ビタミンCのイメージが強いレモン。「最近お肌が荒れ気味だから、レモンドリンクを飲もう」と気を使っている人も多いのではないでしょうか。

実は、レモンにはビタミン以外にも、ポリフェノールやリモネンなど、多くの栄養が含まれています。

一年中安価で手に入り、長期保存も可能なので毎日の食事に取り入れやすい果物でもあります。

この記事では、レモンの栄養成分と効能を解説します。皮付きと果汁だけの栄養の違いや、上手な保存方法などの豆知識も知っておくと役に立ちますよ。

  • レモンとは

    レモンに含まれる栄養や上手な保存方法を知っておきましょう

レモンとは

レモンは、インド北部が原産のミカン科ミカン属の柑橘類。スーパーに並んでいるものはアメリカ産やチリ産のものが多いですが、広島や愛媛などでも盛んに栽培されており、旬は9月から1月となっています。

爽やかな酸味があるところから、そのまま食べるよりも料理の味付けやドリンクなど、調味料や風味付けとして使われることが多い果物です。

  • レモンとは

    レモンは、インド北部が原産の果物です

レモンの栄養成分

レモンの栄養成分は、日本食品標準成分表2020年版によると、以下のようになります(100gあたり)。

《レモン果実(皮含む)》

  • エネルギー:43kcal
  • たんぱく質:0.9g
  • 脂質:0.7g
  • 炭水化物:12.5g
  • カリウム:130mg
  • 葉酸:31μg
  • ビタミンC:100mg
  • クエン酸:3.0g

レモン1個は、平均して約120g。 レモンの大きさにもよりますが、まるごと使う場合は×1.2して考えるとよいでしょう。

《レモン果汁》

  • エネルギー:24kcal
  • たんぱく質:0.4g
  • 脂質:0.2g
  • 炭水化物:8.6g
  • カリウム:100mg
  • 葉酸:19μg
  • ビタミンC:50mg
  • クエン酸:6.5g

レモン果汁は、レモン1個あたりにつきその重量の30%程度を占めています。 120gのレモン1個分の果汁の栄養分を考えたい場合は、上記を×0.4して考えるとよいでしょう。

ちなみに、よくお菓子や栄養ドリンクなどのパッケージに書かれている「レモン◯個分のビタミンC」とは、レモン全体ではなくレモン果汁を基準にして考えられています。

つまり、「レモン1個分のビタミンC」とは60mgではなく20mgということ。 商品を選ぶ際には、どれくらいのビタミン量なのかを計算してみるといいでしょう。

  • レモンの栄養成分

    レモン1個分のビタミンCは20mgです

レモンの効果・効能

栄養ドリンクなどのイメージから「健康によさそう」と思われがちなレモンですが、実際にはどのような効果が期待されるのでしょうか。

レモンに多く含まれる栄養分の、効果と効能を見てみましょう。

ビタミンC

レモンといえばビタミンCのイメージがある人も多いのではないでしょうか。

ビタミンCは水に溶けやすい水溶性ビタミンであり、コラーゲンの生成に関わります。抗酸化作用も持つため、傷などの治りを早めたり動脈硬化の予防をしたりする効果が期待されます。

クエン酸

レモン果汁の中に含まれるクエン酸は、レモンの酸味の原因となっている物質です。レモンに含まれるクエン酸の量はとりわけ多く、みかんの約6倍、りんごの約300倍もの量が含まれています。

クエン酸には、以下の働きがあります。

  • 体内でよりエネルギーを活発に作らせる
  • カルシウムなどのミネラルを溶けやすい形にする(キレート作用)
  • 酸味で塩味を強く感じさせる

そのため、疲労回復効果やカルシウムを効率よく吸収させる効果、減塩効果が期待されます。

リモネン

リモネンはレモンの皮に多く含まれる、柑橘類特有の香りの成分です。アロマオイルなどの香料にも利用され、香りをかぐと気分をリラックスさせる効果が期待されます。

血行をよくしたり、免疫力を高めたりする効能も期待できると言われています。

ポリフェノール

「エリオシトリン」「ヘスペリジン」「ルチン」の3種類のポリフェノールがレモンの皮には含まれています。ポリフェノールは活性酸素を取り除く抗酸化作用があるため、動脈硬化などをはじめとする生活習慣病を防ぐ効果やアンチエイジング効果が期待されます。

カリウム

カリウムはミネラルの一種で、体内の水分や塩分のバランスをとる働きがあります。ナトリウムを体外に排出する効果も期待できるため、塩分を摂りすぎてしまうことによる高血圧を予防する効能を期待できます。

  • レモンの効果・効能

    レモンには動脈硬化の予防の期待や疲労回復の効果が期待できると言われています

レモンは生・加熱・果汁で効果が違う?

