ここまで藤井三冠は5勝1敗、郷田九段は3勝3敗の成績
第80期順位戦B級1組(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の7回戦、▲郷田真隆九段(4位、3勝3敗)-△藤井聡太三冠(11位、5勝1敗)戦が10月19日に東京・将棋会館で行われています。
本局以外のB級1組7回戦は21日に一斉に行われます。藤井三冠はその日が22、23日に行われる竜王戦七番勝負第2局の移動日となるため、日程を前倒しして対局が行われることになりました。
藤井三冠はB級1組初戦で三浦弘行九段に勝利した後、稲葉陽八段に敗れました。しかしその後崩れることなく屋敷伸之九段、久保利明九段、木村一基九段、横山泰明七段に連勝して、現在5勝1敗の成績です。
前期は星1つ差でA級への昇級を逃した郷田九段。今期も開幕から松尾歩八段、横山七段、近藤誠也七段相手に3連勝と好スタートを切ったものの、屋敷九段、千田翔太七段、三浦九段に敗れて3連敗。3勝3敗の成績となっています。
両者の対戦成績は藤井三冠の1勝0敗。昨年の銀河戦での対戦で、相矢倉の将棋を後手の藤井七段(当時)が制しています。
10時に始まった対局は、郷田九段が先手番で角換わり相腰掛け銀の将棋になりました。両者研究済みの進行のためか、互いに序盤はほとんど持ち時間を使っていません。郷田九段が39手目を着手した段階で、郷田九段の消費時間は4分、藤井三冠は7分となっています。
40手目、藤井三冠が初めてまとまった時間を使います。ここは作戦の岐路で、方針は2つ。1つは△6五桂と跳ねて仕掛けていく積極策。もう1つが△4一飛や△2二玉として、相手からの仕掛けを待つ待機策です。
藤井三冠は18分の少考で△6五桂の積極策を選択しました。実は藤井三冠は過去に2度同一局面を経験しており、その時はいずれも△4一飛と指していました。どちらの将棋も勝利を収めていますが、本局では自ら手を変えたことになります。
△6五桂に対する先手の対応としては▲6六銀△8六歩▲同歩△同飛▲9七角という前例があります。銀取りになっている銀を逃げておき、後手が飛車先の歩を交換してきたタイミングで、端角を打って反撃するという展開です。また、銀の逃げ方としては▲8八銀という手も過去には指されています。
△6五桂を見た郷田九段は長考に沈みました。11時30分時点で、40分を超える考慮中です。前例を踏襲するのか、それとも別の手段を編み出すのか。これからの進行に注目です。
持ち時間が6時間の本局は、本日深夜から日付の変わる頃の終局見込みとなっています。