東京メトロと日立製作所は、東京メトロ半蔵門線の新型車両18000系が「2021年度グッドデザイン賞」(日本デザイン振興会主催)を受賞したと発表した。
新型車両18000系は、半蔵門線で活躍する8000系の置換えとして、8月から営業運転を開始している。外観は従来の車両の端正な表情を受け継ぎ、前面から側面の形状に合わせて直線的な形状のヘッドライトを配置することで、親しみやスタイリッシュさが感じられるデザインとした。車端上部には、車いす・ベビーカーなど利用する人に向けてフリースペースの位置を示すピクトグラムを掲示している。
インテリアは半蔵門線ラインカラーのパープルを基調に、車内床下から天井に向かって明るい色になるような「トーンオントーン」の配色により、明るさや活気を感じさせる車内空間に。連結面、座席横の仕切り、荷棚には透明な強化ガラスを採用し、車内の開放感を高めた。
走行する18000系の機器状態を遠隔でモニタリングする「TIMAシステム(車両情報監視・分析システム)」の導入、脱線時に自動で列車を停止させる脱線検知装置の搭載、車両内へのセキュリティカメラ設置など、安全・安定性も高めた。
車内の快適性向上にも配慮し、座席には消臭・抗菌・抗ウイルス加工を施した表地を採用。座席幅は従来の430mmから460mmへと拡大した。また、車両床面の高さを60mm下げ、ドア出入口下部の形状をホーム側に傾斜させることで、車両とホームの段差を低減。車いす・ベビーカー利用者のためのフリースペースを全車両に設けるとともに、付近のドアのレールに切欠き加工を施し、乗降性を向上させた。
環境負荷にも配慮し、従来の8000系と比べて高効率な永久磁石同期電動機(PMSM)とシリコンカーバイド(SiC)素子を利用した制御装置の採用により、消費電力量を削減している。
こうした特徴を踏まえ、審査委員は「利用者にとっても印象的で好感の持てるリニューアルになっている」「利用者目線で細やかな改善が施されている」「環境配慮もされている」とコメント。「新しい東京を支える、美しさと機能性、また利用者への細やかな配慮をあわせ持ったデザインである」と評価した。