米Googleは10月27日(現地時間)、Android Dev Summitにおいて、Android 12のシステムUI(ユーザーインターフェイス)をタブレットやフォルダブルなど大きなスクリーンを備えたデバイス向けに最適化した「Android 12L」を発表。開発者向けに「12L Developer Preview」をリリースした。
すでにOEMパートナーと協力した作業を進めており、近日中に「Lenovo Tab P12 Pro」でDeveloper Previewを試せるようにする。正式版は、2022年前半にAndroid 12の「フィーチャードロップ(Feature Drop:機能アップデート)」として提供する予定。同社はリリースのタイミングを「Android 12タブレットとフォルダブルの次の波」と表現しており、Android 12Lによって、「フォルダブルのPixelスマートフォンが登場するのではないか」という期待も高まっている。
新型コロナ禍をきっかけに、オンライン授業、テレワークやビデオ通話の普及などで大きなスクリーンを備えたスマートデバイスの需要が高まった。過去1年で1億台近いAndroidデバイスがアクティベートされ、そのうちタブレットのアクティベーションは前年同期比20%の増加、フォルダブルが265%増だった。フォルダブルのスマートフォン市場におけるシェアはまだ小さいが、モバイルでより大きな画面を求めるユーザーのニーズによって成長を加速させている。またPC市場では、ChromeOSが92%増と、教育市場を中心にシェアを伸ばした。そうしたニーズの高まりに対して、大画面デバイスでAndroidがより美しく、使いやすくなるようにAndroid 12Lを提供する。
Android 12Lは600dp以上の画面で、横幅のあるスクリーンスペースを有効に使って、通知シェードでクイック設定と通知を2列レイアウトで表示する。ロックスクリーンにも2列レイアウトを採用、「設定」などシステムアプリも最適化している。
インタラクションについても、大画面で使いやすいデザインを採用している。例えば、タブレット端末でロック画面のパターンやPINの入力を、指が届きやすい画面の端の方に配置、画面の反対端をタップすると逆端へ移動する。フォルダブルには開閉によって外側のシングルスクリーンと見開きの大きな画面を行き来するデバイスがあるが、ユーザーが選択を維持しながら連続性のある体験になるように、ホーム画面のグリッドを最適化、切り替え時のトランジションを見直した。
大画面デバイスのユーザーは、マルチタスクをより活用している。そこで、アプリの起動や切り替えを容易にする新しいタスクバーを導入、ジェスチャー操作との組み合わせでマルチタスキングを強化した。
タスクバーから直接ドラッグ&ドロップで分割画面(split screen)を作成でき、またオーバービュー内の”分割(split)”アクションを使ってタップするだけで分割画面モードを開始できる。スワイプアップで簡単にホーム画面に戻れ、最近使用したアプリの切り替えもジェスチャーですばやく行えるなど、スピーディーなマルチタスク操作が可能。タスクバーは長押しでいつでも表示・非表示を切り替えられる。
Androidアプリの多くはすでにレスポンシブレイアウトやマルチウィンドウモード、フォルダブル対応など、大画面を含む幅広いスクリーンサイズと形状に対応するように作成されているが、中にはまだ最適化されていないアプリもある。そうしたアプリについても、大画面デバイスで快適に使用できるように互換性モード(compatibility mode)の表示や安定性を改善した。
オーバーレイ設定を通じてデバイスメーカーが多くのオプションでカスタマイズできるようにレターボックスのUIを変更。例えば、アプリのアスペクト比の変更、アプリウインドウのコーナーの形(ラウンド)、ステータスバーの透明度などをデバイスメーカーが設定できる。
大画面デバイスに最適化されたアプリのGoogle Playでのサポートも強化する。大画面デバイス対応アプリの品質ガイドラインに照らして、各アプリの対応を評価するチェック機能を新たに追加。ユーザーが大画面デバイスに適したアプリを簡単に見つけられるようにする。大画面用に最適化されていないアプリについては、アプリのPlay Storeページで、大画面デバイスのユーザーに注意を促す。また、大画面デバイス向けアプリ専用のレーティングを導入し、大画面デバイスでのアプリの振る舞いや機能をユーザーが評価し、他のユーザーが参考にできるようにする。