初代クイーン王座へ前進
西山朋佳女流王座に里見香奈女流四冠が挑戦する、第11期リコー杯女流王座戦(主催:株式会社リコー)五番勝負第1局が10月28日に東京都「ホテル椿山荘東京」で行われました。結果は121手で里見女流四冠が勝利を収めています。
白玲・女王・女流王座・女流王将を保持する西山女流王座と、清麗・女流名人・女流王位・倉敷藤花を保持する里見女流四冠。今期のリコー杯女流王座戦は、女流タイトル全てを独占する両者による頂上決戦となりました。
第1局は振り駒が行われ、里見女流四冠が先手番に。振り飛車党同士の対決ということで戦前から予想されていた通り、戦型は相振り飛車になりました。
中盤は両者一歩も引かない激しい攻め合いとなりました。共に相手玉の守り駒をはがし合い、大駒を取り合う大乱戦。難解な形勢のまま終盤戦に突入します。
最終盤で里見女流四冠は金取りを放置して▲5七桂と自陣桂を放ちました。これは次の▲6五桂打を狙った寄せの一手。金を取られても大丈夫という判断です。
狙い通り▲6五桂打で王手をかけ、西山女流王座が△6二玉と逃げた局面。ここで里見女流四冠は残り26分の持ち時間の内、17分を消費して▲3六玉と玉を上がりました。一気に寄せるのではなく、玉を上部へ脱出させて、あわよくば入玉をしようという手です。
ところがこの▲3六玉で西山女流王座にチャンスが訪れます。里見玉の入玉までの道のりは険しく、西山女流王座が里見玉を寄せ切れるかという局面になりました。
桂を入手すれば里見玉に詰みありと見た西山女流王座は、△6五銀で桂を取りました。ところがこれが本人が局後に「うっかりした」と語った痛恨の失着。実際には里見玉に詰みはありませんでした。そうかと言って、軌道修正ももはやできない局面。西山女流王座は里見玉に連続王手で迫ります。
逃げ間違えると急転直下負けになってしまうところですが、里見女流四冠は間違えません。王手ラッシュを冷静にかわし切り、西山女流王座を投了に追い込みました。
第8期以来の復冠に向け、幸先のいいスタートを切った里見女流四冠。タイトルを奪取できれば通算5期獲得により、クイーン王座の永世称号を手にすることができます。今期で11期目の棋戦ということもあり、まだクイーン王座の獲得者はいません。里見女流四冠は初代の座を射止めることができるでしょうか。
一方、悔しいミスで開幕局を落としてしまった西山女流王座。先手番の第2局で星を五分に戻し、3連覇へ前進したいところです。
第2局は11月15日に神奈川県「ヨコハマ グランドインターコンチネンタル ホテル」で行われます。