ラフランス(セイヨウナシ)の栄養素は食物繊維やソルビトールなどがあります。濃厚な甘みで水分を多く含み、整腸作用や疲労回復に効果がある果実です。

今回はラフランスの栄養素や効能について解説します。栄養価の高いラフランスを食べて体調を整えていきましょう。

  • ラフランスとは

    「ラフランスの栄養素」について解説します

ラフランスとは

ラフランスとはバラ科ナシ属の落葉高木で、セイヨウナシの品種です。洋なしとも呼ばれます。英語の表現は「La France」で、通常は洋なしを「Pear」と言います。

梨(和なし)の果実が球形であるのに対して、ラフランスはデコボコしたシミのような模様がみられる球形の黄緑色の果実が実ります。一般的なセイヨウナシは縦長でひょうたんのようないびつな形をしているため、同じ種類でも品種によって形は異なるのです。

ラフランスは果実の色や形はふぞろいで見栄えはよくないとされていますが、とろけるような甘みと上品な香りで人気の果物です。

山形県が主な産地

ラフランスは名前の通り、フランス(ヨーロッパ)が原産とされており、日本では山形県が主な産地です。セイヨウナシ自体は明治初期に日本に伝わったとされています。収穫しても固くてまずかったため捨てられ、その後熟した果実を拾って食べてみると美味しいことに気付いたというセイヨウナシのエピソードが残っています。

もともとラフランスは見た目の悪さと栽培の手間から、ほかのセイヨウナシの受粉樹として利用されるだけでした。果樹は異なる品種を同時に育てて、単一品種のみの場合より、果実が実る確率を上げる手法があるためです。しかし、徐々に豊富な果汁と甘い果肉が注目され、高価なセイヨウナシとして栽培が進むようになったのです。

ラフランスの開花自体は早いですが、収穫までが遅く、手間がかかる果物です。そのため栽培が盛んになっているのは、山形県のように早期から生産体制を整えた土地となっています。

ラフランスの種類

ラフランスはセイヨウナシの品種ではありますが、さらに細かくわけられるケースがあります。たとえば、栽培は難しく小ぶりですが、香りが高く味も上等な金色に輝く「ゴールド・ラフランス」があります。また、糖度14度以上で形や大きさの基準を超えた希少なラフランスに与えられる称号「スーパー・ラフランス」もラフランスの種類です。

通常のラフランスは果実が固いうちの10月頃に収穫され、11~12月に食べ頃を迎えるように調整されます。スーパー・ラフランスは通常のラフランスと同じ時期に、ゴールド・ラフランスは12月頃に販売されるようになっています。

皮ごと食べられる

ラフランスの食べ方として通常は種をくり抜いて皮をむいて食べますが、皮ごと食べることも可能です。

しかし、完熟したラフランスは果汁があふれてくるため、皮ごと食べる方法は食べにくいです。皮をむかずに半分に切ったラフランスの種をくり抜き、スプーンで果肉をすくって食べると果汁と果肉を存分に楽しめます。

  • ラフランスとは

    ラフランスは濃厚な甘みを持つセイヨウナシの品種です

美味しいラフランスの選び方

ラフランスは通常、食べ頃である完熟になる前に収穫と出荷をされます。ほかの果物と異なり、ラフランスは完熟になっても皮の色は変化せず、判断が難しくなっています。

完熟の見分け方は軸の状態と固さです。食べ頃のラフランスは軸が乾燥して茶色くなっており、軸の周りに皺ができます。そして、香りが強まるとともに軸周辺が柔らかくなってきたら食べ頃です。

通常の梨はシャリシャリとみずみずしい食感ですが、ラフランスは果汁たっぷりでねっとりとした食感が特徴です。

完熟したラフランスは日持ちしないため、購入後に自宅で「追熱」と呼ばれる完熟を待つ期間を設けます。状態と気温によって、数日から2週間程度待てば完熟です。温度が高いと早く追熱するため、長く保存したい場合は冷蔵保存すると追熱が遅くなります。

