かわいい見た目と、甘酸っぱい果肉の味わいが特徴の「さくらんぼ」。カリウムやビタミンCなど栄養素が豊富な果物ですが、効果や効能を含めてあまり知らない方も多いでしょう。
本記事ではさくらんぼに含まれている栄養素と体内への働きを中心に、保存方法やおいしい食べ方をご紹介。妊婦さんやダイエットとの相性についてもあわせてまとめました。
さくらんぼの栄養価などを知りたい方はぜひご覧ください。
さくらんぼとは
さくらんぼはバラ科の果物。正式名称を西洋実桜(せいようみざくら)と呼び、紀元前1世紀からすでにヨーロッパで栽培されていました。
日本では江戸時代の初めに中国から伝わったものの、気候条件があわず栽培を断念。明治5年にアメリカ品種を栽培し始めてから国内に浸透しました。
主な産地
国内有数のさくらんぼ生産地は山形県。令和2年においては、さくらんぼ国内総収穫量1万7,200tのうち、約8割を占める1万3,000tもの収穫量を記録しました※。ほかの主要な生産地は北海道や山形県などが挙げられます。
世界ではトルコをはじめ、アメリカやイラン、ウズベキスタンの生産量が比較的多いです。ヨーロッパではスペインやイタリア、南米のチリでも生産されています。
おいしい時期
さくらんぼの旬は6月半ば~7月はじめが一般的。外国産のさくらんぼには、5月中旬~7月末に出荷される品種もあります。ビニールハウス内で栽培されているさくらんぼなら、12月の真冬でも十分おいしいですよ。
おいしいさくらんぼの見分け方
さくらんぼの表面に光沢があり、赤みが均一であるものを選びましょう。傷のない綺麗な実がベストです。果肉はギュッと詰まっていて、硬さのあるタイプがおいしくておすすめ。軸は綺麗な緑色で太くしっかりしたものを選びましょう。付け根あたりのくぼみも深く、簡単に軸が抜けないさくらんぼならおいしく食べられます。
系統は3種類
さくらんぼは主に甘果桜桃(かんかおうとう)と酸果桜桃(さんかおうとう)、中国桜桃の3系統に分類できます。
甘果桜桃は別名を西洋実桜(せいようみざくら)と呼び、国内における生食用さくらんぼのほとんどを占める系統です。酸果桜桃は西洋酢実桜(せいようすみのみざくら)が別名で、酸味が強く加工品向き。ほかには支那実桜(しなのみざくら)と呼ばれる中国桜桃もあります。
さくらんぼの品種
世界で作られているさくらんぼの品種は1,000以上。国内では約30品種のさくらんぼが栽培されています。なかでも代表的な品種を紹介します。
佐藤錦
生産量の多さと知名度の高さが特徴の佐藤錦は、軟らかい食感のさくらんぼ。甘みと酸味の適度なバランスが特徴です。黄色と紅色がおりなす美しい色合いから、別名「赤いルビー」とも呼ばれています。旬は6月半ば~7月はじめごろです。
紅秀峰
紅秀峰は酸味が少ない分、甘みを強めに感じられる品種。さくらんぼのなかでも果肉が硬めで日持ちします。6月下旬~7月下旬までの約1か月間が旬の時期です。
高砂
甘みと酸味が適度に感じられるさくらんぼで、上品な味わいを好む方におすすめ。6月中旬~7月上旬に旬を迎えます。
南陽
南陽は大玉サイズで、果肉も硬めの食べ応え十分なさくらんぼ。酸味より甘みの強さが感じられます。旬は6月下旬~7月はじめです。
紅さやか
さくらんぼのなかでも少々大ぶりで、果汁の量が多めの紅さやか。酸味は少なく適度な甘さがあり食べやすいでしょう。旬は6月上旬です。
ビング
アメリカンチェリーの代表格であるビングは、大ぶりで日本のさくらんぼよりも赤みが濃いです。酸味がある一方で甘みも強いため、バランスの取れたおいしさに。5月上旬~7月いっぱいまで旬が続きます。
さくらんぼの栄養成分
可食部100gあたりのさくらんぼに凝縮されている主な栄養と成分量を調査しました(文部科学省「食品成分データベース」調べ)。
国産(生)
エネルギー: 64kcal
水分: 83.1g
たんぱく質: 1.0g
脂質: 0.2g
炭水化物: 15.2g
