ソニーコミュニケーションズは10月29日、モバイル通信サービス「NUROモバイル」において、月間のデータ容量が20GBで利用料が月額2,699円の「NEOプラン」を11月1日より提供開始すると発表した。
「NEOプラン」では、LINE/Twitter/Instagramの利用(ライブ動画などは除く)についてはデータ容量としてカウントされない「NEOデータフリー」を設定。SNSのコミュニケーションを容量を気にせずに楽しみながら、他のコンテンツやゲームなどに20GBのデータ容量を自由に活用できる。データ容量超過後の制限速度も最大1Mbpsと、「ahamo」「LINEMO」の制限速度と同等の設定となっている。
NUROモバイルは従来の音声プランとして「バリュープラス」を用意しているが、3GB/5GB/8GBの容量で月額基本料を低く設定している「バリュープラス」に対して、月額基本料は高めではあるが20GBの容量で通信品質が高い「NUROモバイル」という位置付けとなる。通信品質については、回線ネットワークでNEOPLAN専用の帯域を確保することで、高い品質を確保するという。提供回線はドコモ回線のみ。
初期費用/解約金/MNP転出手数料は発生しない。国内音声通話は11円/30秒で、専用アプリの利用や特別な手続きは不要だ。データ繰り越し/パケットギフト/5Gオプションも用意されているが、パケットギフトは「NEOプラン」間のみで、「バリュープラス」加入者とのパケットギフト交換はできない。
「NEOプラン」の提供開始にあたり、2つの特典を用意する。ひとつめは、他社からのMNPで「NEOプラン」に加入したユーザーに対して、月額基本料金を最大3カ月間無料とするという乗り換え特典。もうひとつは、「NEOプラン」に加入し「Xperia 10 III Lite」を購入すると20,000円のキャッシュバックが受けられる購入特典。ふたつの特典は併用可能で、詳細はサービス提供開始後にWebサイトで案内するとしている。
20代の10~20GB容量ニーズに応える新プラン
同日開催された新プラン発表会では、「NEOプラン」の導入にいたった背景がソニーネットワークコミュニケーションズ MVNO事業室 室長の神山明己氏から説明された。
神山氏によれば、「ahamo」「povo」「LINEMO」などのキャリアのオンライン専用プランの登場をきっかけとして、10~20GBの容量のニーズが拡大しているという。そしてその容量帯は20代までの世代のユーザーが多く、そのデータ通信の多くをSNSの利用が占めているが、NUROモバイルは20代のユーザーの割合が低く、このニーズに対応できていなかった。
そこで導入するのが「NEOプラン」となる。「NEOデータフリー」により、SNS利用が多いユーザーにとっては20GBというデータ容量以上に利用できるため、先述のようなニーズをもった層に強くアピールできるプランであるとしている。
質疑応答では、神山氏とMVNO事業室 サービス設計課 課長の亀井健男氏が記者団からの質問に対応した。
10月7日にNTTドコモが発表した「エコノミーMVNO」をどう受け止めているか、という質問に対しては「MVNOを気軽につかってもらえるのでは、とポジティブに受け止めている」(神山氏)としながらも、現時点での参入は検討していないとのこと。「現時点ではNTTドコモ様からお話をいただいていないので、検討しようがない状況」という回答だった。
「NEOプラン」の専用帯域については、亀井氏から説明。MVNOの通信が遅くなるというのは、MVNOとMNO(キャリア)の間の帯域がボトルネックとなる傾向があったため、この部分に十分な「NEOプラン」専用帯域を用意し、MVNO側ではボトルネックを発生させない設計にし、MNO(キャリア)と同等の通信品質を実現するようにしたという。このため、「コストを利用者に還元する」という姿勢でキャリアとの価格差を大きく設定した「バリュープラス」と違い、「NEOプラン」ではキャリアと差がそれほど大きくない料金設定となったが、「価格的メリットは小さく見えるかもしれないが、機能性については十分お得に感じていただけるのではないか」(神山氏)と語った。
なぜドコモ回線のみなのかについては、オートプレフィックスで11円/30秒の国内通話に現時点で対応できているのがNTTドコモだけだという理由を挙げ、さらに他のキャリアがオートプレフィックスを導入すれば対応回線を拡げるのかを問われると、「お客様のニーズに合わせて変更していきたい」とした。「NEOデータフリー」の対象の拡大・変更についても「利用者のニーズに応じて」(神山氏)と前向きな姿勢を見せた。
また、9月末で「データ使い放題プラン」の申し込みを停止し、現在は提供していない大容量帯への展開については「ヘビーユースの方が多く、価格と品質で苦戦した部分があった。今後は環境の変化をみながら、慎重に判断したい」(亀井氏)という考えを示した。