日立製作所は20日、鉄道事業者である交通部台湾鉄路管理局(台鉄 / TRA)向けに製造した鉄道車両「EMU3000」が、日本デザイン振興会の主催する「2021年度グッドデザイン賞」において「グッドデザイン・ベスト100」を受賞したと発表した。今回の受賞は、台鉄および日立のグループ会社である台湾日立アジアパシフィックとの共同での受賞となる。
「EMU3000」は台湾全土を走行する都市間特急列車として、2019年1月に600両(12両編成×50編成)を受注。その後、順次納入を進めている。
審査委員からは、「『台湾らしさ』をもつ鉄道車両とは何か? という問いに、一鉄道車両のデザインとしてだけでなく、鉄道車両のデザインとはどうあるべきか? という問いとともに答えたプロジェクト」としたうえで、意匠面について、「市民や現地の有識者とともに議論を重ねた結果、『台湾らしさ』の深層部を言語化したことにより、あくまで簡潔な外観と、柔らかで洗練された内装をあわせもつものとなり、派手さや奇を衒った要素が一切なく、品格のあるものとなっている」と評価した。
また、デザインプロセスに関して、「発注事業者と開発者で閉じてしまう鉄道車両開発という従来の枠組みを超え、現地の運営者、利用者、他国の開発者をつなぐ、調査、議論内容の公開や、展示イベント、市民からの意見収集、そして運行までの盛り上げまでを含んだことがすばらしい」と評価し、「結果として、意匠としての精度の高さのみならず、地元の誇りとともに、土地に根ざしていく未来の時間軸までのデザインとして高く評価する」としている。