健康を気にしている人やダイエットをしている人の中には、果物を積極的に口にする人も多いでしょう。この記事では、ラズベリーの栄養素について解説します。
ラズベリーを摂取することで期待できる効果・効能のほか、冷凍したときの栄養価や美味しいラズベリーの選び方、保存方法もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ラズベリーとは
ラズベリーはバラ科キイチゴ属に分類される果実です。英語では「ラズベリー」ですが、フランス語では「フランボワーズ」、日本では「木イチゴ」とも呼ばれます。また、「西洋キイチゴ」や「ヨーロッパキイチゴ」などの別名も存在します。
ラズベリーの品種・種類
ラズベリーの主な品種は下記の通りです。
- インディアンサマー
インディアンサマーはラズベリーの代表的な品種です。果実の色は赤く、2~3gの重さがあり、1年で2回収穫できる二季なり性のため、比較的たくさん収穫できます。生食のほか、ジャムや果実酒に用いられる種類です。
- ジョイゴールド
果実の色が黄色のジョイゴールドは、5~8gの重さがある大粒の品種です。二季なり性で食感がよく甘みが強いため、生食向きの種類とされています。
- マリージェーン
果実の色が紅色のマリージェーンは、ラズベリーの中でも平均以上に大きな実をつけます。二季なり性で食べ応えがあり強い甘みが特徴です。
- ブラックキャップ(ブラックベリー・ブラックラズベリー)
ブラックキャップは果実が熟すと黒色になり、3~5g程度に成長します。一季なり性の品種で、コクのある甘い味わいが特徴です。
ラズベリーの栄養素
ラズベリー100gあたりの成分について、文部科学省の食品成分データベースでは以下の通りとなっています。
- エネルギー:36kcal
- 水分:88.2g
- たんぱく質:1.1g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:10.2g
- ビタミンC:22mg
- 葉酸:38μg
- カリウム:150mg
- カルシウム:22mg
ラズベリーで期待できる効果・効能
ラズベリーの摂取で期待できる効果・効能とその成分について紹介します。
アントシアニン
アントシアニンはポリフェノールの一種です。目の網膜に存在するたんぱく質を再合成する働きがあります。その作用により、眼精疲労や視覚機能の改善が期待できます。
エラグ酸
エラグ酸もポリフェノールの一種で、赤色のラズベリーに多く含まれる成分です。体内の毒素を排除したり、細胞の突然変異を抑制したりする作用を持ちます。また、抗酸化作用もあるため、シミやシワ、たるみの予防、美肌効果などが期待できます。
エラグ酸はザクロやイチゴにも含まれている成分です。ただし、赤色のラズベリーが含んでいるエラグ酸が、人体で非常に効率よく吸収されることが確認されています。
ラズベリーケトン
ラズベリーケトンはラズベリーに含まれる香り成分です。脂肪に直接働きかけて分解する効果があるとされ、その効果は同様の働きをするカプサイシンの3倍といわれています。また、毛髪を生やす細胞を増やす育毛効果があることも報告されている栄養素です。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの生成に必要な栄養素です。メラニン色素を抑制し肌環境を整える効果があるとされています。また、ストレスや風邪など病気への抵抗力を強めるほか、鉄分の吸収をよくする作用も期待できます。
さらに、抗酸化作用を持っているので老化防止をはじめ、がんや動脈硬化の予防も期待できる成分です。
葉酸
葉酸はビタミンB群に属する栄養素です。赤血球を作る働きから「造血のビタミン」とも呼ばれています。また、細胞の生産や再生を助ける作用を持っているため、体の発育にも重要な成分です。
特に妊婦が葉酸を積極的に摂ると、胎児の細胞分裂や成熟を大きく助けるため、先天異常のひとつである神経管閉鎖障害のリスクを減少させる効果が期待できます。
カリウム
カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑え、体外へ排出する作用があります。そのため、血圧を下げる効果が期待できます。また、カリウムには筋肉の働きを助ける作用もあり、摂取するとむくみの予防にもつながります。
カルシウム
カルシウムはミネラルの一種です。骨や歯を健康にするだけでなく、細胞分裂や筋肉収縮など生命維持に必要な栄養素といわれています。不足すると骨や歯が弱くなったり、骨の発育障害を起こすこともあります。
子どもをはじめ、女性や妊婦、高齢者など幅広い年齢層の人に必要不可欠な成分です。
ラズベリーの栄養は冷凍しても失われない?
さまざまな栄養成分を含んでいるラズベリーですが、生の果実ではなく冷凍された商品を見かけることもありますよね。そのため、冷凍されたラズベリーで得られる栄養素がどうなっているのか気になる人も多いでしょう。
その答えは、海外の研究により明らかになっています。
生の果実より栄養価が高い可能性がある
イギリスのレザーヘッド食品研究所とチェスター大学が共同で行った研究結果によると、野菜や果物は生のままより冷凍したほうが、栄養価が高くなることが証明されました。
同研究では、冷凍と生の野菜や果物の栄養素の量を5つの成分に分けて、以下のように発表しています。
■冷凍と生、栄養価の高さの比較【ラズベリーの場合】
- ビタミンC:同等である
- ポリフェノール:生
- ルテイン:冷凍
- β-カロテン:冷凍
- アントシアニン:冷凍
ラズベリーの場合、ポリフェノール以外の成分では、冷凍のほうが栄養価は高くなるという結果になりました。生のラズベリーが手に入りにくい地域などにおいては、冷凍のラズベリーを購入するのもおすすめです。
おいしいラズベリーの選び方
ラズベリーの栄養素をしっかり摂り入れるために、ここではおいしいラズベリーの選び方を紹介します。
- 果実が濃い赤など、全体的に濃く色づいているもの
- 色鮮やかで傷や汚れがないもの
- 実が柔らかく香りがよいもの
- パックの場合、下側の実が潰れていないもの
ラズベリーを選ぶ際は、上記4つのポイントを参考にしてみてください。
ラズベリーの保存方法
ラズベリーは傷みやすいデリケートな果実です。日が経つとカビが生えやすくなるため、できるだけ早めに食べることをおすすめします。ここでは、ラズベリーを少しでも長持ちさせるための保存方法を紹介します。
- 冷蔵保存
ラズベリーを密閉できる保存袋に入れて、冷蔵庫に保管します。なるべく保存袋に空気が入らないようにしましょう。
ラズベリーは冷蔵でも保存期限は2~3日となります。
- 冷凍保存
ラズベリーの果実同士がくっつかないように、バットやトレイなどに広げて並べます。その状態で一度冷凍庫に入れて凍らせてください。果実の冷凍が確認できたら、保存袋に入れて冷凍庫に入れ直します。
ラズベリーは冷凍であれば、1か月間程度保存できます。
ラズベリーは生と冷凍両方から栄養が摂れる
ラズベリーはさまざまな栄養素を持つ果物です。アントシアニンはポリフェノールの一種で眼精疲労や眼病の予防・改善に効果があるとされています。また、ラズベリーの香り成分であるラズベリーケトンは脂肪細胞に直接働きかけて分解を促す作用があるため、ダイエット効果が期待できるでしょう。
野菜や果物は生のままだけではなく、冷凍しても栄養素がそのまま残るとされています。特にラズベリーに関しては、冷凍したほうが栄養価が高くなる成分もあるという研究結果も出ているため、冷凍食品からも豊富な栄養素を摂り入れることが可能です。
おいしいラズベリーの選び方や保存方法も参考にして、普段の食生活に取り入れてください。