灰分: 0.5g
カリウム: 210mg
鉄分: 0.3mg
β-カロテン: 81μg
葉酸: 38μg
ビタミンC: 10mg
ブドウ糖: -
ソルビトール: -
米国産(生)
エネルギー: 64kcal
水分: 81.1g
たんぱく質: 1.2g
脂質: 0.1g
炭水化物: 17.1g
灰分: 0.5g
カリウム: 260mg
鉄分: 0.3mg
β-カロテン: 20μg
葉酸: 42μg
ビタミンC: 9mg
ブドウ糖: 7.0g
ソルビトール: 2.2g
米国産(缶詰)
エネルギー: 70kcal
水分: 81.5g
たんぱく質: 0.6g
脂質: 0.1g
炭水化物: 17.6g
灰分: 0.2g
カリウム: 100mg
鉄分: 0.4mg
β‐カロテン: 41μg
葉酸: 12μg
ビタミンC: 7mg
ブドウ糖: 6.6g
ソルビトール: 0.9g
さくらんぼに期待される効果・効能
さくらんぼはただおいしいだけでなく、さまざまな栄養成分が含まれている上質な果物です。
ブドウ糖
ブドウ糖は人間が活動するために必要なエネルギー源とされる重要な栄養素。脳にとっては唯一のエネルギー源ともいわれており、脳の活性化や集中力アップ効果が見込まれます。
カリウム
カリウムには余分なナトリウムを取り除き、高血圧症や動脈硬化を改善する効果が見込まれています。体内の水分バランスを調整する役割により、むくみ改善効果にも期待できます。
鉄分
さくらんぼには鉄分が含まれており、貧血に悩む方々には味方となりうる存在。冷え性の改善にも効果的とされるため、手足の冷えが気になるときにもおすすめです。鉄分には疲労回復効果もあるといわれています。
β-カロテン
β-カロテンは抗酸化作用を持つ栄養素のひとつ。皮膚や粘膜の保護に役立つでしょう。光刺激反応に対して重要な役割を担っており、明るさの少ない場所で視力をキープする働きが見込まれます。
ビタミンC
抗酸化作用のあるビタミンCを摂取することで、活性酸素の働きを抑制。動脈硬化や免疫低下を防ぐ効能が期待されます。非ヘム鉄の吸収にもビタミンCが一役買うといわれているため、貧血改善を望む方にも嬉しい成分ですね。
葉酸
葉酸はDNAや赤血球の合成を手助けするとされる、人間にとって重要な栄養成分の一種。胎児の先天異常予防への期待も高まります。
ソルビトール
ソルビトールは糖アルコールの一種である天然甘味料。消化吸収されにくい成分で、便のかさましに加えて便秘改善効果があると考えられています。虫歯菌が好む栄養成分ではないため、虫歯予防効果の可能性もあるでしょう。
有機酸
さくらんぼに含まれているリンゴ酸には整腸作用が、クエン酸には胃液の分泌量増加の促進効果がある、といわれています。便通や消化吸収機能を改善したいなら、試しにさくらんぼを食べてみるのもいいでしょう。
アントシアニン
ポリフェノールの一種であるアントシアニンには、活性酸素を抑制あるいは除去して老化を防ぐ機能があるとされています。生活習慣病の改善を期待する声もあるなど、体の内側と外側の両方に働く可能性のある栄養素です。
さくらんぼの保存方法と食べ方
さくらんぼは非常にデリケートな果物で、丁寧に優しく扱う必要があります。おいしく食べるためにも、最適な方法で保存しましょう。
基本は常温
さくらんぼは温度変化に敏感なため、常温での保存が基本です。食べるときはそのままでも、野菜と合わせてサラダにしてもおいしいですよ。
保存の際は容器のなかにペーパータオルを広げ、さくらんぼを敷き詰めます。ぎゅうぎゅう詰めにすると表面が傷んでしまうので量には気をつけましょう。すべて詰め終わったらペーパータオルで包み込み、フタをすれば保存作業は終了です。
容器に風が当たると温度が変化して品質低下の恐れがあるため、風の当たらない場所で管理してください。保存期間は3日間が目安です。
冷えているときは冷蔵
