へ排出する役割があります。

便通を整える食物繊維も含まれているため、便秘に悩んでいる方はおやつにすももを食べるようにするなど食生活を見直してみましょう。

また、胎児の成長に必要な葉酸もすももには含まれています。毎日の食事を見直して健やかな妊娠期間を送りましょう。

  • すももが妊婦に必要な理由

    妊娠期間中は普段よりも栄養バランスに気を使いましょう

すももとプルーンの違いとは?

すももには、中国原産の「日本すもも」とコーカサス原産の「西洋すもも」があります。すももを英語でいうと「Japanese plum(プラム)」ですが、フランス語では「prune(プルーン)」と呼ばれます。そのため、すももはプルーンだといえるでしょう。

しかし、日本では赤くて丸い形をしていると、すもも、またはプラムと呼び、紫色で縦長の西洋すももをプルーンと区別して呼んでいます。生プルーンは割れやすいため、ドライフルーツやジャムなど輸入加工品が多く、生プルーンは希少です。

国内では、長野県がプルーンの生産量が多く、7~10月頃に収穫されています。すももと同様に栄養価も高いくだものです。ぜひすももと食べ比べてみてください。

  • すももとプルーンの違いとは?

    海外でプルーンはミラクルフルーツとも呼ばれています

すももの栄養を摂る方法

おいしいすももの選び方とすももを使ったレシピを紹介します。すももの栄養をあますことなく摂取するために、ぜひ参考にしてください。

すももの選び方

すももが市場に多く流通する時期は6~8月。早く出回る早生品種より、中・晩生品種がおいしいといわれていますが、品種によっては酸味が少なくて食べやすいものもあります。おいしいすももを選ぶポイントは以下の5つです。

  • 皮に果粉(ブルーム)がついていてハリがある
  • 持つと重さを感じる
  • 褐色になっていない
  • 形が変形しておらずきれいな豊円卵形
  • 品種特有のよい香りがする

すももはデリケートなのでパックの上から指で押さないようにします。上記のポイントをふまえて、おいしいすももを選んでください。

すももを皮ごと使ったレシピ3選

すももは皮がやわらかいのでむかずにそのまま調理できます。すももの栄養を丸ごといただける皮ごと使ったレシピを3つ紹介します。

・すももとりんごのジャム
すももは皮付きのまま、りんごは皮を剥いてひとくちサイズにカットします。鍋に砂糖とレモン汁を入れて中火にかけて沸騰したら、弱火にしてすももを木べらで潰しながら煮詰めていきましょう。煮詰めてとろみがでてきたら、種を取りのぞいて完成です。

パンに塗ってもいいですし、焼き菓子の材料として使ったり、アイスやヨーグルトのトッピングに使うのもおすすめです。

・ヨーグルトすももスムージー
すももは皮ごと半分にぐるっと切って種を取り除いたら、ひとくちサイズにカットします。ミキサーにヨーグルトと水を入れてなめらかになるまでつぶしたら完成です。

無糖ヨーグルトを使うときは甘さを足すためにはちみつを入れるとよいでしょう。いちごやブルーベリーを加えてもおいしいです。ミキサーがなければブレンダーでも作れます。さわやかな酸味を味わえるスムージーです。

・すもも&豆乳シャーベット
すももは種を取り除いたらミキサーでなめらかにつぶします。鍋にすももと豆乳、砂糖を入れて火にかけましょう。砂糖が溶けてピンク色に色づいたら、火からおろして粗熱を取ります。

ミキサーに入れてレモン汁を加えて混ぜたら、バットに移して冷凍庫で冷やしてください。1時間後、一度フォークで空気を含ませるように混ぜたら再度1時間冷やしたら完成です。

ピンク色がかわいいシャーベットです。季節限定のおもてなし用スイーツとして覚えておくといいでしょう。

  • すももの栄養を摂る方法

    すももは焼き菓子にもおすすめです

すももの保存方法

果粉(ブルーム)がびっしりとついた完熟したすももは、新聞紙などに包んで冷蔵庫で保存してください。冷蔵庫に入れてもあまり日持ちしないため、なるべく早めに食べましょう。

まだ熟していないすももは常温に置いて、追熟させてください。熟してくると香りが強くなります。完熟後は冷蔵庫に移したり、調理したりと早めに食べてください。

  • すももの保存方法

    真っ赤に熟したすももは香りもよく、甘酸っぱくておいしいです

すももとプルーンの栄養価を比較

すももと少しだけずれて旬が訪れるプルーン。栄養価にはどんな違いがあるのか気になりませんか? 生のすももとプルーンの主要な栄養価をまとめてみました。比べてみましょう。

栄養 すもも プルーン
カリウム 150mg 220mg
カロテン 76μg 450μg
葉酸 37μg 35μg
食物繊維 1.6g 1.9g
ビタミンC 4mg 4mg

プルーンのほうがカリウムやカロテンが多く含まれていることがわかります。栄養バランスもふまえて、旬のおいしさを楽しみましょう。

  • すももとプルーンの栄養価を比較

    完熟すももを選んで食べてくださいね

すももは栄養価の高い旬にたくさん食べよう

すももはプラムとも呼ばれ、6月から9月頃が旬の時期を迎えます。ジューシーな果肉はさっぱりとした甘さで食後のデザートにもぴったりです。疲れを感じているときやイライラ感を抑えたいときにおすすめ。旬の時期の果物は栄養価も高まるので、より効果を期待できるでしょう。

手作りスイーツに使えばきれいなピンク色を楽しめます。おもてなしスイーツとしても喜ばれるので、旬のすももを使って挑戦してみてください。