  • 美味しいラフランスの選び方

    ラフランスは軸の部分が茶色く、周辺が柔らかくなってきたものを食べましょう

ラフランスの保存方法

完熟前のラフランスは温度によって保存期間をコントロールしやすいですが、完熟後の保存はあまり効きません。

完熟したラフランスは新聞紙やビニール袋に包み、冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。冷蔵保存であっても日持ちはしにくい果実であるため注意が必要です。

冷凍保存する場合は完熟のラフランスを半分に切り、ラップに包んで冷凍しましょう。食べる場合は電子レンジを使わず、自然解凍します。

  • ラフランスの保存方法

    ラフランスは湿気を保ち、ビニール袋で包んで保存します

ラフランスの栄養素

ラフランスは食物繊維や水分が豊富に含まれています。ラフランスに含まれる栄養素を解説します。

食物繊維

ラフランスには不溶性食物繊維が多く含まれています。保水性が高いため、腸を刺激して活動を活発にさせる効果があります。そのため、腸内環境がよくなり、ラフランスを食べると結果として、整腸につながりやすくなるのです。

食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があります。水溶性食物繊維は昆布や里芋などに含まれるように粘りがあり、糖質の吸収をゆるやかにします。

  • ラフランスの栄養素

    ラフランスは食物繊維が豊富です

ラフランスの効能

ラフランスには食物繊維やソルビトールなどが含まれており、体の調子を整える効果があるとされています。ラフランスは疲労回復なども見込めます。

整腸作用

ラフランスには不溶性食物繊維が豊富に含まれており、腸の動きを活発にする整腸作用があります。

大腸ガンや便秘の予防に効果があるとされています。

疲労回復効果

ラフランスに含まれるアスパラギン酸を摂取すると疲労回復につながりやすくなります。栄養ドリンクなどにも含まれる成分で、疲労物質である乳酸をほかのエネルギーに変換させる作用があるためです。

のどの痛みの回復

ラフランスに含まれるソルビトールは高い保湿性を持ち、のどの炎症に効果があるとされています。食材に含まれているだけではなく、のどスプレーや咳止め薬などの薬品にも使われることがある成分です。

美肌効果

ラフランスにはさまざまな成分が含まれているため、結果的に美肌につながる可能性があります。食物繊維の働きにより、腸内環境が整ってくると善玉菌が腸内で活動を始め、美肌効果があるとされています。

  • ラフランスの効能

    ラフランスは整腸作用があります

ラフランスを食べる際の注意点

ラフランスにさまざまな効果がありますが、水分と糖分が多く含まれているため、食べる際には注意が必要です。

妊婦とラフランス摂取の関係性

ラフランスには整腸作用のある食物繊維や水分が豊富に含まれています。適量を摂取すれば問題ありませんが、食べ過ぎはお腹を冷やし、下痢につながってしまいます。特に妊婦の方はお腹を冷やして体調を崩さないように注意しましょう。

甘みと水分により、食べやすい果実であるラフランスであるため、一度に複数個を食べ過ぎないように意識することが大切です。

糖分のとりすぎ

ラフランスは濃厚な甘みが特徴ですが、ほかの梨と比べると糖分が高くなっています。糖分をとりすぎると体重増加につながる可能性があるため、食べ合わせや一度の摂取量に注意して楽しみましょう。

  • ラフランスを食べる際の注意点

    ラフランスは体を冷やすため妊婦は特に注意しましょう

ラフランスは整腸作用やのどの痛みに効果的

ラフランスはセイヨウナシの品種で、黄緑色のふぞろいな形の果物です。完熟するまで果実が固い状態が続き、食べ頃を極めることが少し難しいですが、完熟のものは上品な香りと濃厚な甘みが美味しく人気となっています。

ラフランスには食物繊維が豊富に含まれており、整腸作用や疲労回復に効果があるとされています。生食で濃厚な味わいを楽しめるほか、すりおろしてピューレやソースなど味をまろやかにする調味料として活用できます。水分と糖分が多いため、妊婦や食べ過ぎを気にしている方は摂取量に注意して楽しみましょう。