冷蔵コーナーで販売またはクール便で届いたさくらんぼは一度冷やされているので、保存時も同じく冷蔵を選びましょう。常温保存と同じくペーパータオルで包んでから、野菜室に入れて3日間以内に食べ切るようにしてください。
冷凍保存でおいしさキープ
さくらんぼを長く楽しみたいなら冷凍保存がおすすめ。水でサッと洗って汚れを落としたら水気を拭き取り、保存袋に入れて冷凍庫に入れれば作業は終了です。
冷凍なら保存可能期間は1カ月以上と、常温よりもおいしさ長持ち。軽く解凍して食べると、生とは違うシャリシャリとした食感が楽しめます。解凍し過ぎると果肉が軟らかくなりおいしさが半減するので注意してください。
さくらんぼが妊婦さんに必要な理由
さくらんぼには、おなかの赤ちゃんも妊婦さんにも嬉しい成分が含まれています。
葉酸が胎児の発育をサポート
さくらんぼには胎児の正常な発育に役立つとされる、葉酸が含まれています。葉酸に期待される効能は、DNA合成や細胞分裂の手助けなど。先天異常を防ぐ効果も見込まれます。
妊娠中は食欲低下やつわりが辛い時期など、体調に変化が生じやすくなるもの。さくらんぼなら手軽に食べられるので、栄養補給にも最適です。
妊婦さんに期待される効能
さくらんぼには、妊婦さんの大敵である体の冷えを改善する効果もあるといわれています。妊娠中のむくみを改善してくれるカリウム、免疫力アップにつながるビタミンCなど、妊婦さんの体にいいとされるほかの栄養素も豊富。妊娠中に嬉しい果物ですね。
さくらんぼとダイエットの関係
減量中は突如として甘いものが欲しくなるもの。お菓子よりも果物のほうが体によさそうですが、果たしてさくらんぼはダイエット中に食べても問題ないのでしょうか。
糖質量は高い?
ダイエットへの影響を調べるため、さくらんぼとほかの果物におけるエネルギー量と糖質量を比較しました(食品データベース、すべて可食部100gあたりの数値)。
エネルギー量(kcal) | 糖質量(g) 炭水化物ー食物繊維 | |
さくらんぼ・国産(生) | 64 | 14 |
いちご(生) | 31 | 7.1 |
すいか | 41 | 9.2 |
バナナ | 93 | 21.4 |
りんご(生)皮なし | 53 | 14.1 |
一見するとさくらんぼはエネルギー量・糖質量ともに高く感じられますが、1粒あたりの数値に換算すると、エネルギー量は約4.5kcalで糖質量は約1.0gと比較的低めです(1粒を8g、可食部を7gと仮定した場合)。量を調整すればダイエット中でも問題なく食べられるでしょう。
ダイエットに嬉しい効果が期待される
さくらんぼに含まれるカリウムが、必要以上に溜まった水分を体外へ排出。体のむくみを解消し、体重を減らす効果が期待されます。むくみがなくなれば体重はもちろん、見た目にもすっきりした印象になりますよ。
おすすめは生
ダイエット中にさくらんぼを食べるなら生がベスト。缶詰のさくらんぼは糖分が含まれるため、エネルギー量も糖質量も生タイプより高くなります。
生のまま食べれば摂取カロリーや糖質が抑えられるだけでなく、栄養もすべて摂取できます。体のことを考えるなら、そのまま食べるのが一番ですよ。
さくらんぼはシーンを選ばず食べられる万能果物
さくらんぼには高血圧予防に効果的といわれるカリウムをはじめ、鉄分やβ‐カロテン、アントシアニンなど多くの栄養素が含まれています。期待される効能も抗酸化作用や美肌効果、むくみ改善と多岐にわたり、体が喜ぶ果物といえますね。
通常は常温で問題ないですが、長持ちさせたいなら冷凍保存すれば1カ月程度は持ちますよ。常温で少し自然解凍させてから食べれば、シャーベット感覚で楽しめます。
胎児の発育サポートが期待される葉酸も含まれているため、さくらんぼは妊婦さんにも赤ちゃんにも嬉しい果物のひとつ。少しの量なら摂取カロリーも糖質も抑えられるので、ダイエットに取り入れてみてはいかがでしょうか。
※農林水産省「令和2年産びわ、おうとう、うめの結果樹面積、収穫量及び出荷量」