料理や栄養剤にもよく使用されるレモンですが、できればより効率よく栄養を摂りたいもの。

生のレモンと加熱したレモン、果汁でレモンを口にするときの差を比べてみました。

レモンは皮にも栄養がある?

レモンは皮にも多くの栄養が含まれています。

ビタミンCをはじめとするビタミン類やカリウムなどを摂取したいなら、できるだけ果実全体を使うのがおすすめです。

しかし、「すりおろしてサラダなどにかける」「皮ごとジャムにする」「レモンピールにする」など、レモンの皮まで食べられるレシピはあまり多くはありません。

輸入されたレモンは皮に防カビ剤などが使用されていることがあるため、皮まで食べるときは流水でよく洗うか、国産のものを選ぶとよいでしょう。

レモンの栄養は加熱しても壊れない?

レモンの中に含まれるビタミンCは熱を加えると壊れてしまいますが、その減少量は少ないため丸一日加熱し続けなければあまり気にする必要はありません。

レモン鍋やジャムにしてもビタミンCはしっかり摂取できるので、自分に合った方法でレモンを食事に取り入れられます。

ただし、ビタミンCは水溶性。水に溶けてしまうので、鍋にした場合はスープまで意識して飲むようにしましょう。

果汁だけだと栄養がない?

レモン果汁だけであれば葉酸やビタミンCの量は減ってしまいますが、よりアレンジの幅が広がります。

疲れたなと思うなら、レモンスカッシュやレモネードなどのドリンクにする、減塩しようと考えるならレモン醤油にするなど、ご自身の体調に合わせたレモンの取り入れ方をしていきましょう。

  • レモンは生・加熱・果汁で効果が違う?

    レモンのビタミンCは加熱してもあまり損なわれません

レモン豆知識

スーパーで年中手に入り、馴染みのある果物であるレモン。

知っておくと役に立つ、レモンの豆知識を紹介します。

鮮度のいいレモンの見分け方

「ヘタがきれいな色のもの」「重みがあるもの」「皮にシワがなく、つやがあるもの」が鮮度がよくおいしいレモンです。

ヘタが枯れているものは古い可能性がありますし、皮にシワがあるものや軽いものは水分が少なくぱさついてしまっている可能性が高くなります。

レモンの保存方法【冷凍OK】

レモンは冷蔵でも冷凍でも保存可能。

冷蔵の場合は、ラップやポリ袋に包んで野菜室に入れます。半分にカットしたものを保存する場合などは、切り口が乾燥しないようにラップでぴったりと覆いましょう。

冷凍の場合は、くし型もしくは輪切りにカットし、それぞれがくっつかないようにラップなどに挟んで冷凍するのがおすすめ。そのまま料理やドリンクに使えるので解凍いらずです。

マイヤーレモン・ライムとの違い

レモンによく似た果物に、マイヤーレモンとライムがあります。

マイヤーレモンはメイヤーレモンとも言われ、レモンとオレンジが交配されたもの。そのため、丸みを帯びたレモン型をしており皮も中身も濃いめの黄色、味もレモンより酸味が弱めとちょうどレモンとオレンジの中間のような性質を持ちます。

ライムもレモンと同じような形をした果物。色は緑でレモンよりも酸味が少なく、代わりに香りが鋭いのが特徴です。

収穫時は緑!?

レモンは多くの場合緑色の皮のままで収穫されます。

というのも、実はレモンの皮の色と中身が熟しているかどうかは関係ないからです。

収穫後、植物ホルモンのエチレンによって皮が黄色くなったものがスーパーなどに並びますが、「グリーンレモン」といって緑色のまま出荷されることもあります。

  • レモン豆知識

    レモン豆知識を使って、より賢くレモンを活用しましょう

レモンの効果を知って、効果的に使おう!

ビタミンCだけでなく、クエン酸やポリフェノール、リモネンなどを含むレモンは、お肌の調子を整えるだけでなく、塩分を減らしたりカルシウムをより効率よく体内に吸収したりする効果も期待できる果物です。

レモンは一年中スーパーで売っており、冷凍保存も可能。最近ではコンビニにも冷凍レモンがあるため、「欲しいな」と思った時にすぐに手に入るのも魅力です。

栄養分は皮により多く含まれていますが、果汁だけの方がドリンクやドレッシングとして利用しやすくなります。

無理に皮ごと食べようとせず、摂りやすい方法でレモンを食卓に取り入れるといいでしょう。

《政府系引用リンク》

文部科学省「食品成分データベース
厚生労働省「ビタミン | e-ヘルスネット(厚生労働省))
厚生労働省「抗酸化物質 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
厚生労働省「カリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)