果物と野菜、どちらにも分類されている「パパイヤ」。本記事では、パパイヤに含まれる栄養成分を解説します。

また、パパイヤで期待できる効果・効能のほか、妊婦が食べるときの注意点や美味しいパパイヤの選び方、保存方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

  • パパイヤとは

    パパイヤの栄養成分やその効果・効能を解説します

パパイヤとは

パパイヤは樹高が2〜10mまで成長する、パパイヤ科パパイヤ属に属する植物です。高さが1.5mに成長すると実を付け始めます。ここでは、パパイヤの原産地や品種について解説します。

原産地・生産地

パパイヤは中南米地方が原産地といわれています。現在の生産量1位はインドで、年間約554万4,000トンもの量を生産しています。

しかし、日本に輸入されているパパイヤのほとんどはフィリピンやハワイが生産地となっています。日本でも沖縄県や鹿児島県で生産されていますが、生産量が不安定なため、市場に出回る量は少ないです。

品種・種類

パパイヤは雄花を咲かせる雄株と雌花を咲かせる雌株、両方を咲かせる両性株に分けられます。日本に輸入されているパパイヤの多くは、両性株の「ソロ」と呼ばれる品種です。

  • パパイヤとは

    青パパイヤは野菜として、果実が熟して黄色くなった状態のパパイヤは果物として扱われています

パパイヤの栄養成分

パパイヤ100gあたりの成分について、文部科学省の食品成分データベースでは以下の通りとなっています。青パパイヤと熟したパパイヤに分けてみてみましょう。

■青パパイヤ

  • エネルギー:35kcal
  • 水分:88.7g
  • たんぱく質:1.3g
  • 脂質:0.1g
  • 炭水化物:9.4g

■熟したパパイヤ

  • エネルギー:33kcal
  • 水分:89.2g
  • たんぱく質:0.5g
  • 脂質:0.2g
  • 炭水化物:9.5g

参照:
文部科学省「食品成分データベース」

  • パパイヤの栄養成分

    パパイヤの栄養成分を知っておきましょう

パパイヤの効能

パパイヤを食べることで期待できる効果・効能とその成分を紹介します。

パパイン

パパイヤに含まれるたんぱく質分解酵素のひとつであるパパインは、肉や魚などを消化するときに助けてくれる成分です。たんぱく質だけではなく、糖質や脂肪も分解する力があるとされています。

また、パパインには悪玉コレステロールを減少させる働きがあり、高血圧や動脈硬化の予防につながります。さらに、ナトリウムの排出作用によって血圧の上昇を抑える効果も期待できます。

パパインは青パパイヤに多く含まれており、パパイヤが熟してくるとその量は減少します。

ビタミンC

パパイヤは、レモン果汁とほぼ同量といわれるほどビタミンCが豊富です。ビタミンCはコラーゲンを生成する作用があり、肌環境を整えてくれます。また、ストレスや風邪など病気に対する抵抗力を高める成分としても効果的とされています。

ビタミンCには抗酸化作用も備わっているため、老化防止をはじめ、がんや動脈硬化の予防にも効果を期待できます。

ビタミンA(β-カロテン・β-クリプトキサンチン)

β-カロテンはビタミンAとして働く成分です。ビタミンAは、目や皮膚の粘膜を正常に保ち抵抗力を高める働きがあります。薄暗いところでも視力を維持するなど、目の機能をサポートに必要不可欠な栄養素です。β-カロテンは熟して黄色くなったパパイヤのほうが多く含まれています。

また、パパイヤは抗酸化作用のあるβ-クリプトキサンチンの量が多いことも特徴です。

カリウム

カリウムは塩分であるナトリウムを体外に排出する働きを持つ成分です。血圧を抑える作用があるため、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の予防が期待できます。

カリウムが不足すると筋力低下にもつながるため、運動している人に注目してほしい栄養素です。

葉酸

葉酸はビタミンB群に属しており、赤血球を作る働きから「造血のビタミン」とも呼ばれています。細胞の生産や再生を助ける作用があるため、体の発育にとっても重要な成分です。

また、葉酸は胎児の細胞分裂や成熟を大きく助けるため、妊婦にとって必要な栄養素とされています。

マグネシウム

マグネシウムはミネラルの一種です。補酵素としての役割があり、300種類以上の酵素の活動を助けます。また、血管を拡張して血圧を下げる作用から、血小板が血栓になるのを防ぐ働きがあります。

ポリフェノール

ポリフェノールは抗酸化作用が強い栄養素です。活性酸素の働きを抑えるので、シミやシワ、たるみといった老化現象を予防する効果があります。また、血液の流れをよくするほか、糖尿病や心筋梗塞など生活習慣病の予防にもつながると期待されている成分です。

特に、青パパイヤは赤ワインの約7.5倍ものポリフェノールを含んでいるといわれています。

  • パパイヤの摂取で期待できる効果・効能

    パパイヤを食べることで期待できる効果・効能を理解しましょう

パパイヤは妊娠中に摂取して大丈夫?

