柑橘類の中でも甘みが強い特徴を持つ「ポンカン」。本記事では、ポンカンに含まれる栄養成分を解説します。
また、ポンカンを食べることで期待できる効果・効能のほか、ポンカン1個あたりのカロリー、皮に含まれる栄養についても紹介。おいしいポンカンの選び方や保存方法についてもまとめました。
ポンカンとは
ポンカンはミカン科ミカン属に分類される果物で、みかんの仲間になります。ほかの柑橘類に比べて甘みが強く、酸味が少ないのが特徴です。
ポンカンの原産地・生産地
ポンカンの原産地はインドです。ポンカンの名前はインドにあるPoona(プーナまたはプネー)という都市が由来とされています。現在はアジア各国で栽培されており、日本における主な生産地には愛媛県や鹿児島県、高知県などがあります。
ポンカンの品種・種類
ポンカンは、果実が角張っている腰高の「高梢(こうしょう)系」ものと、形が扁平な「低梢(ていしょう)系」の2つに分類されます。
■高梢系
高梢系は大玉が特徴です。温暖な地域で栽培されています。今津ポンカンや吉田ポンカンなどが高梢系に分類されます。
■低梢系
低梢系は小ぶりなのが特徴で、少し気温の低い地域でも栽培されています。太田ポンカンや森田ポンカンが低梢系に分類されます。
ポンカンとみかんの栄養成分の違い
文部科学省の食品成分データベースによると、ぽんかん100gあたりと、みかん100gあたりの主な栄養成分は下記の通りです。
■ポンカン
- エネルギー:42kcal
- 水分:88.8g
- たんぱく質:0.9g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:9.9g
- ビタミンC:40mg
- β−クリプトキサンチン:1,000μg
- β−カロテン当量:620μg
- 食物繊維:1.0g
■みかん
- エネルギー:49kcal
- 水分:87.4g
- たんぱく質:0.7g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:11.5g
- ビタミンC:33mg
- β-クリプトキサンチン:1,800μg
- β-カロテン当量:1,100μg
- 食物繊維:0.4g
ポンカンとみかんを比較すると、ポンカンのほうがややカロリーが低めです。しかし、ビタミンCの量はポンカンが多くなります。
ポンカン1個の栄養成分
品種によって異なりますが、ポンカン1個の重さは105~150gが一般的です。その内、可食部は約80%にあたる80~100g前後となります。そのため、ポンカン1個の栄養成分は上記で紹介した可食部100gあたりの栄養成分と同程度といえるでしょう。
ポンカンで期待できる効果・効能
ポンカンの成分と、食べることで期待できる効果・効能について解説します。
ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、コラーゲンを生成する働きがあります。また、メラニン色素を抑制してくれるので、日焼け予防の効果も期待できるでしょう。さらに、毛細血管や歯、軟骨を正常に保つ役割を担います。
ビタミンCは抗酸化作用にすぐれているため、老化防止やがん、動脈硬化などの予防効果もあるとされる栄養成分です。ストレスや風邪など病気を予防する抵抗力を高める効果も期待できます。
ビタミンCは熱に弱いので、生食できるポンカンはビタミンCを効率よく摂取したいときにおすすめです。
シネフィリン
シネフィリンは、ビタミンCと一緒に摂ると風邪予防に効果的なとされる成分です。ビタミンCとシネフィリンを同時に摂取できるポンカンは、いい効果をもたらす果物といえるでしょう。また、シネフィリンには体内の酸性物質を減少させる効果もあります。
クエン酸
クエン酸はエネルギー代謝を活性化にすぐれています。体内の酸性物質を減らす働きがあるため、疲労回復や筋肉痛の緩和のほか、血をキレイにする作用も期待できるでしょう。
また、酸味のもとであるクエン酸は、夏バテ時の食欲を増進させる効果があるとされています。
ビタミンA(β-クリプトキサンチン・β-カロテン)
β-クリプトキサンチンやβ-カロテンは、ビタミンAの一種です。ビタミンAは目や皮膚の粘膜を正常に保つほか、抵抗力を高める働きがあります。
また、β-カロテンには抗酸化作用から活性酸素を抑制する効果があり、がんなどの病気を予防にもつながる栄養素です。
パントテン酸
パントテン酸はビタミンの一種です。さまざまな代謝に関わっている補酵素をサポートする働きがあり、ビタミンCの働きや脂質・糖質の代謝を助ける役割があります。
パントテン酸が不足すると食欲の減退や便秘、めまい、頭痛、動悸、不眠などを起こすことがあります。
ペクチン
ペクチンは水溶性食物繊維の一種です。小腸でほかの栄養素の吸収を緩やかにする作用があり、血糖値の上昇を抑える効果が期待できるでしょう。
また、ペクチンにはコレステロールを吸着して体外に排出する働きや、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する作用も備わっています。糖尿病や高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の予防にも効果をもたらしてくれる栄養素です。
ポンカンの皮は捨てたらもったいない?
