女優の富田望生が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、あす17日に放送される『ボクと父ちゃんの記憶 ~家族の思い出 別れの時~』。若年性認知症の父を介護する17歳の息子と家族の日々を追った作品だ。
ナレーション収録中、切ないシーンに思わず涙があふれ出てきた富田。一方、随所で笑顔を見せる姿もあり、「すごく素敵な家族だなと思いました」と印象を語る――。
■「私もこんな息子がほしいな(笑)」
父・佳秀さん(65)は、50歳の時に若年性アルツハイマー型認知症と診断。それから15年、病の進行は進み、家の中を歩き回るように。今では家族との会話もままならず、トイレに1人で行くこともできなくなった。
母・京子さん(53)とともに父を介護する息子の大介さん(17)は、いわゆる「ヤングケアラー」。そんな介護生活は、進行していく認知症を前に“限界”を迎えようとしていた。一家は父を介護施設に入所させることを考えるが、コロナ禍もあって、入所すれば半年以上、家族との面会は許されない。家を出て行けば、父の頭の中から自分たち家族の存在は完全に消え去ってしまうのではないか――それは、実質的に父と家族の“お別れ”を意味していた…。
今回の物語に、「私は小さい頃から曾祖母と一緒に暮らしていて、最期は93歳まで生きたので、すごく元気でお世話をしてもらう側から、こちらがお世話する側になるというグラデーションみないなところを経験したんです。だから、他人事と思えないというか、どこにでもあり得る日常の1つだなと思いながら読ませていただきました」という富田。
年齢が近いこともあり、大介さんの気持ちに重なりそうになると、「自分が中に入りすぎてしまう瞬間みたいなものがあったので、“平常心、平常心”と思いながら読んでいました」と明かす。
そんな大介さんの印象を聞くと、「言葉を選ばずに言うと、『なんていいヤツなんだ!』と思いました(笑)。私もこんな息子がほしいなって(笑)」と回答。その上で、「きっとたくさんの方向に気をつかってはいると思うんですけど、いつも家の中をパンツ一丁でいる姿とかすごく正直で素直だし(笑)、縛られすぎない自由な大介くんが共存している気がして、すごく素敵な男性だなと思いました」と感心した。
■無邪気な笑顔で「全部が重たい話にならない」
実は富田は、自身が生まれる前に父親を事故で亡くしている。父の存在を知らないという立場から、今回の一家はどのように見えたのか。
「私は母と曾祖母と3人暮らして、今は祖父母とも一緒に暮らしてるんですけど、10の家族があったら10違うと思うので、家族の形っていろいろあると思うんです。その中で、今回はお父さんが認知症ということですが、すごく素敵な家族だなと思いました。最後にお母さんが『“子供たちがしっかりしてるね”って言われるけど、認知症のお父さんが育てたんじゃないかなって思う』と言ってたんです。ナレーションでは“運命”という言葉で表現する場面があるんですけど、それも含めて感慨深いなと思いました」
また、密着の中では佳秀さんが見せる無邪気な笑顔も印象的で、「意味は分かってなくてもニコッとしてる姿があるおかげで、全部が重たい話にならないんですよね。それが、きっとあの家族でお父さんが認知症になってから15年間暮らしてきた雰囲気なんだろうなと思いました」と想像した。