妊婦の中にはパパイヤを食べてもいいのか気になる人もいるでしょう。ここでは、妊婦がパパイヤを食べるときの注意点を解説します。

青パパイヤ(未熟・半熟パパイヤ)を食べるときの注意点

青パパイヤには子宮収縮を引き起こす成分が高濃度で含まれています。そのため、妊娠中に未熟・半熟パパイヤの青パパイヤを摂取すると、胎児によくない影響を与える可能性があります。

アジアの一部地域では「妊婦はパパイヤを食べてはいけない」という習慣も存在しているため、妊娠中の人は避けたほうがいいでしょう。

熟したパパイヤを食べるときの注意点

黄色くしっかりと熟したパパイヤは妊婦が摂取しても「重大な危険はもたらされない」という結果が、ラットを用いた実験で発表されました。ただし、妊婦がパパイヤを摂取する場合は、かかりつけの医師や専門家に問い合わせてから判断することをおすすめします。

ラテックス・フルーツ症候群に注意

パパイヤはラテックス・フルーツ症候群を起こす可能性のある果物です。アレルギー症状の特徴はじんましんや口内のかゆみがあげられます。妊婦が熟したパパイヤを食べるときは、少量から試すのがいいでしょう。また、事前にアレルギー検査を受けるのもおすすめです。

  • パパイヤの栄養は妊婦にとっていいの?

    妊娠中の方がパパイヤを食べるときは十分に注意してください

おいしいパパイヤの選び方

購入するときに知っておきたい、おいしいパパイヤの選び方をみてみましょう。青パパイヤと熟したパパイヤに分けて説明します。

青パパイヤ(未熟・半熟パパイヤ)の選び方

手に持ってずっしりとした重さがあるものを選びましょう。大きくても軽いと感じるものは空洞の割合が多く、果肉が薄い可能性があります。

表皮は青々として、白い果粉が付いているものがおすすめです。変色や傷がないかどうか状態も確かめましょう。

熟したパパイヤの選び方

青パパイヤ同様に、手に持ってしっかりと重みを感じるものを選ぶと、果肉や果汁がたっぷり詰まっています。

表皮にハリやツヤがあり、すべすべしているかどうかも確認してみましょう。表面がしなびていたり、傷やへこみがあるものは避けることをおすすめします。

ただし、黒い点や緑色の点が付いているものは、数か所であれば問題ありません。

  • 美味しいパパイヤの選び方

    美味しいパパイヤの選び方を覚えておきましょう

パパイヤの保存方法

パパイヤの保存方法を紹介します。青パパイヤと熟したパパイヤに分けて解説しますので、参考にしてください。

青パパイヤの保存方法

冷暗所や冷蔵庫での保存と、冷凍庫に保存するケースでは、少し方法が異なります。

■冷暗所や冷蔵庫での保存
乾燥防止のため、青パパイヤを新聞紙などに包み、ビニール袋に入れて冷暗所に保管してください。

気温が高い季節や地域に住んでいる場合は、冷暗所に保管するときと同じ状態で冷蔵庫の野菜室で保存します。冷蔵庫の温度が低すぎると低温障害を起こして傷みやすくなるため、冷気が直接当たる場所は避けましょう。

冷蔵の場合、1週間ほど保存が可能です。

■冷凍庫での保存
青パパイヤの皮をむいて種を除き、適当な大きさにカットします。10分ほど水に浸けてアク抜きをしたら、水気をしっかり拭き取りましょう。

カットした1回分ずつをラップで包んで冷凍用保存袋に入れ、金属製のトレイに乗せて急速冷凍させます。

冷凍であれば、1か月ほど保存できます。

熟したパパイヤの保存方法

熟したパパイヤの冷蔵庫での保存と、冷凍庫に保存するケースで分けて説明します。

■冷蔵庫での保存
まだ緑色の部分が残るパパイヤは追熟させる必要があります。新聞紙に包んで、20℃前後の室内に置いておきましょう。パパイヤが熟したらラップやポリ袋で包んで、冷蔵庫の野菜室に保存します。

熟したパパイヤも冷蔵で1週間ほど保存できますが、なるべく早く食べるようにしましょう。

■冷凍庫での保存
パパイヤの皮と種を除いて適当な大きさにカットしたら、ラップを敷いたトレイに並べてh一度冷凍させます。果肉が凍ったら冷凍用保存袋に移して、食べるまで冷凍庫に入れておきます。

保存期限は青パパイヤと同じく、1か月程度を目安に食べるようにしましょう。

  • パパイヤの保存方法

    パパイヤは冷蔵で1週間ほど、冷凍で1か月ほど保存可能です

パパイヤから豊富な栄養成分を摂取しましょう

パパイヤは果物と野菜の両方に分類されており、青パパイヤ(未熟のパパイヤ)は野菜として、熟して黄色くなったパパイヤは果物として扱われています。

パパイヤにはさまざまな栄養素があり、パパインはタンパク質や脂肪、糖質を分解する働きがあるため、ダイエット効果も期待できる成分です。また、抗酸化作用があるビタミンCも豊富とされています。

ただし、青パパイヤは胎児によくない影響を及ぼすこともありますので、妊婦の摂取には十分な注意が必要です。熟した黄色いパパイヤについても、食べる前にかかりつけの医師に相談しましょう。

おいしいパパイヤの選び方や保存方法も参考にしながら、普段の食生活に取り入れてください。