ポンカンの薄皮には栄養があるのか、外皮まで食べられるのかと気になる人もいるでしょう。ここでは、ポンカンの皮について解説します。
ポンカンは薄皮にも栄養がある
ポンカンは実だけでなく、皮にも栄養成分が含まれています。
ポンカンの薄皮にはペクチンが多く含まれています。ペクチンの効果・効能を効率よく摂取したいなら、薄皮ごと食べるのがおすすめです。しかし、食べたときに種が残るのが気になるという人は、薄皮を取り除いてもかまいません。
ポンカンは外皮と実の間にすき間があるので、比較的簡単に外皮をむいて薄皮を残すことができます。
薄皮についた筋にも栄養がある
ポンカンの薄皮についた白い筋には、ポリフェノールの一種であるヘスペリジンやナリンゲニンといった栄養成分が含まれています。抗酸化作用や血流改善、食欲抑制などの効果が期待できるため、筋は取り除かずに薄皮ごと食べるのがおすすめです。
また、ポリフェノールにはビタミンCの働きを助けるビタミンPの機能があり、高血圧の予防や免疫力を高める効果があります。
外皮はピールやアロマにも活用できる
ポンカンの外皮は、シロップとともに煮詰めて乾燥させたピールとしても活用できます。ピールはそのまま食べることも可能ですが、お菓子などにトッピングして風味を楽しむのもおすすめです。
ただし、ポンカンなどの柑橘類は、栽培時に病害や虫の発生を防止する目的で農薬を使用している可能性があります。事前に流水や重曹、野菜用洗剤などでよく洗ってから食べるようにしましょう。
それでも残留農薬が気になる場合は、外皮を食べずに香り成分だけを楽しんでみてはいかがでしょうか。ポンカンの皮を乾燥させて、入浴時に湯船に浮かべるのもおすすめです。
ポンカンの選び方と保存方法
おいしいポンカンの選び方と保存方法を紹介します。ポンカンをおいしく食べるために、ぜひ参考にしてください。
ポンカンの選び方
おいしいポンカンを選ぶポイントは次のとおりです。
■おいしいポンカンの特徴
- 基本的に扁平な形をしているもの
- 外皮にハリがある
- 全体的に色づきが濃い
- 手に取ったときにずっしりと重みがある
- ヘタが小さいものは甘みが強い傾向がある
■避けたほうがいいポンカンの特徴
- 大きすぎるものは大味のものが多い
- 外皮が硬くゴワゴワしている
- 外皮と中の実にすき間を感じる
- 触ってフカフカしているものは水分が少ない
ポンカンの保存方法
ポンカンはむき出しのまま置いておくと水分が蒸発し、しなびてしまいます。そのため、新聞紙やポリ袋に入れて保管しましょう。暖かい室内に置くと風味が落ちるため、冷暗所での保存がおすすめです。
ポンカンは薄皮まで食べて栄養を摂り入れましょう
ポンカンはインドからアジアに広がった果物でみかんの仲間です。皮をむいた可食部100gのカロリーは42kcalとなります。ポンカン1個あたりの重量(可食部)は80~100g前後なので、可食部100gの栄養成分と同じくらいの割合といえるでしょう。
ポンカンにはさまざまな栄養素があります。特に、豊富に含まれているビタミンCは抗酸化作用やコラーゲンの生成など身体にいい影響をもたらします。
ポンカンは薄皮や筋にも栄養がたくさん含まれているので、取り除かずに果肉と一緒に食べるのがおすすめです。ポンカンの保存方法も参考にして、普段の食生活に取り入れてください。